エンゲージメント&マネジメントサーベイを活用した組織変革プロジェクトで、生産性向上へ

コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社 SCM本部

OE・人財開発部 部長 鎌田 俊樹 氏
OE・人財開発部 改善推進・人財開発課 課長 井上 崇 氏
OE・人財開発部 改善推進・人財開発課 リーダー 石川 恵里子 氏
事業内容 清涼飲料水・アルコール飲料の製造、加工および販売
企業規模

従業員数 約14,000名(2023年12月31日現在)

担当コンサルタント 株式会社リンクアンドモチベーション 光武凌 藤江和也
導入サービス

モチベーションクラウド

ストレッチクラウド

期待

  • SCM本部の事業戦略の柱である生産性向上に向けて、職場において業務や組織の改善活動を進めるためには、トップダウンだけでなく、ボトムアップのアプローチも必要である。その風土を作るためには従業員の働きがいや成長意欲を高めていく必要があった。

  • 経営統合を機に、各社が培ってきた文化を尊重しながらも、一緒に改善活動に取り組める新たな指標を設けたいと考えていた。

効果

  • 各職場での改善活動が活発になり、エンゲージメント向上に対する取り組みも自発的に行われるようになった結果、業績の向上にも繋がっている。

  • エンゲージメントスコアは、サーベイ導入時から5ポイント程度上昇している。

  • エンゲージメントサーベイによって、普段何となく感じている組織の強み・弱みが数値として現れてくるので、改善に向かう気運が高まった。

  • 一部のモデル部署については、管理職や次世代リーダーを対象にした360度サーベイにより、自身のマネジメントスタイルを客観的に捉えられるようになった。結果として上司部下の関係性も改善している。

  • 「上司・部下の関係性」はスコアが全体的に高く、組織の大きな強み、アイデンティティになっている。


▼【マネジメントの理解に必要なフレームワークと実践のポイント】が分かる資料はこちら
bnr_マネジメントの理解に必要なフレームワークと実践のポイントとは

コカ・ コーラのサプライチェーン構築を担うボトラー社

「事業および部署の概要」

鎌田氏:コカ・コーラシステムはフランチャイズ制をとっており、当社は日本コカ・コーラから原液を調達し、製品の製造・物流・販売・回収・リサイクルをおこなう「ボトラー」の1社です。

そのなかで、我々SCM本部は、コカ・コーラ ボトラーズジャパン 全体のサプライチェーンの戦略策定と実行を担っています。安全で安心な高品質の製品を低コストでお客様にお届けするために、効率的で無駄のないサプライチェーン体制の構築を進めています。また、継続的改善を通じて人材育成を推進することもSCM本部の役割です。

経営統合のタイミングで、各社を束ねるためにエンゲージメントを新たな指標に

「リンクアンドモチベーションのサービス導入の背景」

鎌田氏:SCM本部は、変革を主導し着実に価値を創出することができる人材 を育成するという大きな目的の下、「オペレーショナル・エクセレンス(OE)」という継続的な改善活動を推進しています。OEは、グループの持続的な成長を目指し、エンゲージメントをベースとしながらパフォーマンスリーダーを育成し、改善活動を通じて新たな価値を創出する、人材育成の仕組みでもあります。

継続的な改善活動を進めるにあたっては、トップダウンだけでなく、ボトムアップのアプローチも欠かせません。トップダウンとボトムアップが重なり合うところに、新たな価値が生み出されると考えています。その意味では、それぞれの現場において、従業員のやりがいや働きがい、成長意欲を高めていく必要があり、そのあたりも課題として認識していた部分です。

もともと、エンゲージメントという概念には注目していたのですが、リンクアンドモチベーション社のエンゲージメントサーベイ(※モチベーションクラウド)を導入するきっかけになったのは、2018年の経営統合です。コカ・コーライーストジャパン株式会社とコカ・コーラウエスト株式会社の東西2つのボトラー が経営統合し、日本の約90%の販売数量を担うボトラーになりました。この経営統合を機に、お互いに培ってきた文化を尊重しながらも、一緒に取り組める新たな指標を設けたいと思っていました。その指標に最適だったのがエンゲージメントでした。

 ※モチベーションクラウドの詳細はこちら

ただ、エンゲージメントサーベイを導入するにあたっては、社内で賛否両論があったのも事実です。当時は、HR部門でもいくつかのサーベイを実施しており、サーベイが乱立することに対する懸念の声は少なくありませんでした。ただ、私は過去の経験から「賛否両論があるものほどムーブメントを起こす可能性が大きい」と考えていました。賛成意見が多いほど、長続きしないものです。賛否両論があるものにはみんな関心を持ちますし、「どのように自分の業務や組織に活かせるだろうか?」といったことを考えるきっかけにもなります。

