「自分たちの組織は自分たちでつくっていく」という意識が浸透したことが最大の成果

TIS株式会社

専務執行役員
ビジネスイノベーションユニット ディビジョンダイレクター
兼 デジタル社会サービス企画ユニット ディビジョンダイレクター
上田 雅弘 氏

ビジネスイノベーションユニット 副ディビジョンダイレクター
兼 ジェネラルマネージャー
兼 エンタープライズコンサルティングビジネスユニット 副ディビジョンダイレクター
中村 知人 氏
事業内容 事業戦略コンサルティング、ペイメント、デジタルマーケティング、エンタープライズ、ITプラットフォーム・セキュリティ、AI・ロボティクス、R&D(研究開発)など
企業規模 連結:21,709名 単体:5,469名 (2022年3月31日時点)
担当コンサルタント 株式会社リンクアンドモチベーション 宮澤 優里 小磯 義貴
導入サービス

モチベーションクラウド

ストレッチクラウド

課題

  • 複数組織・職種が集まった部門であったため、部門内で部署を超えたコミュニケーションが少なく、同じ部門のメンバーである、という一体感が薄かった。

  • 自分の役割をプロジェクトのマネジメントだけに限定し、組織のマネジメントの優先度が下がる管理職が多かった。

  • 中途入社や別部門から異動してきたメンバーが多いため、「組織がこれからどこに向かうのか?」という認識にバラつきがあった。

効果

  • 部署の垣根を超えて、同じ部門としての意識・コミュニケーションが生まれ、一体感に繋がった。

  • 一連の取り組みを通して、組織マネジメントを自分の重要な役割の一つであると認識する管理職が増え、コミュニケーションが活性化した。

  • 方針や戦略は上司が示すもの、という認識を脱して、「自分たちの組織は自分たちでも考えてつくっていく」という言動が組織の中で生まれ始めた。

  • エンゲージメントスコアが向上した (※)

※インタビュー実施後に行われたモチベーションクラウドのサーベイ結果では、エンゲージメントスコアが前回から6.3ポイント上昇し、58.1(Aランク)へ到達。施策開始当初の2022年2月から比べると、10ポイント以上スコアが上昇している。

特に上司に関する項目の満足度が向上しており、上司のマネジメントの変化が伺える。「職場の改善」と「マネジメント育成」を両輪で進めてきた成果が現れた結果となった。

■ 2023年5月時点のサーベイ結果

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組織として「今どこにいて、どこに向かうのか」という認識にズレがあった

「組織や管理職の課題」

上田氏:我々は2017年に立ち上がった組織で、中途採用者や他部署から異動してきた人など、様々なキャリア・経験を持った人がおり、当時はある意味、混沌とした組織状態でした。能力的には優れた人が多くいましたが、組織全体のことを意識して動くことは少なく、「自分の仕事を完遂する」という一匹狼タイプの人が多かったと思います。そのため、組織マネジメントの面では多くの課題がありました。

新しいメンバーが入ってきた際も、「この組織は何を考えているのだろう?」といった疑問から“断層”が生まれ、上層部の考えやメッセージが現場のメンバーに届かないような状況でした。そのため、組織長配下の層で、グリップを効かせて組織を束ねていく人材が必要だと考えていました。

「組織としてどこに向かうのか?」ということは、様々な場面で発信して来ておりましたが、理解度や習熟度にギャップがあり、「組織として、今どの立ち位置にいるのか?」という認識のズレも人によって大きな差がありました。

施策に連続性があり、継続的に効果を高められるサービスを求めていた

「サービス導入の背景」

中村氏:我々の組織はここ数年、組織の人数が急激に増え、新たなDNAがどんどん入ってくるなかでの組織づくりだったため、何かしら“人”に対する施策が必要だと考えていました。

ただ、人事にお願いして何かしてもらうというより、自分たちでソリューションを決め、自分たちの中で活用・活動できるようにしていきたいという思いがありました。

全社の人事施策としてサーベイやストレスチェックはありましたが、全てがスポットで行われており、施策に連続性を持たせられていませんでした。そのため、サーベイの結果が出ても、次のアクションにつなげることが難しかったのです。サーベイを実施したのであれば、その結果を分析し次のアクションを考え、実行していくような連続性のある取り組みをしたいと考えていました。

