「選ばれる学校」づくりに向けて、リーダー・管理職層から日々の行動変革を目指す

学校法人関西学院

人事部 部長 小橋 康昭 氏
人事部 人事課 課長 大賀 宏輝 氏
人事部 人事課 課長補佐 野原 亮一 氏
事業内容

幼稚園・小学校・中学校・高校・大学・大学院、インターナショナルスクール等の運営

企業規模

1191名

担当コンサルタント 柴田一慶
導入サービス

ストレッチクラウド

現場リーダー層研修

次期課長研修

次期部長研修

課題

  • 急速に少子化が進む中、「いかにして関西学院を選ばれる学校にしていくのか?」ということが経営課題になっていた。

  • 「学生に教えるのが教員で、教員を支えるのが職員」という風潮が残っており、職員と教員が一体感を持って目指す姿を描くことができていなかった。

  • 管理職は自分の役割に精一杯で、新たな挑戦を生み出しにくい状態になっていた。

効果

  • 階層別研修では、受講者がそれぞれの役割・責任や自分がおこなうべきマネジメントについて知ることができた。

  • ストレッチクラウド上でサーベイ結果をいつでも確認できるだけでなく、振り返りやアクションプラン策定も自律的に行える仕組みが整っているので、研修の場をより濃い時間にすることができた。

  • ストレッチクラウドによって、研修と研修のあいだでも管理職が自分を見つめ直す時間をつくりやすくなったので、学んだことを日頃から意識して行動変革できることを期待している。

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キリスト教主義に基づく「学びと探究の共同体」

「事業および部署の概要」

大賀氏:本学は1889年、アメリカ人宣教師であるウォルター・ラッセル・ランバスによって創立された学園で、キリスト教主義に基づく「学びと探究の共同体」として、世界市民(※)を輩出することを使命としています。大学院・大学から、高校、中学、小学校、幼稚園、インターナショナルスクールまで運営する総合学園で、約2万5,000人の生徒・児童が通っています。そのなかで人事部は主に、400名弱の職員の育成を担っています。

※世界市民:他者と対話し共感する能力を身につけ、よりよい世界の創造に向けて責任を担う人々のこと

小橋氏:教壇に立って学生に教えるのは教員ですが、教育だけでなく学生指導や留学、研究など、様々な領域に横串を刺して学園全体をつくり上げていくのが職員の役割です。この職員の育成を担っているのが私たち人事部です。

少子化が加速する時代、いかにして選ばれる学園にしていくのか

「サービス導入の背景」

大賀氏:日本では急速に少子化が進んでおり、2022年の出生者数は統計開始以来、初めて80万人を割りました。今生まれた子どもが大学生になるのは18年先のことなので、遠い未来の話のように思えるかもしれませんが、本学は幼稚園や小学校の運営もしています。幼稚園であれば3~4年後、小学校であれば5~6年後の層が少なくなっているという事実はすぐそこまで迫っています。そのなかで、「いかにして関西学院を選ばれる学校にしていくのか?」ということは、今すぐにでも取りかからなくてはいけない経営上の課題です。

小橋氏:AIを始めとする技術革新に対応することも重要な課題の一つであると認識しています。ChatGPTが分かりやすい例ですが、学生は今までとはまったく違った形で知識・情報を得られる時代になっています。そうなると、大学に求められるものも変わってくるはずで、教員が教壇に立って教えるという形すら変わってくる可能性もあるでしょう。

組織面では、「職員と教員の関係性」にも課題があります。大学には「学生に教えるのが教員で、教員を支えるのが職員」という風潮があり、今でも色濃く残っています。ですが、教育の在り方が変わりゆくなかで関西学院がプレゼンスを発揮していくためには、この関係性を変えていかなければいけないと感じています。

職員も教員もお互いの立場を越えて意見を話し合い、一体となって選ばれる学校をつくっていく必要があり、そのためには職員がもっと力量をつけてリーダーシップを発揮していかなければいけません。関西学院の発展のためには、私たちが責任を持って職員を育成し、組織を変えていくことが不可欠です。

管理職こそ学び、成長し続けなければならない

「管理職の課題」

小橋氏:本学も長らく人事制度を運用していますが、少し前まで、管理職になってしまえば一区切り、という時代が続いていました。「次長になったら役職評価はしない」「部課長になったら研修に出なくていい」といった慣習は、その具体的な例です。