そのような考えもあり導入を決めたのですが、導入後も様々な会議体で施策の重要性や位置づけを伝え続けました。

自社に合わせてサービスの提案や示唆をくれるのが魅力だった

「リンクアンドモチベーションをパートナーに選んだ理由」

鎌田氏:リンクアンドモチベーション社とは、それ以前から取引をさせていただいていましたが、当時、私が求めていたイメージにぴったり合ったのがリンクアンドモチベーション社でした。我々の状況やニーズを深く理解し、我々に合わせてカスタマイズしてアウトプットしてくれるところがすごく魅力的だと感じました。サーベイを取得して結果を報告するだけではなく、人材開発の知見や、実際に組織を変革していくための支援をワンストップで提案してくれます。リンクアンドモチベーション社なら、自分が今まで考えていなかったような示唆やアドバイスをもらえるのではないかという期待を持てたことが大きな決め手になりました。

直接のきっかけになったのは、リーダー層を対象に実施していただいた「リーダーシップトレーニング」です。そのときに、リーダーシップとエンゲージメントは非常に関連性が高いものだと感じました。能力開発という面でも、エンゲージメント向上という面でも、リンクアンドモチベーション社となら一緒に取り組んでいけると感じ、導入に至ったという経緯です。

エンゲージメントサーベイは年に1回の健康診断

「エンゲージメント向上施策について」

井上氏:エンゲージメント向上施策の起点として、毎年6月にモチベーションクラウドのエンゲージメントサーベイを実施しています。結果が確定次第、マネジメントや管理職に共有します。また、サーベイに回答した一般社員にも結果の概要を伝え、詳細は上司からフィードバックを受けるようあわせて案内しています。その後、9月にグループ統括部長、および部門長を対象に、サーベイの結果を踏まえてアクションプランを検討するワークショップを実施し、そのアクションプランを実行に移していくのが基本的な流れになります。

また、ここ数年は「サーベイの結果ってどう見ればいいの?」「どういうロジックになっているの?」といった問い合わせが増えてきたので、昨年から、サーベイの見方や今後の進め方を説明する社内ウェビナーを開催しています。

サーベイは年に1回のペースで実施していますが、「またこの季節が来たか……」とドキドキする管理職が多いようです。やはり、スコアが明確に出てきて、横断した比較も可能ですので、重要な指標だと受け止めている管理職は多いと思います。

鎌田氏:私はよく、「組織の健康診断として、どこに課題があるのかを把握することが大切だよ」と伝えているのですが、たしかに健康診断はドキドキしますよね。1年の結果が現れるわけですから、自然なことだと思います。

サーベイのスコアに納得感があるから改善意欲が喚起される

「エンゲージメントサーベイの効果・メリット」

鎌田氏:我々SCM本部として誇れるのは、「上司・部下の関係性」のスコアが高いことです。以前から、改善活動を進めるためにもビジネスのパフォーマンスを上げるためにも、上司・部下の関係性が重要だと考えていました。そこが高い数値として現れており、組織の特徴として「上司と部下との関係性が強みです」と言える状態になっているのは、非常に嬉しいことです。

井上氏:私も含め管理職のみなさんは、サーベイのスコアに納得感を持っています。「○○をしたからスコアが上がった」「○○が不十分だったからスコアが下がった」というような因果関係がしっかり結果として現れてくる感覚があります。「こういう理由があるから、このスコアになっている」という説得力があるから、改善の意欲につながっているのだと思います。

鎌田氏:サーベイのスコアについて、リーダー層に「自分自身が感じている定性的な印象と数値のギャップはありますか?」と聞くと、みなさん「ギャップはない」と言います。スコアが高い場合も低い場合も、「やっぱりそうなるか」という納得感があるようです。もしここにギャップがあったら、「この調査ってどうなの?」という懐疑心が生まれてしまいますが、普段何となく感じていることがズバリ数値として現れてくるので、改善への気運も高まります。

私が驚いているのが、サーベイの結果がアップロードされるや否や、みんなが一斉に確認していることです。自分たちでデータの分析を始めたり、「あの部署はどうだった?」というように他の組織の結果をチェックしたりしています。最近は「新任管理職の組織はどういう状態なの?」と、周囲の管理職が関心を寄せていることが見て取れます。サーベイの数値を見れば、苦戦しているのか、うまく組織を束ねているのかが分かります。うまくいっていない新任管理職に対して、周囲がサポートをするきっかけにもなっていると思います。

段階的に情報開示の範囲を広げることで、徐々に関心を高めていった

「エンゲージメント向上施策を社内に浸透させることができたポイント」

鎌田氏:我々が工夫してきたのは、サーベイ結果の「開示する範囲」です。いきなりすべてをオープンにするのではなく、最初は自組織の情報だけ、翌年は統括部まで、翌々年はもう少しエリアを広げてというように段階的に情報開示の範囲を広げていきました。そうすることで、少しずつエンゲージメントに対する理解が深まり、興味・関心が高まっていきました。その結果、自組織の改善に向き合えるようになったり、他の組織の状態が気になったり分析検証を深めるようになっていったのだと思います。

井上氏:導入当初に懸念していたのが、数字だけを比較する状態になることです。そうならないよう、最初は開示する情報を限定し、リテラシーが上がるのに合わせて開示する範囲を広げていきました。4年目くらいからは管理職には全組織の結果を公開しています。

