360度サーベイをきっかけに周囲の支援が生まれ、行動変容と成長が加速

日亜化学工業株式会社

第二部門 第一生産本部 第一製造部 部長代理 春田靖浩 氏
人事本部 人事部 人事企画課 主任 湯浅将広 氏
事業内容

化学品事業

   正極材料

   磁性材料

   蛍光体

   有機金属錯体

   ファインケミカル(電子材料、医薬品原料、食品添加物)

   真空蒸着材料

光半導体事業

   LED(発光ダイオード)

   LD(半導体レーザー)

   光半導体材料

企業規模

グループ合計 9,353名(2023年12月末現在)

担当コンサルタント 株式会社リンクアンドモチベーション 阿部のどか
導入サービス

ストレッチクラウド

課題

  • 一人の管理職が抱える部下が多く、日々のコミュニケーションが希薄になっていた。

  • 事業領域が広がり、組織規模が拡大していくなかで、会社の強みである「つながり」や「一体感」の更なる強化が必要であるという危機感があった。

  • 技術的に優れた管理職が多い一方で、部下のマネジメントや育成には課題があった。

効果

  • 課長が部署全体の目標はもちろん、自分自身の成長に向けた目標を掲げることができるようになった。

  • 360度サーベイで「期待度」と「満足度」のスコアが出てくるため、自らの課題に優先順位を付けて取り組むことができるようになった。

  • 部長と課長の間に良いコミュニケーションが生まれ、部長が課長の成長を支援していく形ができつつある。

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光とエネルギーの分野で新たな価値を創造する

「事業および部署の概要」

湯浅氏:日亜化学は電子部品、化学品を製造しているメーカーです。電子部品では、LEDや半導体レーザー、化学品では、電池材料や磁性材料などの開発から製造までを一貫して手がけています。そのなかで私は、人事部 人事企画課に所属し、人事制度の企画・構築から運用までを担っています。

春田氏:私は、第二部門 第一生産本部 第一製造部という部署に所属し、LED製造の一番前工程を担っています。また、組織開発も同時にミッションとして担っており、本社人事とも都度連携をしながら人材育成を進めています。

会社の強みである「つながり」や「一体感」が薄れてしまうのではないか

「管理職強化に取り組む背景」

湯浅氏:当社は、創業以来ずっと「日亜らしさ」を培ってきました。日亜らしさは、企業理念や行動原則などを含め「The NICHIA Way」という形で体系付けており、そのなかには、従業員に求める心構えとして「挑戦(Challenge)」「信頼(Credibility)」「協働(Collaboration)」という「3つのC」があります。

こうした日亜らしさは、管理職から若手へと浸透していくのが理想ですが、今、企業規模が拡大するなかで、一人の管理職が抱える部下の人数が多くなってきています。そのため、日々のコミュニケーションも希薄になり、日亜らしさがなかなか浸透しにくくなっているということは、一つの課題です。

春田氏:これまでの当社は、事業間のつながりや組織間のつながりなど、横のつながりが強い会社で、そこから生まれる一体感が強みになっていました。しかし、事業領域が広がり、組織規模が拡大していくなかで、「つながり」や「一体感」の更なる強化が必要であるという危機感がありました。日亜らしさをあらためて浸透させ、組織としての強みを維持していきたいというのが現状であり、そのための取り組みとして、管理職強化に焦点を当てたという経緯があります。

100人超の部下を抱え、コミュニケーションも育成もままならない状態だった

「管理職の課題」

湯浅氏:今申し上げたとおり、一人の管理職が抱える部下の数が多くなっています。特に製造部署では、課長で言うと、100人以上の部下がいる組織もあります。上司・部下のコミュニケーションは重要ですが、面談をするにしても時間は限られており、部下一人当たりの回数・時間はどうしても少なくなってしまいます。そのため今は、管理職だけでなく係長・主任に権限を委譲して、面談の回数・時間を増やすような工夫をしているところです。