繰り返しになりますが、本学は世界市民を輩出することを使命としています。世界市民を育成するためには、学生だけでなく職員も世界市民たる者でなければならないはずであり、そのためには自ら学び続けていくことが不可欠です。管理職になることがゴールではなく、管理職になったからこそ、より一層学びを深めていかなければいけません。そのためには、私たちが学びの場を提供し、職員の成長を促していかなければいけないと強く感じていました。

管理職は、自分の組織を守ることに精一杯になってしまう傾向がありました。各管理職がテリトリーを広げ、横のつながりを強固にしながら変革を進めるべきですが、まずは自分のテリトリーをしっかり守る、という意識が強く、新たなチャレンジをする余裕もありませんでした。言い方を換えれば、「失点しない試合運び」に精一杯で、点を取りにいく動きができていなかったということです。

まずは、管理職の役割・責任を明確にすることから

「管理職育成の取り組みについて」

大賀氏:このような課題を解決していくために、2016年から管理職育成の取り組みをスタートしました。リンクアンドモチベーションに研修をお願いしたきっかけは、私がリンクアンドモチベーション主催のセミナーに参加したことです。

そのセミナーでは、「問題は“人”ではなく“間”にある」「管理職は“結節点”としての役割を果たさなければいけない」といったお話を伺い、確かにそうだなと感じる点が多々ありました。その後、リンクアンドモチベーションから階層別研修のご提案をいただき、導入させていただいたのが始まりです。

研修は効果測定が難しいので、学内でも「研修をするのはいいけど効果あるの?」といった否定的な意見もありました。ただ、研修だけでなく360度サーベイも実施することにしたため、最初と最後にサーベイを行い、研修効果を数値として可視化することで、「効果が分からない」という懸念はなく、スムーズに導入できました。

私たちが研修で目指していたのは、ひと言で言うなら「管理職の管理職化」です。当時、職員の組織は、「誰が何に責任を持ち、どんな仕事をするべきか」ということが曖昧になっていました。そのため、「部長はこういう役割を果たし、課長はこういうマネジメントをしなければいけない」というように、管理職の役割・責任を明確にすることを重視しました。

同じ階層の管理職同士、本音を言い合えたのは大きかった

「リンクアンドモチベーションの研修の価値」

小橋氏:私たちは3人ともリンクアンドモチベーションの階層別研修を受講しています。私が研修を受けていちばん良かったのが、アドバイススクランブル(※)で同じ階層の管理職同士、いろいろな話ができたことです。講師の方からも「管理職としての悩みを全部吐き出しましょう」と言われ、私も人事の管理職として課題に感じていたことを話しました。それに対して、講師の方からだけでなく同じ階層の管理職たちからもアドバイスをもらいました。現場感のある話し合いができ、様々な気付きや示唆を得られたと思います。

※アドバイススクランブル:360度サーベイの結果をもとに、同じ立場・階層のメンバー同士がアドバイスし合うセッション

大きかったのは、研修が終わってからの日常業務においても、何かあったときに「これってどう思う?」と別の部署の管理職にも自然と相談できるようになったことです。アドバイススクランブルで、お互いに本音を言い合ったからこそ生まれた関係性だと思っています。

大賀氏:研修では、もちろん知らないことも多かったのですが、「知っているつもりでいたことが、いざ自分ごとになったらできないんだな」ということを認識できたのも大きかったと思います。アドバイススクランブルで他部署の同じ階層の職員と本音で話ができたのも非常に新鮮で、良い機会になりました。人事の立場では開示しにくいこともありますが、それでも人事の立場を分かってくれたうえで有意義なアドバイスをしてくれました。

野原氏:それまで、本学の研修は基本的に1日限りで、座学のみのインプット型研修がほとんどでした。それに対して、リンクアンドモチベーションの研修は長期間で複数回にわたる研修であることや、少人数の選抜で行うこと、360度サーベイを行うことなど、本学の研修とはまったく違うものでした。数日間、頭に汗をかいてみんなで議論して、サーベイで周囲からどう思われているかという期待を受けて内省するという一連の取り組みは、私にとって非常に貴重な経験になりました。