「エンゲージメントが高い製造組織」のモデルケースをつくる

「チームパフォーマンス最大化プログラムについて」

井上氏:毎年、エンゲージメントサーベイの結果をもとに、現場での改善活動だけではなくSCM本部が主体となって進める施策も立案、実行しているのですが、今年は「チームパフォーマンス最大化プログラム」を実施することにしました。

チームパフォーマンス最大化プログラムは、パフォーマンスと安全、高エンゲージメントを実現できる、「製造組織のモデルケース」をつくることを目的としたプログラムです。

これまでの施策は、ほとんどが管理職にフォーカスしたものでした。ですが、管理職だけで改善を進めるのには限界があり、本部長からも「管理職だけが職場改善の責任を負うわけではなく、一般職のメンバーも自分事として関わっていかなければいけない」というメッセージが出されました。管理職と一般職が同じ職場で働く仲間として、「自分たちの職場を良くしていこう」というベクトルを共有できたらいいなと思い、リンクアンドモチベーション社にも相談させていただきながら、チームパフォーマンス最大化プログラムを立ち上げました。

「管理職だから、自分で何とかしなきゃいけない」と背負い過ぎて、悩んでいる管理職は少なくなかったと思います。ですが、一人ですべてを抱える必要はありません。今回、一般職のメンバーをこのプログラムに巻き込んだのは大きなポイントだったと思います。

プログラムをスタートするにあたって、まずはモデルケースになり得るパイロット部門として、工場統括部長にも相談の上で2工場を決めました。プログラムの参加者は、その工場におけるラインマネジャーも含めたすべての管理職に加え、管理職と一緒にエンゲージメントを改善していく一般職のメンバーにも参加してもらっています。

石川氏:プログラムの内容は、管理職向けの研修、一般職向けの研修、両者合同でおこなう研修などで構成されています。管理職としての役割理解やマインドセットに始まり、ビジョンや組織課題にあらためて向き合ったうえで、「ビジョン達成や課題解決のために何ができるか?」ということを話し合ったりしています。
 

井上氏:管理職向けの施策では、リンクアンドモチベーション社のストレッチクラウドを活用しています。360度サーベイでマネジメントスキルを定量的に測り、その結果をもとに「管理職としてどうあるべきか」というスキルインプットをおこないます。

一般職向けの施策では、次世代リーダーとしてリーダーシップとフォロワーシップを発揮する必要性を理解してもらうとともに、360度サーベイで自分の現在地を把握してもらい、目指す姿とのギャップを埋めていく取り組みをしています。

エンゲージメントが向上し、職場に一体感が生まれている

「取り組みの成果とリンクアンドモチベーションに感じる価値」

石川氏:チームパフォーマンス最大化プログラムはまだ途中ですが、職場に一体感が生まれてきていると感じています。参加者が研修で学んだことを職場に持ち帰って他のメンバーに伝えているので、このまま良い方向に進んでいけば、フォロワーの形成につながりそうだという手応えはあります。

井上氏:ストレッチクラウドは、自分のマネジメントに対する周囲からの期待が明確に出てきます。自分のマネジメントスタイルを客観的に捉えられるのは大きなメリットであり、エンゲージメントサーベイだけでは見えない管理職個人の課題が見えてくるのは非常に効果的だと思っています。

鎌田氏:エンゲージメント向上施策を始めてから、エンゲージメントスコアは5ポイントくらい上がっています。繰り返しになりますが、上司・部下の関係性は非常に高いスコアが出ています。ここは当社のアイデンティティになる部分なので、今後もさらに強固なものにしていきたいと思っています。我々は、変革を主導しながら着実に価値を創出できるタレントを育成していきたいと考えており、エンゲージメントはその土台になるものですから、継続して伸ばしていきたいですね。

笑顔が絶えない職場をつくるためにできることを考え続ける

「今後目指していきたい成果、組織像」

鎌田氏:上司・部下の関係性が強固であるという組織の強みは、今後も維持していきたいと思っています。この関係性を起点に、働きがいや成長意欲が高まっていくような組織を目指していきたいです。
また、組織のエンゲージメントがビジネスへ影響を及ぼすことを証明していきたいと思っています。エンゲージメントと業績の相関関係を示すことで、エンゲージメント向上や職場改善の動きをさらに加速させていきたいですね。

石川氏:エンゲージメントが高くなっているなかで、今まではあまり現場に入り込めていなかったところがあります。今後は、もっと現場に寄り添って、従業員の生の声を引き出して、一緒により良い組織をつくっていきたいと思います。

井上氏:ありきたりではありますが、笑顔が絶えない職場が理想です。そのために我々ができることを常に考え続け、そのための活動を実行に移していきたいと思います。

※本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。

各種サービス資料が無料ダウンロードできます。

3分で分かる
ストレッチクラウド

3分でわかるストレッチクラウド

マネジメント育成の手引き

マネジメント育成の手引き

女性活躍推進を実現する組織づくり3つのポイント

女性活躍推進を実現する組織づくり3つのポイント
ページトップへ戻る