主体性とは?自主性との違いや【5つの高めるコツ】について徹底解説!
主体性とは、自らの意志に基づいて、自らの責任のもとで行動しようとする態度や性質のことを言います。人材を評価する際、その人のスキル・経験以上に主体性を重視する企業も少なくありません。
今回は、従業員に主体性が求められる理由のほか、主体性の高い人・低い人の特徴、主体性を高める方法などについて解説していきます。
目次[非表示]
- 1.主体性とは?
- 2.主体性が必要な理由とは?
- 3.主体性がある人の特徴
- 4.主体性がない人の特徴
- 5.主体性がある人とない人が使う言葉の違いは?
- 6.主体性を高める5つの方法とは?
- 7.主体性発揮のためのポイント6つ
- 8.主体性のある社員を育てるには
- 9.管理職の主体性を高めるならストレッチクラウド
- 10.まとめ
- 11.よくある質問
主体性とは?
主体性とは、自らの意志や判断に基づいて、自らの責任のもとで行動しようとする態度や性質を意味する言葉です。簡単に説明すると「自分で決められることは自分で決め、行動する」ことです。
よく対立する意味として用いられる「受動的」とは、「やるべきことを決定するのが、自分であると思うのか、他人であると思うのか」が明確な違いがあります。
主体性のある従業員は上司の指示に従って仕事をするのではなく、自分自身の考えによって行動を選択します。そして、自らの行動がもたらす結果にも責任を負うことができます。
▼社会人基礎力対策に関する記事はこちら
社会人基礎力とは?必要性や能力を向上させる方法について徹底解説
■自主性との違い
主体性と似た意味を持つ言葉として「自主性」があります。主体性と自主性を同じ意味で使う人も少なくありませんが、厳密には違いがあります。
自主性とは、ある程度決められていることを自ら率先して行う態度や性質のことを言います。一方で、主体性は、何も決まっていない状態において「今何をすべきか?」を自ら考え、行動する態度や性質のことです。
たとえば、「かつて教えられたことを、自ら率先しておこなう」のは、自主性のある行動だと言えます。一方で、「自ら課題を解決するための施策を考え、それを実行に移す」のは、主体性のある行動だと言えるでしょう。
このように、主体性のある人は誰に何を言われなくても、自ら目的を設定し、それに向かって行動することができます。
▼自主性に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。
自主的の意味や使い方とは?「自発的」「主体的」などの類義語との違いも解説
■主体性の使い方
「主体性」とは、自分自身で考え、行動することができる能力のことを言います。以下のような文章で用いられています。
・彼女は主体性があるので、自分の意見をしっかりと主張することができる。
・大学生は主体性を持って、自分で課題を見つけ、解決することが求められる。
・自分自身で考え、主体性を持って行動する能力がなければ、将来的には困難に直面してしまうかもしれない。
・主体性を持つことにより、自分が達成したい目標に向かって、積極的に行動することができるようになる。
■主体性の語源
「主体性」と「主体的」は、英語での表現では「agency」と「subjective」となります。これらの言葉は、人間の自己意識や自己決定能力に関する概念を表しています。
「agency」は、ラテン語の「agens(行動する人)」から派生した単語で、英語においては、「個人が自分自身で考え、行動する能力」や「自己決定能力」を意味することが多いです。この言葉は、個人が自分自身で目標を設定し、その目標に向かって行動する能力を包括的に表しています。
一方、「subjective」は、ラテン語の「subjectivus(主観的な)」から派生した単語で、英語においては、「主観的な見方や考え方を持つこと」を意味することが多いです。この言葉は、個人が自分自身の経験や感情に基づいて判断し、行動することを表現しています。
■主体性の類義語・対義語
自主性の他にも、主体性に似た言葉として「当事者意識」があります。当事者意識とは、ある物事に対して「自分は関係ない」「誰かがやってくれる」といった姿勢ではなく、「自分が直接関係している」と考えて取り組める姿勢のことです。
「自分ごと」として責任を持って行動するという意味合いで使われる言葉であり、主体性と非常に近いニュアンスを持った言葉だと言えます。
一方、主体性の対義語としてよく使われるのが、「受動性」や「思考停止」「指示待ち」といった言葉です。いずれも主体性とは相反する概念であり、「受け身体質である」「自分で考えることを放棄している」「誰かの指示がないと動けない」というように、基本的にネガティブなニュアンスで用いられます。
主体性が必要な理由とは?
