管理職に向いていない人の特徴|育成のポイントも解説
管理職になるのはキャリアの成功例の一つですが管理職に求められる能力は、一般的には後天獲得可能なものです。加えて、他の道(プロフェッショナル職)が向いている人もいます。そこで今回は、管理職に向いていない人(プロフェッショナル職に向いている人)の特徴や、適性を見極める方法を解説します。
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管理職に向いていない人とは?よくある4つの特徴
冒頭で記載した通り、管理職としてのスキル・スタンスは後天獲得なので育成可能ですが、管理職になること以上にプロフェッショナル職に向いている人もいます。
ここでは、プロフェッショナル職に向いている人の特徴をご説明します。
他人に任せることよりも、自分の手で最後までやり切ることに拘りがある
管理職の役割の一つに、「部下を通して成果創出をする。」ことがあります。
そのため、自分の手でやり抜くことに拘りがある方はプロフェッショナル職の方が向いていると言えるでしょう。
得意分野をとことん伸ばし、一つのことを極めることに興味がある
プロフェッショナル職では特定の分野で突き抜けた成果を出すことが求められます。
一方管理職では、経営視点や部下育成等ゼネラリストの動きが求められるため、
一つの事を極めることに興味がある方は、プロフェッショナル職が向いているでしょう。
自分の頭で考え抜くことが好き
0から物事を考え形にしていくことが求められる役割なため、自分の頭で考え抜くことが得意な方は向いているでしょう。
探求心が旺盛で、挑戦し続けることができる
ゼネラリストな動きが求められる管理職に対して、プロフェッショナル職は特定の分野を長年かけて探求し続けることが求められます。そのため、探求心が旺盛で一つの事に挑戦し続けることが得意な方はプロフェッショナル職に向いていると言えるでしょう。
管理職の理想の姿とは?
管理職として備えるべき資質についてご説明します。
経営視点を持っている
管理職には、自分が見ている組織だけでなく、部署全体、企業全体を見渡す経営視点が求められます。長期的な視点で物事を捉え、「自社の事業を発展させるためには何が必要か?」といった本質を見極める力も欠かせません。また、経営層の考えや意図を汲み取り、それを一般社員にブレイクダウンする「結節点」としての働きも重要です。
結節点に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
>> 結節点とは?ビジネスおける意味・結節点人材の必要性などを解説
https://stretch-cloud.lmi.ne.jp/column/0090
リーダーシップがある
管理職には、部下を率いるリーダーシップが不可欠です。単に部下を𠮟咤激励するだけでは、リーダーシップがあるとは言えません。部下が失敗したときには、「なぜ失敗したのか?」「どうすれば挽回できるのか?」といったことを一緒に考え、成長を促す姿勢も重要です。
働きやすい環境づくりができる
職場の働きやすさは、業績をも左右する重要な要素です。風通しが悪く、問題が起きてもすみやかな報告・連絡・相談がなされないような職場では、継続的に成果を上げることは難しいでしょう。残業が常態化しており、有給休暇を取りにくく、従業員のワークライフバランスがないがしろにされているような職場も同様です。
管理職は、「何かあったらすぐに上司に相談できる」「気兼ねなく自分の意見を言える」「柔軟な働き方ができる」など、働きやすい環境をつくることが重要です。このような環境づくりができれば、部下は高いモチベーションを持って生き生きと働くことができ、挑戦意欲も高まるはずです。
管理職としての適性を見極める方法
管理職としての適性を見極めるためには、以下のような検査を活用するのも有効です。
PM理論診断テスト
リーダーシップを類型化した「PM理論」では、集団における行動をP機能(目標達成)とM機能(集団維持)に分け、それぞれの強さによって、リーダーシップの方向性を4つに分類しています。
理想のリーダーとされるのは、集団の目標達成や生産性向上のために発揮されるP機能と、チームワークを維持するM機能の両方を兼ね備えた「PM型」の人です。Pが強くMが弱い「Pm型」は目標達成は得意なものの集団をまとめるのが苦手、Pが弱くMが強い「pM型」は集団をまとめるのに長けているが成果を上げる能力に乏しく、両者が弱い「pm型」はリーダー適性に欠けると考えられています。
従業員が4つのどのタイプに属するかは、「PM理論診断テスト」でチェックすることができます。インターネット上でも公開されていますので、ぜひ活用してみましょう。
適性検査
管理職登用試験に適性検査を取り入れている企業もあります。多くの企業では、一般常識や基礎学力、思考力などを測る「能力検査」と、性格の特徴を測る「性格検査」を併用することで対象者のポテンシャルを可視化しています。 ぜひこちらも活用してみましょう。
管理職育成におけるポイント
優秀な管理職を育成するために押さえておきたいポイントは以下の3つです。
外部の管理職研修を活用する
一般社員の育成と同じように、管理職の育成においても会社としてのサポート体制が欠かせません。知識・スキルの習得を個人の努力だけに任せるのではなく、適切な研修プログラムを提供することで能力開発を促すことが重要です。一般的な管理職研修のほか、コーチングやマネジメントなど専門スキルに特化した外部研修も積極的に活用していきましょう。