当社の管理職は、技術に秀でている人が多く、専門性や経験では他社の管理職より優れていると自負しています。また、上司の背中を見て育ってきたという人がほとんどで、部下育成やマネジメントについてもそのように学んできました。しかし、企業規模も大きくなり、事業環境も変わっている現在で、今までと同じやり方では育たないのは明らかです。

昔であれば、名前も顔も、何をしているかもみんな分かってるなかで、管理職と一緒に仕事をしていれば、自然と成長できたのかもしれません。ですが、現在の企業規模、組織体制を考えると、「いかに部下をマネジメントしていくか」「いかに部下を育てていくか」といったところは、管理職の大きな課題だと認識しています。

昨今は、人的資本経営の重要性が叫ばれており、もちろん当社も人への投資は重要だと考えています。そのなかで、メンバー層に投資することも必要ですが、メンバー層を育てるのは管理職の一つの役割です。管理職がその役割をきちんと果たしていかないと、部下の成長は鈍化してしまいます。まずは、管理職のレベルアップが大事だと考え、ストレッチクラウドを導入させていただきました。

春田氏:生産本部としても、経営と現場をつなぐ管理職を重要視しています。事業領域が広がり、管理職も異動があるなかで、新たな分野でも活躍できる管理職が求められています。「専門性」「経験」だけに頼らず、組織の成果を最大化させることができる管理職育成の必要性を感じていました。

部長と一緒に360度サーベイの結果に向き合う

「管理職支援の取り組み」

春田氏:リンクアンドモチベーションのストレッチクラウドを導入させていただき、まず360度サーベイを実施しました。対象としたのは、LED前工程の開発・技術・製造の課長職、20名です。360度サーベイを実施した後、フィードバック研修を受け、受講者はそこで上司や部下が感じている現状と期待を知ります。

当社には、目標管理の仕組みがあります。これは、期初に課長が自らの目標を設定し、それに向けて1年間取り組んでいくもので、目標設定時と中間、年末のタイミングで部長と面談をおこないます。会社の目標管理に、360度サーベイで明らかになった自分への期待を反映させることで、年間を通して成長に向けた取り組みを継続しています。

以前の目標設定では、課長層は部署全体の目標を掲げる傾向がありましたが、360度サーベイの結果をフィードバックするようになってからは、自分自身の成長に向けた目標を掲げる人が増えました。目標を上司である部長と共有し、支援を受けながら目標に取り組んでいます。

湯浅氏:今回、全社で等級制度の見直しをして、従業員の区分ごとに役割や期待する行動を明確にしました。課長や部長の役割も明確になり、それが今後、人事考課や賃金、昇格など、様々な制度と連動するようになっていきます。課長が自分の役割を果たすためには、強みを伸ばし、足りない部分を補っていく必要がありますが、その際にも、360度サーベイで得られたデータは非常に有益な情報になります。ストレッチクラウドは、当社の新しい等級制度とも密接に関わってくるので、うまく運用していきたいと思っています。

春田氏:360度サーベイは、課長層の強化を目的として導入したものですが、上司である部長にとっても気付きの多いものでした。部長たちが、「この部下(課長)の成長を促すためには何が必要なのか?」ということを考えるきっかけになっているのは間違いありません。部長と課長の間に良いコミュニケーションが生まれ、部長が課長の成長を支援していく形ができつつあると感じています。

課題の優先順位が明確になるから、すぐに目標を立てて、すぐに動き出せる

「ストレッチクラウドに感じる価値」

春田氏:当社は、今回初めて360度サーベイの導入を検討しました。各社のサービスを比較するなかでリンクアンドモチベーションのストレッチクラウドに決めたのは、「期待度」と「満足度」の2軸で結果が出るところに大きな魅力を感じたからです。

「期待度」と「満足度」の両方のスコアが出てくることで、自分の課題の優先順位が明確になります。単に「課題がこれだけあります」と突き付けられても、いきなりすべては改善できませんし、何から手を付けていいか分からないと思います。その点、ストレッチクラウドでは、自分の強み・弱みだけでなく、自分に期待されていることも分かるため、「今、改善すべき大事なポイント」を特定できます。したがって、すぐに目標を立てて、すぐに動き出すことができます。

