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採用活動における「面談」とは?面接との違い・効果的な実施のポイントなど

採用面談は、候補者との相互理解を深める重要な機会になります。ですが、面談と面接の違いを理解したうえで実施しないと面談のメリットを享受することができず、双方にとって無駄な時間に終わってしまう可能性もあります。今回は、採用活動における面談と面接の違いや、面談をおこなうメリット・デメリット、効果的な面談をおこなうためのポイントなどについて解説していきます。

目次[非表示]

  1. 1.採用面談とは?
  2. 2.採用活動における「面談」と「面接」の違いとは?
  3. 3.採用面談の種類
  4. 4.採用面談をおこなう3つのメリット
  5. 5.採用面談をおこなうデメリット
  6. 6.採用面談の準備や流れについて
  7. 7.採用面談を効果的なものにするための3つのポイント
  8. 8.採用面談後の対応
  9. 9.まとめ
  10. 10.採用面談に関するよくある質問

採用面談とは?

一般的に「面談」と言ったら、「向かい合って直接会話する」ことを意味します。採用活動の一環としておこなわれる面談も、企業と候補者が相互理解を深めることを目的として、向かい合って直接会話をするのが基本的な形です(昨今は、オンラインでの採用面談も増えています)。詳しくは後述しますが、面談は面接と違い、選考プロセスの一部ではないため、面接と比べるとフランクな雰囲気でおこなわれます。

企業側からすると、面談は候補者の「素の姿」や「本音」を伺い知ることができる絶好の機会になりますし、候補者に自社の魅力を直接伝え、入社意向を高めるチャンスでもあります。候補者側も、面談であれば面接では聞けないような質問もできるので、企業に対して抱えている疑問や不安を解消することができますし、ホームページでは分からないような情報を得ることも可能です。

採用活動における「面談」と「面接」の違いとは?

採用活動における面談と面接の違いについてご説明します。

合否があるか

面談と面接の大きな違いとして挙げられるのが「合否の有無」です。面接は採用プロセスの一部であり、候補者によるアピールや質疑応答を経た後で、必ず合格・不合格の判断を下すものです。一方、面談は基本的に選考プロセスの一部とはされず、面談の結果として合格・不合格の判断をすることもありません。

目的(何のためにおこなうか)

面接と面談では、実施する目的にも違いがあります。企業側からすると、面接の目的は主に候補者の選考をすることです。候補者のスキルや人物像、マインドなどが自社にマッチするかどうかを見極めて、基準に達していれば合格、達していなければ不合格という判断を下します。候補者側からすると、面接の目的は主に選考に通過することです。面接の場で自分の能力や魅力をアピールして、企業に選んでもらうことを目的としています。

一方で、面談の目的は、企業と候補者が相互理解を深めることです。面談によって双方の理解が深まれば、選考に進んで本採用となった後で「こんな人だと思わなかった」「こんな会社だと思わなかった」といったミスマッチが起こるのを避けられます。また、企業にとっては、候補者の入社意欲を高めることも目的の一つです。面談は基本的に一対一形式で行うため、候補者に対して個別性の高い情報提供を行うことで、候補者の特性に合わせた動機形成が可能になります。

コミュニケーションの方向性(双方向か一方向か)

面接は基本的に企業が候補者を選ぶ場です。そのため、企業側が根掘り葉掘り質問をするパターンが多く、コミュニケーションが一方向になりがちです。これに対して面談はお互いを知るための場なので、対等かつ双方向のコミュニケーションがおこなわれます。

採用面談の種類

採用活動における面談の種類についてご説明します。

カジュアル面談

カジュアル面談は、企業と候補者が相互理解を深めるため、リラックスした状態で話をする面談です。まだ応募するかどうかを決めていない候補者とおこなうのが通常です。企業としては自社の魅力を伝え、理解を深めてもらうことで応募意欲を向上させ、実際に選考を受けてもらうことが一つの目標になります。

カジュアル面談は、候補者が応募することを前提としていないため、多くの場合、候補者は履歴書や職務経歴書を持っていく必要はありませんし、志望動機を聞かれることもありません。候補者にとっては、選考を受けるかどうかの判断材料を得るための場だと言えるでしょう。