管理職の業務に部分的にチャレンジさせる
管理職とメンバー時代とでは求められる役割が大きく異なります。そのため管理職一歩手前の役職のうちから、管理職の業務を部分的にチャレンジさせる機会を設けることをおすすめします。実際にマネジメント業務を経験してみる中で、マネジメントにおける自己課題についての理解が深まりますし、今後管理職になっていくための成長機会にも繋がるでしょう。具体的な例としては、メンター業務を任せることや新人指導を任せること、チーム全体のPDCAの責任を持つことなどが挙げられます。
管理職に期待する役割・スキルを明確化する
管理職に求められる役割やスキルは組織によって異なりますが、そもそも管理職に求める役割・スキルが明確になっていない企業もあります。また、明確にしていてもそれが管理職に伝わっておらず、認識にズレがある場合もあります。あらためて、自社が管理職に求める役割や期待することを明確にして、本人に伝えるようにしましょう。外部研修を利用する際も、ベンダーとコミュニケーションを図り、管理職に求める役割や人材要件を共有するようにしてください。
管理職研修・育成ならストレッチクラウド
ここまでプロフェッショナル職と管理職との違いや管理職育成におけるポイント等を説明してきましたが、弊社では管理職育成施策としてストレッチクラウドというサービスを用意しています。
ストレッチクラウドは、管理職の成長支援に必要な3つのポイントが組み込まれているサービスです。ここでは成長に必要なポイント3つを基に、ストレッチクラウドのご紹介をします。
ポイント①「課題の明確化」
様々な課題に直面する中、有限なリソースの中で優先して対応すべき課題(一方で後回しで良い課題)を明確にすることが大切です。
→具体的・網羅的に設計されたマネジメントサーベイで、期待度・満足度を測定することで、課題に優先順位を付ける事が可能です。
ポイント②「周囲の支援」
職場で一人で課題に向き合うのではなく、同僚や上司から期待や支援を得ながら、行動変容ができる環境をつくることが大切です。
→期待を伝える機会としてサーベイに回答したり、周囲と課題や改善策を議論する機会を設けることで、周囲からの支援を引き出します。
ポイント③「継続的な支援」
昇格時などの節目で研修を行うだけでなく、定期的に自身の成長に向き合う機会を提供することが大切です。
→新任だけでなく全ての管理職に定期的に自己課題を設定し、課題に向き合うというサイクルをつくることができます。
冒頭でもお伝えした通り、管理職に求められるスキルは後天獲得可能なものです。
ぜひ管理職としてのキャリアを考えられている方や管理職を増やしていきたいと考えられている育成担当の方は、ぜひ上記のポイント3点を意識してみてください。
経営が求めている方向に合った管理職育成に向けた取り組み事例(Modis株式会社様)
Modis株式会社様は、エンジニアリング(技術者派遣)やコンサルティングサービスを提供する会社のため、人財の定着やレベルの向上が必須となっています。しかし、管理職に育成施策を導入できておらず、まず管理職の役割定義の明確化と現状との差分を明確にする必要に迫られていました。
そこで、管理職層の意識と判断基準の統一化に向けて「期待度」と「満足度」という2軸で測る多面評価サーベイを導入され、継続的に管理職層の皆さんが「何を求められているのか?」「何を満たせていないのか?」を明確にし、且つ上司の皆さんをも巻き込むベースが整えられつつあります。
まとめ
管理職に向いていない人(プロフェッショナル職に向いている人)の特徴や、適性を見極める方法についてご紹介してきましたが、大切なのは全従業員のパフォーマンスが高い状態をつくり出す事です。適性を見極めたうえで、管理職またはプロフェッショナル職に配置し本人の持ち味が生きる状態にすることが、本人にとってはもちろん、部下にとってもパフォーマンスを発揮しやすい環境創りに繋がります。
管理職に関するよくある質問
Q:管理職の昇格・昇進試験はおこなうべき?
良きプレイヤーが良きマネジャーであるとは限らないため、管理職を登用する際はマネジメント適性を見極めることが重要です。そのために、昇格・昇進試験をおこなう企業も少なくありません。
管理職の昇格・昇進の判断を、実務の評価と試験の成績の2軸にすることで、一部の上司による恣意的な判断を防ぐことができ、公平性を担保できます。また、試験に落ちた従業員も客観的な指標によって自らに足りない部分を自覚できるため、その後の成長に活かすことができます。組織の特性や状態などにもよりますが、管理職の昇格・昇進試験をおこなうメリットは大きいと言えるでしょう。
管理職の昇格・昇進試験については、以下の記事で詳しく解説しています。
>> 管理職の昇進・昇格試験とは?目的や内容、実施の注意点などを紹介
Q:管理監督者と管理職の違いは?
管理職とは、部下を管理する立場にある従業員の総称です。どの役職の従業員を管理職と呼ぶかは会社によって異なり、係長以上を管理職とするケースもあれば、課長以上、部長以上を管理職とする場合もあります。
一方、管理監督者は「監督もしくは管理の地位にある者」で、経営者と同等の地位・権限を持った従業員のことを言います(労働基準法第41条2号)。必ずしも「管理職=管理監督者」ではなく、管理職の一部が管理監督者に当たるのが通常です。
▼管理監督者に関する記事はこちら
管理監督者とは?定義と役割、管理職との違いについて解説!