結節点とは?ビジネスおける意味・結節点人材の必要性などを解説
ミドルマネジメントをはじめとする管理職の重要な役割の一つが「結節点」になることだと言われます。結節点とは、端的に言えば経営と現場をつなぎ、部署と部署をつなぐ機能のことです。今回は、結節点という言葉の意味や結節点人材の必要性などについて解説していきます。
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結節点とは?
一般的な意味
「結節点(けっせつてん)」という言葉の意味を辞書で調べると、「つなぎ合わされた部分」「つなぎめ」「むすびめ」などとされています。
結節点を使った言葉に「交通結節点」という言葉があります。交通結節点は、複数の交通機関を相互に接続している施設や空間のことで、「ハブ」とも呼ばれます。バスターミナルや鉄道のターミナル駅、インターチェンジや駅前広場、自由通路やペデストリアンデッキなどは交通結節点の代表例です。
ビジネスにおける意味
ビジネスにおいても、「結節点」や「結節点人材」という言葉が使われることが増えています。ビジネスで結節点と言ったら、一般的にはミドルマネジメントなど、組織におけるコミュニケーションの「ハブ」の役割を果たす管理職のことを指します。
結節点となる人材とは?
「結節点としての役割を果たすべきなのがどの役職の人なのか?」ということは、組織の規模や形態などによって変わってくると思いますが、一般的に組織の結節点と言ったらミドルマネジメント層である部長・課長クラスの人材を指します。もちろん、執行役員や上席部長、また主任やチームリーダーにも結節点としての機能は求められますが、もっとも結節点として機能すべきなのはミドルマネジメント層だと言えるでしょう。
ミドルマネジメント層は「部下やチームの管理をする仕事」というイメージが強いと思いますが、そればかりでなく、経営と現場をつなぐことや、部署と部署を接続することも管理職の重要な役割です。このような役割を強調したいとき、ミドルマネジメント層のことを「結節点人材」と言うことがあります。部下を束ねる求心力のあるリーダーでも、結節点としての役割を果たせていなければ、優れたミドルマネジメント層とは言えないでしょう。
組織における結節点人材の役割・必要性
結節点となる人には、組織の上下/左右/内外のギャップを埋める役割が求められます。
経営と現場(上下)のギャップを埋める役割
「経営陣が何を考えているのか分からない」「現場が思ったように動いてくれない」というような経営と現場の間に温度差・ギャップが生まれるのは、企業経営の永遠の課題と言っても過言ではないでしょう。このギャップが拡大していくと、「うちの経営陣は信頼できない」「うちの現場は信用できない」というように双方がともに不信感を募らせていきます。こうなってしまうと、目標達成が遠のくばかりか、業績低下や従業員の離職にもつながってしまいます。
結節点人材の第一の役割は、このようなギャップを埋めることです。そのために、経営と現場の間に立って、情報の収集や伝達、調整をおこないます。具体的には、双方の主張を理解し、反対側の視点や課題を把握したうえで、それぞれに意訳して伝えることでギャップを埋めていきます。
部署間(左右)のギャップを埋める役割
営業と納品などの自組織の追っている指標が異なる部署間において、「自分達の部署は頑張っているのに、あの部署は協力してくれない」というような状況に陥ることも、常に起こる企業の課題であると言えるでしょう。このギャップが拡大していくと、部署間の信頼関係は薄れていき、シナジーが生まれにくくなってしまいます。
結節点人材の第二の役割は、このようなギャップを埋めることです。そのために、全社として成果を残すための中心的存在として、自部署に閉じず、他部署も巻き込みながら、全社として業務を推進していくためのコミュニケーションを行っていくことが求められます。
社内と社外(内外)のギャップを埋める役割
「顧客の要望に応えすぎて、組織として疲弊している」「組織としての効率を追求しすぎて顧客の要望に応えられていない」というような社内と社外のギャップが生まれることも、常に起こる企業の課題であると言えるでしょう。顧客の要望と組織の効率性、どちらかに偏ってしまうと、企業経営は立ち行かなくなることが想定されます。
結節点人材の第三の役割としては、このようなギャップを埋めることです。そのために、自ら顧客は何に期待しているのかを情報収集し、顧客への提供価値は何かを見定め、メンバーと連携を取ることが求められます。
結節点人材はどのように育成すべきか?