リクルーター面談

リクルーター面談は、新卒採用のプロセスで設けられる面談で、学生と直接コンタクトを取りながら採用活動のフォローをおこなう、「リクルーター」と呼ばれる社員が実施する面談です。主に企業の若手〜中堅社員がリクルーターとなり、出身大学の学生などを担当するケースが多いです。

リクルーター面談は、学生が自社とマッチするかを確かめるとともに、学生に企業の魅力を伝えて、自社で採りたい人材の共感を創る重要な場です。そのため、学生の志望度や選考状況に応じて、複数回実施することも少なくありません。 

「リクルーター」に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。

>> リクルーター制度構築
https://solution.lmi.ne.jp/recruitment/c/tools/recruiter_system

>> リクルーターマニュアル作成
https://solution.lmi.ne.jp/recruitment/c/tools/recruitermanual

>> リクルーター研修
https://solution.lmi.ne.jp/hr_development/c/theme/recruiter_training

オファー面談(内定前)

オファー面談は、中途採用のプロセスで設けられ、「条件面談」「処遇面談」とも呼ばれます。内定前のオファー面談の目的は、候補者に入社の意志があるかどうかを最終確認することです。候補者に入社の意志があると判断できれば、年収やポジション、入社時期など入社条件についての擦り合わせをおこないます。内定前にオファー面談をおこなうことで、内定を出してから双方に認識のズレが生じるのを防ぐことができます。

オファー面談(内定後)

内定後のオファー面談では、企業から内定者に対して通知していた労働条件の確認や、入社日の調整などがおこなわれます。メールや電話で内定通知を出していた場合は、オファー面談のときに入社承諾書にサインをもらうのが一般的です。

採用面談をおこなう3つのメリット

採用面談をおこなうメリットについてご説明します。

候補者との接点が増える

採用活動において面談の機会を設けることで、候補者と接する機会を増やすことができます。自社が欲しい人材に出会うためには、できるだけ多くの候補者と接点を持つことが重要ですし、一人の人物を口説いたり見極めたりするためにも、接点が多いに越したことはありません。

候補者の本音を引き出せる

面接の場合、候補者は「少しでも自分を良く見せたい」という気持ちから、話を盛ったり、本心ではない言葉を口にしたりしがちです。しかし、これでは候補者の素顔を知ることはできず、ミスマッチにつながるリスクも高くなります。一方、選考プロセスに乗らない面談であれば、候補者は気負いなくリラックスしているため、本音や人間性を引き出しやすくなります。

自社の魅力を直接アピールできる

面接は、候補者に対して質問をする時間が中心であり、企業側から自社の魅力をアピールする時間はそれほどありません。一方、面談であれば候補者との双方向のコミュニケーションのなかで自社の魅力を伝えることができます。面接のように「選び・選ばれる」関係ではなく、対等な立場で会話をするため、候補者が企業のことをより身近に感じられる機会にもなるでしょう。

採用面談をおこなうデメリット

採用面談をおこなうデメリットも押さえておきましょう。

コストがかかる

面談には多くのメリットがある一方で、決して少なくないコストが発生します。面談を担当する従業員は普段の業務から外れて時間を使う必要がありますし、カフェやレストランで面談をおこなえば、その都度、飲食費もかかります。希望のあった候補者全員と面談をおこなうとなると、膨大な時間と労力、費用が必要になるでしょう。

無駄足に終わることもある

面談は、あくまでも応募前の候補者と相互理解を深めるための場です。面談に時間をかけたとしても、その候補者が選考に進んでくれるとは限りません。候補者側もいくつかの企業を天秤にかけているのが通常なので、短期的には無駄足に終わる可能性も十分にあります。

採用面談の準備や流れについて

面談までに準備すること

面談は、候補者がその企業のイメージをつかむ重要な機会です。もし面談の担当者の発言や振る舞いに落ち度があると、企業としてのイメージダウンにつながるおそれもあります。そのため、事前に質問されそうなことを想定して回答を用意しておくことが重要です。また、面談の経験が浅い担当者の場合は、面談のロールプレイングをおこなうのが良いでしょう。

面談の効果を高めるためには、履歴書や面談履歴、適性検査結果などの情報をもとに、事前に候補者が求めている情報を想定して臨むことが効果的です。特に、候補者が企業で働く上で何を大切にするか、「組織で働く動機の源泉(=モチベーションリソース)」を事前に理解しておくと、効果的な情報提供を行うことが可能になります。

