事業内容 | 専売公社のたばこ事業を引継ぎ、1985年に日本たばこ産業株式会社を設立。主力のたばこを始めとして医薬品・食品などの製造・販売を手がけ、グローバルに事業を展開。 |
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企業規模 | 連結 61,975人(2019年12月31日現在) 単体 7,464人(2019年12月31日現在) |
事業環境の変化や組織内の人材流動化に伴い、ひとりひとりの働き方を変えていくための意識改革の必要に迫られていた。その中で、従来型の研修に限界を感じ、期待度や満足度のわかるサーベイや従業員のモチベーションを軸とした独自のコンサルティングに魅力を感じ、導入。
JT 永井氏:まず事業についてですが、改正健康増進法の推進や毎年のように行われる増税などにより、喫煙を取り巻く環境は難しくなってきています。プロダクト自体も、紙巻き煙草から加熱式たばこへと嗜好が多様化している中で、他社との競争も年々激しくなっている状況です。
また、組織においても、人材の流動性が高まるとともに多様性も広がっており、事業と組織の両面において加速的な変化をしている時代だと思います。そのような、事業においても組織においても企業が適応していくことの難易度が高まる時代においては、やはり社員1人1人がしっかりと自立・自律している状態であったり、Try&Challengeしていけるような組織風土を現場から作ることが重要だと思っています。
JT 中島氏:昔のたばこ産業は、正直に言うと作れば売れましたし、たばこ事業法などで法的に守られていて地盤が盤石でした。それが、JTという会社が利益を生む仕組みの1つだったのですが、今はVUCAの時代 (※編集注:VUCAとは、Volatility (変動性)、Uncertainty (不確実性)、Complexity (複雑性)、Ambiguity (曖昧性) という4つの単語から頭文字をとって作られた単語であり、予測不能な状態を意味します。) です。
例えば、リスク低減製品と呼ばれる新たな製品が出てくることによって、JTはもはや業界のリーダーではなくチャレンジャーとして、厳しいたばこ業界の中を勝ち抜いていかねばならなくなりました。例えば、JTの営業スタイルも少しずつ変わってきており、今では加熱式たばこの「プルーム・テック」など新製品ができたことで、新たな顧客開拓が求められることも増えました。新規営業に近いスタイルに変わりつつありますね。
これはJTに限った話ではありませんが、企業が終身雇用をし続けられる時代ではなくなりました。だからこそ、企業として社員一人一人の育成に注力し、社外でも社内でも選ばれる存在に育てあげることが、企業にとっても社員にとっても重要なことなのだと思っています。
そのために、JTは人財育成に対しての投資は惜しみません。一部の選抜された限られたメンバーだけではなく、すべての社員に対して、早期から自立・自律のために成長するための環境を提供したいということで、今回の成長支援体系の見直しに着手しました。
JT 永井氏:JTグループの目指す姿として「個の自立・自律のさらなる伸長」「多様化およびTry&Challenge風土の醸成」を掲げていますが、自立・自律という言葉は今回の新しい成長支援体系を作る中で新しく出てきたというものではありません。
10年前の研修体系の中でも言っていた言葉なんです。つまり、昔から自立・自律は求めていたけれど、正直まだまだできているとは言えません。今回の成長支援体系見直しにあたって、一番難しいと感じたのはその点でした。
JT 永井氏:そんな状況の中で、成長支援体系支援についてご提案をいただいたのがリンクアンドモチベーションでした。リンクアンドモチベーションに感じたのはプロジェクトに対するご担当者のコミットメントや熱量、そして豊富な他社事例に基づく的確なアドバイスでした。
JT 中島氏:当時、私が覚えているだけでリンクアンドモチベーションを含め、3社くらいに同じ話を伝え、私たちのあるべき姿についての議論を2、3回重ねた記憶があります。その中で最終的にリンクアンドモチベーションにコンサルティングをお願いすることにした理由としては、確かに担当者のコミットメントや熱量もすごかったですが、私個人としては、JTの風土に一番合っているなと感じたんです。例えば、他のコンサルティング会社さんでは、やはり商品パッケージを切り売りしているな、という感覚のところもありました。しかし、リンクアンドモチベーションはちゃんと私たちの背景や意向を汲み取りながら作るというところを非常に重要視していただいていると感じたんです。
実際、今ではもう成長支援体系の実施フェーズに入っていますが、研修クオリティは他社さんと比べてもピカイチです。企画を考えるところから一緒にやらせていただいたのは、本当に良かったですね。
リンクアンドモチベーション 坂口:成長支援体系の具体的な内容について教えていただけますか。
JT 永井氏:今回、改めて成長支援体系を見直すということになり、特に意識したポイントは2つです。1つ目は、「他にも研修はたくさんある中で、なぜこの成長支援体系なのかを明確にすること」、そして2つ目は、「JT社員に対して何を期待しているのかを明確にすること」です。その2つを意識して、芯に刺さった内容をつくるのが今回最も大事にした部分です。
JT 中島氏:今後は、この成長支援体系「LIGHT UP」を通して、研修の案内が来たから受ける、というルーティンではなく、会社としてのメッセージを理解するきっかけにしてほしいと思っています。そして勿論、その理解を土台にしつつ、社員の皆さんが成長のサイクルをご自身で回していけると理想的ですね。
JTという会社は、今後日本市場だけで勝負している場合ではなくなります。そう考えたときに、もっと幅広い、グローバルな視野で人財育成に取り組まなければいけません。例えば、JTはグループ会社にJTIを持っていますが、当然ながらそこにもトレーニングプログラムがあります。今後はそのプログラムとどう連携させていくのか、どうすればシナジーを生めるかということを考えるのは、今後の大きな課題だと思っています。
グローバルとしての観点になると、より大きな視野でコスト配分やリソースの活用を考えていかなければいけないと思うので、一朝一夕にできることではないと思っていますが、JTという会社が人財を大切にするその考え方は、絶対に守っていかなければいけないことだと、私自信強く考えています。是非今後の動きにも注目していただければと思います。