ここまで、結節点となる人には、組織の上下/左右/内外のギャップを埋める役割が求められることについて説明してきました。
ですが、それぞれの役割を完璧に遂行出来ている人はほぼ居ないと言えるでしょう。とはいえ、日々の膨大な業務を抱えている管理職が、自分の干渉範囲で起きている課題を自分自身が一つずつ解決していくことは現実的ではありません。このような状況に直面した際は、現在の課題を概念化したうえで、本質的な課題(≒役割における共通の課題)は何かを見定めることが求められます。このように複雑な事柄を概念化して、本質的な課題を見定めるスキルをコンセプチュアルスキル(≒概念形成力)と言います。
また、本質的な課題を見定めることは大切ですが、見定めるだけでは意味がないことも事実です。見定めた課題を解決するために、巻き込むべきステークホルダーを巻き込みながら、自分自身が主導権を持って課題解決を促進していくことが大切です。そのためには、巻き込むべきステークホルダーを期待する行動へ方向付けたり、行動を実行してもらえるように動機付けることが求められます。
これらのことから、結節点人材の育成にはコンセプチュアルスキルの開発や行動変容を促すコミュニケーション力の開発に注力していくことが必要になると言えるでしょう。ですが、これらの力を開発することは一朝一夕で出来ることではありません。これらの力の中で、自分は何が得意なのか何が不得意なのかを自己認知し、適切な課題設定をしながら、段階的に課題解決し続けていくことが求められます。
▼コンセプチュアルスキルに関する記事はこちら
>> コンセプチュアルスキルの構成要素とは? 人材採用のメリットと注意点を紹介
結節点人材の育成に活用したい研修サービス
ここまでストレッチクラウドについて説明してきましたが、リンクアンドモチベーションでは、管理職向け研修も展開しています。
本記事では代表的な2つの研修を紹介します。
チューニング(方向付け)スキル強化研修
チューニング(方向付け)スキル強化研修では、「メンバーは力量があるけれども、誤った認識により全体最適を阻害する場面がある」「メンバーの言動を変えることに苦労している、優しすぎて厳格性が弱みとなっている」などの課題感にアプローチする研修です。経営の意図を汲み取り、メンバーを方向付けすることは結節点人材として必須のスキルと言えますので、上記の課題感を解消することは必要不可欠だと言えます。研修では、「正す」コミュニケーションの重要性を理解するとともに、「正す」コミュニケーションを実践する上でのスキルの習得を促します。
▼チューニング(方向付け)スキル強化研修に関する解説はこちら
https://stretch-cloud.lmi.ne.jp/training/management/lincoln_tuning
モチベート(動機付け)スキル強化研修
モチベート(動機付け)スキル強化研修は、「人によって働く理由が異なることを理解しておらず、画一的なコミュニケーションをしてしまう」「メンバー個々人の働く理由を適切に把握しておらず、ズレたコミュニケーションをしてしまう」などの課題感を解決するための研修です。現場のメンバーをモチベートし、組織としての戦略を実現していくことは結節点人材として必須のスキルと言えますので、上記の課題感を解消することは必要不可欠だと言えます。研修では、組織貢献へのモチベーションを高めるために、メンバー自身もまだ見えていない働きがい(組織に所属している理由)に気づかせ、認識をすり合わせる観点を理解、習得していただいた上で、メンバーひとりひとりに対するコミュニケーションプランを策定します。
▼モチベート(動機付け)スキル強化研修に関する解説はこちら
https://stretch-cloud.lmi.ne.jp/training/management/lincoln_motivate
管理職研修・育成ならストレッチクラウド