人が組織に所属する理由は大きく「目標」の魅力、「風土」の魅力、「活動」の魅力、「特権」の魅力、の4つに分類され、その中で何を特に重視しているかは人によって異なります。

採用面接


したがって、面談では、やみくもに自社の魅力を伝えるのではなく、候補者が働くうえで何を重視するか捉えたうえで魅力を伝えると、より入社動機を高めることができます。

また、より強く自社の魅力を訴求するためには、候補者の「思考・行動特性(=「モチベーションタイプ」)を理解して、コミュニケーションを使い分けることも重要になります。

人が日常でどのような行動やコミュニケーションにおいてモチベーションが高まるのかは大きく「アタック指向」「レシーブ指向」「シンキング指向」「フィーリング指向」の4タイプに分類されます。

採用面接

したがって、面談では、候補者のタイプに合わせてコミュニケーションを使い分けることで、候補者に響く魅力訴求が可能になります。

弊社の適性検査「BRIDGE」では、能力(ポータブルスキル)だけではなく、指向性タイプ(モチベーションリソースやモチベーションタイプ)を可視化することができます。こうしたツールを使用することで、相手の欲求に合わせたコミュニケーションをしやすくなり、効果的な動機形成を行うことができます。

適性検査に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。

>> 適性検査導入(BRIDGE)| 採用に適性検査を導入するメリットとポイント
https://solution.lmi.ne.jp/recruitment/c/mismatch/bridge

面談に適した担当者

面談の担当者は特定の従業員に固定するのではなく、できれば相手に合わせて数人を使い分けるべきです。新卒や第二新卒の採用の場合は、年齢が近い従業員、女性候補者の場合は女性従業員など、できれば属性が近い担当者を置くと良いでしょう。また、先述の候補者の指向性(=何によって動機づけられるのか)に合わせて担当者をマッチングできると、候補者の自社の魅力に対する理解がより深まるでしょう。加えて、候補者の立場に立ち、「どういう人に話を聞きたいのか?」をイメージして担当者を決めるようにしましょう。

面談で話す内容

面談はカジュアルな場にするべきですが、候補者のなかには緊張している人もいますし、面談と面接の違いが分かっていない人もいます。そのため、いきなり質疑応答を始めるとリラックスしたコミュニケーションができないこともあります。このような場合は、面談の趣旨を伝えるとともに、アイスブレイクに時間をかけて候補者にリラックスしてもらえるよう心掛けましょう。

また、面談は大別して「情報収集」と「情報提供」に区分することができます。場当たり的に「情報提供」するのではなく、まずは候補者の価値観や企業選びの軸を引き出す「情報収集」をしましょう。 加えて、「情報提供」するにあたっては、候補者の質問に応えることはもちろん、「情報収集」した内容や先述の候補者の指向性を踏まえて、自社の魅力を伝えましょう。

面談の流れ

・アイスブレイク・自己紹介

アイスブレイクは、本題に入る前に緊張を解きほぐすための時間です。候補者との共通点に関する話などを行い、まずはリラックスしてもらいましょう。アイスブレイクを終えたら、簡単な自己紹介に移ります。候補者に自己紹介をしてもらうときは、面接のように詳細な自己紹介である必要はなく、簡潔なものでもOKです。

・質疑応答

面談は質疑応答がメインになります。候補者から質問をしてもらっても構いませんし、企業側から質問をしても構いません。相互理解を深めるという目的を念頭に、本音のコミュニケーションを心掛けましょう。

・今後の案内

候補者に次のステップへ進んでもらいたいと思ったら、最後に次のステップの案内をします。自社イベントへの参加を提案したり、選考に進む場合の流れを案内したりしておくと、候補者とのつながりを保つことができます。

採用面談を効果的なものにするための3つのポイント

採用面談を効果的なものにするためのポイントについてご説明します。

質問攻めにするなど「面接っぽい雰囲気」にしない

面接は、企業が合否をジャッジする側になるので、候補者に対して多くの質問を投げかけます。一方、面談はお互いが対等な立場でコミュニケーションを図る場です。面接と同じようなスタンスで面談に臨むと、候補者を緊張させてしまい本音や人間性を引き出すのが難しくなります。立て続けに質問をしたり、問い詰めるような質問をしたりするなど、面接っぽい雰囲気にならないように注意しましょう。

