管理職が現状に満足することなく、
絶えずマネジメントを改善していける

東京建物株式会社

人事部 人事企画グループ 兼 健康経営・ダイバーシティ推進グループ
今井 靖 氏
事業内容

オフィスビル・商業施設等の開発、賃貸及び管理
マンション・戸建住宅の開発、販売、賃貸及び管理
不動産の売買、仲介及びコンサルティング、駐車場の開発・運営
リゾート事業、物流施設開発事業、資産運用事業、海外事業、不動産鑑定業

企業規模 760名(2022年12月31日現在)
担当コンサルタント 株式会社リンクアンドモチベーション 齋藤夏海
導入サービス

モチベーションクラウド

ストレッチクラウド

課題

  • エンゲージメントサーベイの結果、「階層間のコミュニケーション改善」と「部長とグループリーダーの結節強化」が課題として抽出されていた。

  • マネジメントのやり方は個々の管理職に任されていたため、マネジメントの質にバラツキがあり、管理職が自らのマネジメントを省みる機会も少なかった。

  • 管理職に「メンバーを育てる」という視点が乏しく、業績の管理はしても部下の育成には積極的に関わらない管理職がほとんどだった。

効果

  • 360度サーベイによって定量的なデータから自身のマネジメント課題が浮き彫りになるため、管理職が慢心せず、マネジメントを省みる良い機会になっている。

  • サーベイ後におこなう研修で他の管理職と意見交換ができるため、多面的な意見やアイデアが得られ、マネジメントの改善に役立てることができる。

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日本でもっとも歴史ある総合不動産会社

「事業および部署の概要」

今井氏:東京建物株式会社は1896年に旧安田財閥の創始者・安田善次郎によって設立された日本でもっとも歴史ある総合不動産会社です。創業以来、不動産デベロッパーとしてオフィスビル、マンション、商業施設、宿泊施設をはじめ、大規模な都市開発や海外事業など、幅広い事業を展開しています。そのなかで我々人事部は、全社の人事機能を一手に担っています。

階層間のコミュニケーションの血流が滞っていた

「事業や組織の課題」

今井氏:弊社は長期ビジョンおよび中期経営計画で、2024年に事業利益750億円、2030年頃に同1,200億円という数値目標を掲げています。この目標を達成するためには、もっと「稼ぐ力」を高めていく必要があり、そこが当面の経営課題であると認識しています。「稼ぐ力」というのは様々な要素があり、もちろん会社の仕組みもあれば、管理職や従業員のマインドも含まれます。

組織に目を向けると、大きく2つの課題があります。これは、先行して導入させていただいたリンクアンドモチベーションのエンゲージメントサーベイ「モチベーションクラウド」で明らかになった課題ですが、「階層間のコミュニケーション改善」と「部長とグループリーダーの結節強化」です。もう1つ挙げるなら、管理職の負担が過剰になっていたことです。一人の管理職が10人、15人といった大人数の部下を抱えていたのが数年前の状態でした。

業績は管理するが、「メンバーを育てる」という視点が乏しかった

「管理職の課題」

今井氏:このような経営課題や組織課題に向き合うためには、やはり管理職がキーパーソンになってきます。しかしながら、当時は、会社として管理職に対してほとんど何も育成施策を行っていない状態で、マネジメントのやり方なども個々の管理職に任されていました。入社して10年目くらいまでは「○年目研修」といった形で節目の研修をしていましたが、それ以降はほとんどなく、マネジメントに特化した研修もおこなっていませんでした。

ですから、管理職になった人は、先輩のやり方を見たり本を読んだりしながら手探りでマネジメントをしていたように思います。それで何とかなった人もいるかもしれませんが、やはりマネジメントの質は個人によってバラツキが生じている状態でした。

ただ、人事部としても、管理職になった人に対して「グループリーダーはこうするべき」「部長はこうあるべき」といった基準を示せる知見やノウハウを持ち合わせていませんでした。管理職としての基準やあるべき像がなかったので、当然、管理職が自らのことを省みるカルチャーもありませんでした。