その点に関して、リンクアンドモチベーションのサービスであれば実現できそうだと思い導入を決めました。

上田氏:全社のサーベイ結果も確認しますが、「へえ、そうなんだ」で終わってしまい、なかなか次のアクションに繋がっていませんでした。

このような背景もあったため、施策に連続性があり、継続的に効果を高めていくことができ、なおかつ、しっかりと伴走してもらえるリンクアンドモチベーションのサービスは大変魅力的でした。

多角的にデータを見られるので気付きが多く、アクションにつなげやすい

「リンクアンドモチベーションのサービスに感じる価値」

中村氏:現在、モチベーションクラウドストレッチクラウドの2つのサービスを導入しているため、エンゲージメントサーベイと360度サーベイの両面で、更に全社施策で実施したサーベイ結果もプラスして、分析・施策検討・実施を進めています。いずれもサーベイの結果を見れば、「どこにどのような課題があり、何をするべきなのか?」が分かりやすく、2つのサーベイの「つながり」も得やすいので、連動した施策ができています。

ストレッチクラウドでは、サーベイの結果が出た後に、全管理職を一同に集めた研修を実施しており、管理職全員でデータを見ながら、相互にアドバイスや意見交換をする場も設けています。

同一事業部でも他部署の管理職と一緒に話し合うことで、自分の強み・弱みや成長課題を明確に認識することができ、自分の意外な特徴に気付いたりすることもあります。単にデータが出る場合のみだと次のアクションに活かしにくいですが、ストレッチクラウドは様々な比較材料が得られるため、今後の成長に向けたアクションを明確にしやすいです。そのため、日々の業務の中でも継続して成長につながるアクションを実行しやすいと実感しています。

上田氏:その中でも、特に私が着目した点は、様々な切り口でサーベイのデータを見られることです。自分のデータと全体のデータのみの場合、次に何をすべきかが分かりにくいためです。しかしながら、ストレッチクラウドは「他部署の同階層の管理職と比較したときに何が違うのか?」ということまで分かるので、自分の課題や強みを認識しやすく、次にするべきアクションも見えやすいため、大変価値を感じております。

たとえば、サーベイを実施すると「ある管理職にはこのような期待がかけられていて、ある管理職にはまた別の期待がかけられている」というようなことが分かります。そのうえで、「同じ方向に向かっていくためには、それぞれの管理職はどうするべきか?」といったことを、データを基にして議論することができます。管理職それぞれに対する、微妙な期待の違いが明確になり、そこから最適なアクションを導き出せるため、非常に大きなメリットだと思います。

中村氏:全体感としての現状と課題が明確になることはもちろんのこと、切り口を変えることで見え方も変わり、自分自身でも気付いていなかった課題が浮き彫りになってくることもあります。

サーベイの結果は、Aさん、Bさん、Cさんというように個人ベースで見るものではないと思いますし、逆に平均点を使うものでもないと思っています。切り口の観点を変えながら組織の「まだら模様」を捉え、それをいかに活動に繋げていけるか、が大事であると理解しています。

残念ながら、サーベイを実施するのみといった、単発の取り組みではなかなか組織は変わることはできません。職場のエンゲージメントサーベイや管理職向けの360度サーベイ、リアルの研修から日々の職場での実践まで、様々な取り組みをつなげていくことで相乗効果が得られることを期待しています。

「自分の役割ではない」という意識から、「自分で組織をつくっていく」という意識が浸透し始めた

「得られた成果」

上田氏:冒頭でも申し上げたとおり、立上げ当初は、能力は高いのに「マネジメントは自分の役割ではない」と役割を限定している管理職が多い組織でした。ですが、一連の取り組みを通して、「それも自分がやるべきことなんだ」「自分はそういう役割も担っているんだ」と考えられる人が徐々に増えてきました。もちろん全員ではありませんが、マネジメントとしての役割を認識する管理職が増えてきたのは非常に大きな変化だと捉えています。

もう一つ、大きな成果だと思うのが、当初私が掲げていた「自分たちの組織は、自分たちで考えてつくっていく」というメッセージが伝わり、徐々に浸透し始めていることです。自部署内独自の取り組みとして始めたからこそ、「やらされ感」がない取り組みになっており、参加者自身が「自分たちで組織をつくっていくんだ」という意識を持ち始めることができています。サーベイのスコアが上がった・下がったということではなく、意識改革が起き始めていることが何より大きな成果と認識しております。