企業側も「選ばれる立場」であることを忘れない

面接は企業側が選ぶ立場になりますが、面談はお互いが対等な立場です。面談においても、企業側はつい「自分たちが選ぶ立場」だと考えがちですが、そうではなく「自分たちも選ばれる立場」であることを意識しなければいけません。担当者の受け答えひとつで候補者の興味や応募意欲が薄れる可能性もあるため、選ばれる立場であるという謙虚な姿勢を忘れないようにしましょう。

事実を脚色せず「ありのまま」を伝える

面談は候補者に自社の魅力を直接伝える絶好の機会でもありますが、好印象を与えたいという気持ちが強いあまり、事実を脚色してしまう担当者もいるようです。仮に、面談から選考に進んで入社に至った場合、その人が「聞いていた話と違う・・・」と感じたら、早期退職につながるおそれもあります。話を盛ると後のリスクになりかねないので、面談では事実を脚色せず「ありのまま」を伝えるようにしてください。

採用面談後の対応

採用面談をおこなった後の対応についてご説明します。

面談後のフォローを入れる

候補者との関係を維持し、選考に進んでもらいたいのであれば、面談後のフォローが重要です。メールや電話で「面談で聞きそびれたことはなかったか?」「面談後、疑問に思ったことはなかったか?」といったことを確認するようにしましょう。このようなフォローひとつで候補者の印象は良くなるものです。

次のステップを案内する

面談の最後でも次のステップの案内をおこないますが、メールなどでも具体的な案内をするようにしましょう。次のステップの案内までに時間が空くと、その間に他の企業への応募・入社を決めてしまう可能性があります。そのため、できるだけ早めに、なおかつ継続的にイベント情報や選考情報などを案内するようにしてください。

まとめ

近年は、採用活動に面談を取り入れる企業が増えています。それは、相互理解を深めたうえで選考・採用に進んだほうがミスマッチのリスクが下がるからです。採用がうまくいかずに悩んでいる人事担当者様は、ぜひ面談を効果的に活用していきましょう。

内定者フォローやミスマッチ防止に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。

>> 内定者フォローとは?内定辞退を防ぐ具と体的な施策を紹介
https://solution.lmi.ne.jp/column/6187
​​​​​​​

>> ミスマッチ防止サービス
https://solution.lmi.ne.jp/recruitment/c/mismatch

採用面談に関するよくある質問

Q:カジュアル面談を有意義なものにするには?

事前に、会社のパンフレットを送付したり、ホームページやSNSを案内したりしておくのが良いでしょう。というのも、カジュアル面談は候補者がまだ応募するかどうかを決めていない段階でおこなうものであり、候補者の企業理解度は低い状態であることが多いからです。そのままの状態でカジュアル面談をおこなうと、会社概要など基本的な質問に答えるだけで終わってしまう可能性もあります。事前に基本的なことを把握しておいてもらえれば、カジュアル面談当日は一歩踏み込んだ質問をしてもらえるため、お互いに有意義な時間にできるはずです。

Q:カジュアル面談で候補者に聞くべきことは?

カジュアル面談は面接ではないので、候補者に対して一方的に質問をするのは避けるべきです。とはいえ、候補者からの質問に答えるだけでは相互理解につながらないので、合間合間で候補者に質問をすることも重要です。カジュアル面談では、候補者の価値観や仕事観が分かるような質問をするのがおすすめです。たとえば、「企業選びで重視すること」を聞けば、自社にマッチする人材かどうかの判断材料を得られます。中途採用の場合、「転職理由」も、合否に影響しないカジュアル面談だからこそ本音の理由を聞くことができるでしょう。

Q:カジュアル面談でのNG事項は?

カジュアル面談は、その名のとおりカジュアルな雰囲気のなかで、お互いがリラックスして会話をする場です。担当者が一方的に質問をすると、場の雰囲気が「面接モード」になってしまい、候補者の本音を引き出すのが難しくなってしまいます。また、担当者があからさまに紙やパソコンを出してメモをとっていると、候補者に「選考に進んだ場合、話した内容が影響するのではないか・・・」などと疑念を持たれてしまいます。このような行為は、できるだけ控えたほうが良いでしょう。


執筆者:LM編集部
執筆者:LM編集部
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