従来の傾向として、それぞれの部門でスーパープレイヤーだった人が管理職に昇格するという流れが大半でした。管理職になった人は自分の領域では結果を残してきた人たちなので、プレイングにおいて「こうすればうまくいく」という勘どころは分かっています。一方で、プレイングの知見はあってもマネジメントの知見はなく、「メンバーを育てる」という視点はほとんどの管理職に欠けていました。そのため、週次のミーティングでも業務の進捗を確認するだけで終わってしまいます。業績は一生懸命管理するけど、部下の育成には関与しないし、できないという管理職がほとんどだったと思います。

「井の中の蛙」にならないよう、サーベイの結果を世の中の水準と比較できるのが良かった

「サービス導入の決め手」

今井氏:以前、他のコンサル会社さんの協力のもと、管理職向けに360度サーベイをおこなっていたのですが、そのサーベイの設問はその会社さんと一緒に我々が作成していました。このやり方にもメリットはありますが、もしスコアが良かったとしても、「自分たちに都合の良い設問をつくっているからでしょ?」と言われてしまえば、反論できません。その意味で、井の中の蛙になってしまう可能性があったと思います。

一方で、リンクアンドモチベーションのサーベイはモチベーションクラウドにしてもストレッチクラウドにしても、設問は既成のものですが、導入実績が豊富にあります。そのため、良いスコアが出れば「世の中の水準と比べてこのくらい高かった」と胸を張って言うことができます。サーベイの結果を世の中の水準と比較できるという点が、最終的には導入の決め手になりました。

先にモチベーションクラウドを導入していたので、メンバーが上司や組織について意見を伝えるということが当たり前のことになりつつありました。ですから、管理職を対象にした360度サーベイを導入することになったときも、ほとんど抵抗はなく、スムーズに導入することができました。

管理職が現状に満足せず、自分を省みる良い機会になっている

「ストレッチクラウドに感じる価値」

今井氏:ストレッチクラウドの導入初年度は、すべての管理職に対して「役割理解研修」をおこない、「管理職とは何か」ということをひと通り教えていただきました。この研修で、サーベイ結果の捉え方も含め、全員で目線や基準を揃えることができました。管理職育成の第一歩として、「メンバーの育成もあなたの仕事ですよ」ということを認識統一できたのは大きかったと思います。

2回目の360度サーベイでは大きく結果が改善しましたが、これも最初にベースをつくってもらったおかげです。あとは、想像以上に弊社の管理職が積極的に取り組んでくれました。初回のサーベイの結果を真摯に受け止め、自ら改善につなげた管理職が多かったことが、その証拠だと感じています。

先ほどお話ししたように、管理職になる人はプレイヤーとして一定以上の成果を出してきて、周囲からも認められている人がほとんどです。逆に言うと、上から厳しく指導されたり、下から突き上げられたりする機会があまりなかった人たちです。そうなると、人間なので「これくらいでいいか」と現状維持に意識が向かう可能性があります。その意味で、ストレッチクラウドの360度サーベイは、ありのままの周囲からの見られ方に向き合う機会となるので良い刺激になりますし、管理職としての自分を省みる良い機会になっていると思います。

自身の強み・弱みが明確に出てくれば、弱みを改善したいと思うのが普通ですし、ワンランク上にいきたいと考えるでしょう。初回の360度サーベイではそのように考える管理職が多かったからか、その頑張りによって2回目の全体スコアが向上したのだと考えています。

また、360度サーベイを実施した後におこなう「サーベイフィードバック研修」も非常に効果的なコンテンツだと思います。この研修は、360度サーベイを受けた管理職が4人グループになって、リンクアンドモチベーションのグループコーディネーターの方からアドバイスをもらったり、みんなで意見交換をしたりする場です。私も受けましたが、すごく良かったのが他の3人の話を聞けたことです。

管理職はある意味、孤独な立場であり、どうしても問題を一人で抱えがちです。ただ、サーベイフィードバック研修では、自分の悩みを聞いてもらったり、他の管理職の経験談を聞いたりすることができます。そのなかで、「そういうふうに考えているんだ」「そういうことをやっているんだ」「自分も取り入れてみようかな」など、様々な気付きが得られます。360度サーベイで自分の弱点として出たポイントが、逆に強みになっている人もいるので、「普段どんなことをしているんですか?」と聞くこともできます。受講した管理職の一人として、本当にためになる研修でした。