二人と同じように、やはりアドバイススクランブルは印象に残っています。嫌なことも含め自分の思いや課題を吐露して、同じ階層の職員からアドバイスをもらってアクションプランを立てました。それを現場に持ち帰り、みんなの前で「自分はこういう課題があるので、こういうアクションをして改善していきます」と宣言しました。そうすることで自分を追い込むこともできましたので、その意味でも、非常に効果的な研修だったと思います。

研修で学んだことを日頃から意識して行動変革を図っていける

「ストレッチクラウドの価値」

野原氏:研修では、それぞれの受講者が自分の役割やマネジメントの在り方について知ることができていると思います。「知っている状態」から「実践できる状態」にするために導入したのがストレッチクラウドです。以前は、360度サーベイの結果が紙で配られ、紙を見ながら研修を受けていました。そのときは紙に気付いたことなどを書き込んだりするのですが、研修が終わると、ファイルに閉じ込めたまま見返すタイミングを失っていました。

その点、ストレッチクラウドならサーベイの結果がクラウド上に保存されるので、受講者はいつでも気軽にアクセスできますし、リマインドもあるので定期的に振り返りができます。研修と研修の間、ともすれば中だるみしてしまう時期に、自分を見つめ直す時間をつくることができます。受講者が研修で学んだことを日頃から意識して行動変革を図っていけるのは、ストレッチクラウドの大きな魅力ではないでしょうか。

もう一つ、研修の事前準備がしやすいのも良いところです。以前までは研修当日にサーベイの結果が配られていたので、その後、分析の時間を多く設けて、アドバイススクランブルに進むという流れでしたが、ストレッチクラウドの導入によってサーベイの結果がすぐに集計され、結果が共有されるようになりました。そのため、各受講者はあらかじめサーベイの結果を確認し、自分で分析したうえで研修に臨むことができます。また、サーベイの読み解き方やアクションプランのつくり方などの動画も用意されているので、誰かに指示されなくても、ひとりで準備を進めることができます。

そのおかげで、今まで以上に研修が濃密な時間になりました。研修時間の短縮にもつながったので、たとえばアドバイススクランブルの時間を増やすなど、別のプログラムに時間を投下できるようになりました。また、様々な切り口でデータを分析できるのも大きなメリットです。たとえば、新卒採用とキャリア採用の違いを見たり、部署ごとに傾向を見たりと多角的な分析ができるので、人材育成の効果を高めるためにうまく活用していきたいと思っています。

「職員から関西学院が変わった」と言われるような学校にしていきたい

「今後目指していきたい成果、組織像」

小橋氏:職員が自分の役割をきちんと認識し、職員と教員とがお互いの立場を理解したうえで積極的に議論できる状態が一つの目指すべき姿です。もちろん、自部署における役割を果たすことは重要ですが、自部署だけにとどまらず、「関西学院という学園全体のなかでどのような役割を果たしていくべきか?」「自部署は何を期待されていて、そのためにどこを伸ばす必要があるのか?」といったことを考えられる職員を育てていかなければいけません。

今はどちらかと言えば、事務能力に優れた職員が評価されています。ですが、これからは事務だけでなく、関西学院の将来を見据えて「今これをすべきである」という企画提案ができる職員をどんどん育成していきたいと思っています。

大賀氏:私がずっと思っているのが、「職員が関西学院を変えたよね」と言われるような学校にしていきたいということです。冒頭で申し上げたとおり、本学の使命は世界市民を輩出することです。学生を世界市民に育てるのは教員ですが、職員を世界市民に育てるのは私たち人事部の役割であり、人事部にしかできないことだと思っています。それができた暁には、教員にも学生にも良い影響を与えられるはずです。職員の力をもっと引き上げて、「関西学院って職員から変わったよね」と言われる将来をつくることができたら嬉しいですね。

野原氏:職員を底上げしていくために、私たち人事部は研修や意識改革の取り組みを推進していかなければいけません。とはいえ、人事部だけでは限界がありますので、研修受講者を中心に少しずつ裾野を広げていきたいと思っています。研修を受けた職員がそれぞれの持ち場に散っていくことで、関西学院のプレゼンスを高めていくような発言・行動ができる人が増えていけばいいですね。

※本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。

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