湯浅氏:今までも、管理職は自分なりにテーマを持って取り組んでいたと思いますが、もしかしたら周囲からは求められていない取り組みをしていたかもしれません。ストレッチクラウドなら、求められていることがしっかり可視化されるため、自分で的確な目標を立てて、改善に取り組んでいくことができます。

春田氏:360度サーベイだけでなく、その後のフィードバック研修もストレッチクラウドの大きな価値だと思います。フィードバック研修では、最初に管理職が果たすべき役割、具体的には組織の「結節点」として機能する大切さなどを講義していただいて、その後、360度サーベイの結果を読み解いていきます。

特に良いなと思ったのは、一緒に参加している課長同士でアドバイスをし合う時間です。通常、自分のマネジメントスキルの一つひとつを、他の管理職に開示したり比較したりすることはありません。フィードバック研修で自分の強み・弱みを他の管理職に見てもらい、アドバイスをもらうのは、すごく参考になるし、励みにもなると思います。

フィードバック研修で課題設定をしたら、課題解決のためのアクションを設定し、実際に取り組んでいきます。課長が自分で考えたアクションを部長にも共有し、アドバイスをもらい、修正しながら実行していきます。部長としても課長のアクション設定に関わることで、その後のアクションの進捗が気になるものです。こうした点でも、課長と部長が一緒に良い方向に進んでいけるのかなと期待が持てます。

実際に、2回目の360度サーベイでは、「上司との関係」のスコアが上がりました。アクションを共有したうえで取り組むことで、部長が課長のことをよく見るようになったのかなと思います。

リンクアンドモチベーションを選んで良かったと思っているのは、単にシステムを提供するだけでなく、当社に寄り添ってご提案・アドバイスをいただけることです。私たち事務局も、360度サーベイの結果は見ていますが、深層まで読み解けないところもあります。そのようなときに担当コンサルタントの方が、「こういう場合はこのようなアクションが効果的ですよ」「今は上司から声をかけたほうがいいですよ」など、丁寧なアドバイスをいただけるので、本当に参考になりますし助かっています。

上司、部下、同僚がお互いの成長を願ってフィードバックし合える文化を

「今後目指していきたい成果、組織像」

湯浅氏:今まで、課長自身も上司である部長も、ぼんやりとした課題を捉えていただけだったと思います。それが、ストレッチクラウドの導入によって明確になりました。今後は、こうした課題に対してアクションを起こして、解決を図っていくフェーズです。

「こういう取り組みをしたら課題を解決できたよ」という成功事例が増えてくれば、当社の「横のつながり」を活かして、同じような状況の管理職がその成功事例を使って課題解決を図るというように、社内で良いサイクルが回るようになると思います。まずは、そこを一つのゴールとして目指していきたいですね。

春田氏:まだまだ試行錯誤しながらストレッチクラウドを活用していますが、目指すべき理想の状態は、上司、部下、同僚が、お互いの成長を願ってフィードバックし合える文化をつくることです。こうした文化こそが、将来の日亜をつくる土台になるものだと思っています。

湯浅氏:当社の使命は、光とエネルギーの分野で革新的なキーマテリアル・キーデバイスを創出し続け、人々の生活に新たな価値を提供し、社会に貢献していくことです。そのためには、前述した従業員に求める心構えである「3つのC」のうち「挑戦(Challenge)」し続けることが求められます。

従業員はみんな違った個性を持っているので、我々は、一人ひとりの従業員が個性を発揮して活躍できるような環境を整備していかなければいけません。加えて、3つのCの一つである「協働(Collaboration)」という部分で、それぞれの個性が協力できるような体制をつくっていかなければいけません。そうすることで、より強い組織が生まれ、より強い会社へと成長できるはずです。人事として、こうした流れをつくることに力を注いでいきたいと思います。

※本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。

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