サーベイフィードバック研修は管理職同士のコミュニティ形成の場にもなっており、研修で意気投合した人同士で飲みに行くなど、交流が続くのも良いところだと思っています。普段の業務では、他部署の管理職とコミュニケーションをとる機会は少ないですし、あったとしても、最近はオンラインで済ませてしまいます。サーベイフィードバック研修のように、いろんな部署の管理職が集まって対面でコミュニケーションを図るのは、非常に有益な取り組みだと思います。

加えて、360度サーベイの結果に応じた打ち手をご提案いただける点も、ストレッチクラウドの価値だと感じています。360度サーベイのデータを踏まえて、「こういう傾向が出ている人にはこういうアクションプランや研修が良いです」といったご提案をいただけます。歩みを止めることなく、連続性を持って管理職の成長を促していけるのは、サービスとしての大きな魅力ではないでしょうか。

言ってもらわないと分からないことは結構多い

「改善のための取り組みと効果」

今井氏:以前、他のコンサル会社さんでおこなっていた360度サーベイは、導入から数年が経っており、近年では結果を自ら確認するのみの運用になっていました。それでは十分に効果が得られないので、ストレッチクラウドの導入後は各管理職に「職場共有会」を必ずおこなうようにと伝えてきました。職場共有会は、各管理職が「360度サーベイの結果を受け、今後どうしていくのか」ということを、自分の職場のメンバーにフィードバックする場です。フィードバックしたうえで周囲の意見を聞き、管理職としての行動を見直していきます。

私自身も職場共有会をおこない、メンバーの意見に耳を傾けました。やはり、「言ってもらわないと分からないこと」は結構あるものです。特に、弊社は遠慮して言わない人が多いので、職場共有会で率直な意見を集めることは重要です。

私個人として、初回の360度サーベイで厳しい結果が出たので、2回目はもう上がるしかないという状態でした。初回の360度サーベイの結果を受けて変えたのは、メンバーの業務によって自分の関与度合いにメリハリをつけていることを明確にしたことです。当時、私は15人ほどの部下がいて、とにかく守備範囲が広かったので、従来から自分が重点的に関わる業務と、ほぼ関与しないで任せる業務を分けていました。その濃淡の付け方はメンバーに「つたわっているだろう」と思っていましたが、初回のサーベイの結果を見る限り、その意図が十分には伝わっていないようでした。初回のサーベイ結果を受けて、改めて私のかかわり方について、濃淡をつけていることとその意図をメンバーにもはっきり伝えました。

その一方で、ほとんど関与せずに任せる業務に関しても、メンバーを放置するのではなく、必ず週次で打ち合わせをするなど、最低限のコミュニケーションは確保するようにしました。以前であればスルーしていたような小さなことも、きちんと拾い上げるようにしました。そうしたことで、「直接話を聞いてもらえて良かったです」「やる気が出ました」といった反応もあったので、多少なりとも信頼関係の向上につながっているのかなと感じています。

仕事を教えるだけでなく、人を育て、キャリア自律を促せる管理職へ

「今後目指していきたい成果、組織像」

今井氏:弊社の社長が、「『いい会社』だと社員が言える会社にしたい」と言っているのですが、私も同じ思いです。ただ、「いい会社」が何かは漠然としており、客観的に判断することが難しいものだとも思います。そのため、人的資本開示の文脈においても、データで「いい会社」であることを示せるようになるのが理想です。ただ、今は自分たちでも「この数値が高ければ、いい会社だと言える」ということが明確になっていないところもあるので、リンクアンドモチベーションとも相談しながら、自信を持ってそれを示せるようになりたいですね。

管理職に関しては、繰り返しになりますが、単に仕事を教えるだけでなく、人を育てられる管理職になっていかなければいけません。最近の若手はキャリア自律の意識が高い人が増えているので、普段からメンバーと気軽にキャリアプランの話ができて、メンバーのキャリアをきちんと考えてあげられる管理職を増やしていきたいなと思います。

※本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。

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