ここまで、結節点人材の役割と必要性について説明して来ました。
ストレッチクラウドでは、まず、研修を通して事前に役割理解や役割遂行のための観点付与を行います。その後、360度評価によって周囲からの期待と満足を可視化し、役割遂行に向けた自己課題は何か/課題を解決するためのアクションプランは何かを明らかにするというワークショップを継続的に実施します。結果として、結節点人材になるための自立的な成長サイクルを実現しています。
ストレッチクラウドの詳細について、以下のサイトをご参考ください。
▼ストレッチクラウドの詳細こちら
https://stretch-cloud.lmi.ne.jp/
最後に事例をご紹介いたします。
株式会社バンダイナムコエンターテインメント様
株式会社バンダイナムコエンターテインメント様は事業領域を拡張し「世界企業」を目指せる組織・人材体制を構築していくことを目指しています。そのために、事業領域を拡張するための新しいアイデアを提案・実現することの出来る人材の育成に注力することに課題設定をし、選抜型のアカデミアの設置ならびに全社員のキャリア自律に向けた施策に力を入れてきました。
キャリア自律の施策においては、メンバーがキャリア自律するだけではなく、管理職がメンバーに対してキャリア自律を促せるようになることが大切です。そこで、弊社のストレッチクラウドをご導入いただき、研修の中で管理職全体へ「業務における成果創出のための支援だけでなく、メンバーのキャリア自律に向けた支援も出来るようにすることが必要である」という現在の課題意識を浸透しました。その上で、多面評価サーベイを効果的に活用していただきながら、それぞれの管理職の課題に応じた支援をすることで、メンバーのキャリア自律に向けた支援も出来る管理職の育成を推進してきました。
ストレッチクラウドをご導入いただいた効果もあり、今では、事業領域を拡張するための新しいアイデアを提案・実現することの出来る社員が増え始めており、当初掲げていた「世界企業」を目指していける組織・人材体制へと会社全体をアップデートし続けています。
株式会社バンダイナムコエンターテインメント様の導入事例ならびに他社様の導入事例については、以下のサイト・記事で詳しく解説しています。
▼株式会社バンダイナムコエンターテインメント様の導入事例はこちら
https://stretch-cloud.lmi.ne.jp/case/bandainamcoent
▼その他の導入事例はこちら
https://stretch-cloud.lmi.ne.jp/case
まとめ
ミドルマネジメントは、経営層と現場の結節点として双方の悩みを解決すべき存在ですが、経営層と現場の間で板挟みになり、悩み苦しんでいるミドルマネジメントも少なくありません。自身の役割をあらためて認識するとともに、必要なスキル、マインドを習得し、結節点としての機能を存分に発揮していきましょう。
結節点に関するよくある質問
Q:ビジョンマネジメントとは?
ビジョンマネジメントとは、トップや経営層のビジョンを組織全体に浸透させるためのマネジメントのことです。一方的に「これがビジョンです」と示すだけでは、従業員は理解・共感できません。ビジョンの背景や経営層の想いなども噛み砕いて伝えたり、従業員の話にも耳を傾け、今の仕事がどのように会社のビジョンへとつながるのかを具体的に説明したりすることで、徐々に浸透していくものです。ビジョンマネジメントによって経営層と現場のギャップを埋めることも、結節点人材の重要な仕事の一つです。
Q:結節点人材が機能することによる現場側のメリットは?
現場の従業員が「経営層が考えていること」が分かるようになれば、納得感が醸成され、目的意識を持って迷いなく仕事に取り組めるようになります。また、現場の意見を吸い上げてもらえるので、現場として言いたいことを率直に提言できるようになります。その結果、現場の状況や要望などを考慮した意思決定がおこなわれやすくなるでしょう。