中村氏:たとえば、モチベーションクラウドでは「経営層からの情報発信が足りない」ということが、組織の弱みとして出ていました。話を聞いてみると、「なぜそれをするのか?」という背景や、経営層の真意が分からないという意見も多く聞かれました。それならば、毎月の部会で1日がかりで背景を説明しようかというアクションも考えられますが、それは誰も歓迎しません。

結局は、「先ほどのあの話についてもう少し聞いてもいいですか?」というコミュニケーションができれば、視界一致が進んでいくということです。本質的な課題は、経営層からの情報発信ではなく、現場のコミュニケーションにあったということに気づけたことは、とても意味がありました。サーベイという材料をもとに、それぞれがどうしたらよいのか?を考えた結果、共通の課題認識を持てたのだと確信しています。

上田氏:取り組みを進めるなかで感じているのが、「自分たちは何を求めていくべきか?」ということを参加者が自問し始めているということです。最初は事務局側に集められたメンバーでしたが、サーベイのデータを分析したりディスカッションをしたりするなかで、求めるべきことや、やるべきことを主体的に考えられるようになってきました。

中村氏:サーベイのデータを共有するのはもちろんですが、研修などの「集まる場」を設けていたのが良かったのではないでしょうか。データだけを見ていたら、「あの人はどうだ、この人はどうだ」という感想だけで終わっていたと思います。

ですが、みんなで集まって目の前で本人の悩みを聞きながら、意見交換をしたり自分を振り返ったりすることで行動変容が促されていきました。「今後はこうしようと思っているんだけど」「こういうやり方もあるよね」というコミュニケーションができたからこそ、次のアクションにつなげやすかったのだと思います。

上田氏:我々の組織は、プロジェクトのマネジメントができる人は多いのですが、組織のマネジメントを役割と認識してなかったので、優先順位が低くなっている人がほとんどでした。ただ、今回の取り組みを通して、組織マネジメントの重要性に気付き、興味を持ち始める人が増えています。

もともとマネジメント能力に乏しい人であれば、サーベイのデータを見ても使いこなせないと思いますが、もともと能力が高い人が多いので、今後はその能力を組織マネジメントにも注いでくれると期待しています。

「あの組織の管理職は発言の質が違うな」という影響力を発揮したい

「今後について」

中村氏:今後も、継続的な管理職の成長を促すために、運営側の工夫も重要だと思っています。参加者からは「自分と同じ階層の人と話したい」「自分のことを知っている人と話したい」「自分のことを知らない人と話したい」「階層をもっと分けてほしい」「上の人と話したい」など、様々な意見があがっています。このような意見を見ても、毎回、固定された取り組みではいけないなと感じています。特に研修などは、今後やり方を工夫していく必要があると考えています。

現状、取り組みを開始して1年目が終わりましたが、2年目は「自立」がテーマになってきます。自立するためには、管理職自身が主体的に行動していかなければいけません。私がリンクアンドモチベーションのサービスを導入したように、「これをするためにはこういうツールが必要だ」と判断したり、「この課題はこのように改善すべきだ」と提案したり、主体的な意思を持った人材をどんどん生み出していかなければいけません。

更にもう一つ、全社に対して影響力を発揮していきたいという思いもあります。我々の管理職が社内のいろいろな場面で参画した際、「あの部署のマネジメント層は発言の質が違うな」というような影響力を発揮してほしいなと思っています。そのような人材を、2年目はもっとたくさん生み出していきたいと考えています。

上田氏:少し脱線するかもしれませんが、今日、ある管理職から「一体感ってどういうことですかね?」という質問を受けました。その話から、「自分たちの部署が求めるべき一体感とはどのようなものなのか?」ということを少し議論していました。結論は出ていませんが、そもそも以前であれば「一体感って何だろう?」と考えることすらなかったと思います。これも一つの成長ですし、このような議論がどんどん生まれていくと、組織全体が変わっていくのだろうと思いました。

今回の取り組みでは、管理職の「原石」が見えてきました。その原石を磨いていくのはもちろんですが、その下の階層に目を向けると、まだまだ伸びしろがあると思っています。今後は、下の階層の原石をいかに磨いていけるかがポイントになってきます。リンクアンドモチベーションのサービスを活用して、マネジメントの候補者をどんどん育成していきたいと思います。

※本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。

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