今、主体性のある人材が求められる背景として、不安定で予測不能な「VUCA」の時代が到来していることがあります。以前の常識が通用しなくなり、何が正解なのかが分かりにくくなっているのが現代のビジネス環境です。しかし、未来が予測できないからといって手をこまねいているだけの企業は、VUCAの時代を生き抜いていくことはできません。VUCAの時代だからこそ、どんな状況になっても事業を継続できるようにしておくことが重要であり、そのためには前例にとらわれることなく、主体性を持って「今やるべきこと」を考えられる人材が不可欠です。
▼関連記事はこちら
社内ニートがつらい理由とは?特徴や原因・抜け出す方法を徹底解説
●VUCA時代を生き抜くためには主体性のある人材が欠かせない
・変動性(Volatility)
経済、技術、市場などが目まぐるしく変化していますが、主体性のある人は変化を敏感に感じ取り、柔軟に対応する力があります。迅速な判断・行動によって組織の適応力を高めることができるでしょう。
・不確実性(Uncertainty)
未知の要素やリスクが多くなっていますが、主体性のある人は不確実性を恐れず、自ら情報を収集・分析し、リスクを評価する力があります。リスクを最小化するための適切な対策を講じることができるでしょう。
・複雑性(Complexity)
問題が複雑化し、ひと筋縄で解決するのが難しくなっていますが、主体性のある人は複雑な情報を理解・整理して洞察を得る力があります。複雑な問題を乗り越えるための新たな視点やアプローチを提案することができるでしょう。
・曖昧性(Ambiguity)
ビジネス環境が曖昧になり、少し先の未来を予測するのも難しくなっていますが、主体性のある人は不確かな環境においても重要な要素を見極める力を持っています。曖昧性が高い状況のなかでも、明確な意思決定をおこなうことができるでしょう。
●攻めのリスクマネジメントには主体性が必要
VUCAと呼ばれる不確実な時代、企業を取り巻く環境には様々なリスクが存在しています。このようなリスクに対して適切な対処ができないと、小さな火種でも一気に燃え広がり、企業の存続を危うくする可能性があります。企業にとってリスクマネジメントは今まで以上に死活問題になっており、受け身ではなく「攻めのリスクマネジメント」が求められるようになっています。
攻めのリスクマネジメントをおこなうためには、主体性のある人材が必要です。主体性のある人は、環境変化を敏感に察知できるので、潜在リスクを予測して早期に対策を講じることができます。リスクが発生した場合でも迅速かつ柔軟な対応ができるので、問題が大きくならないうちに鎮静化させることが可能です。攻めのリスクマネジメントによって持続可能な組織をつくるためには、従業員の主体性を高めることが重要なポイントになってくるはずです。
▼社会人基礎力対策に関する記事はこちら
社会人基礎力とは?必要性や能力を向上させる方法について徹底解説
■人間にしかできないことである
主体性は、個人が自らの意志や考えを持ち、それに基づいて行動する能力を指します。この主体性は、人間の独特の特質として認識されています。多くの動物は本能や環境に応じて行動しますが、人間は自らの価値観や信念、目標に基づいて行動することができます。この能力は、文化、芸術、科学、哲学などの発展において中心的な役割を果たしてきました。
AIやロボット技術が進化しても、人間の主体性を完全に模倣することは難しいとされています。それは、主体性が人間の経験、感情、意識に深く根ざしているからです。この主体性があるからこそ、人間は自らの存在意義を問い、深い感情や思考を持つことができるのです。
■仕事・人生が楽しくなる
主体性を持つことで、仕事や人生においても多くの利点があります。まず、自らの意志で行動することができるため、自分の価値観や目標に合わせて仕事を選ぶことができます。これにより、仕事の達成感や満足感を得やすくなります。
また、主体性がある人は、困難な状況に直面しても自らの力で解決策を見つけ出す能力が高まります。これは、自分の人生を自分の手で切り開くという意識が背景にあるからです。このような人は、人生の中での挑戦や困難を楽しむことができ、それが人生をより豊かにする要因となります。
主体性を持つことで、自分の人生をより深く、意味あるものとして捉えることができます。それは、自分の選択や行動が人生の質を向上させる大きな要因となるからです。
主体性がある人の特徴
主体性がある人の特徴としては、以下のような点が挙げられます。
■目的意識がある
「目的意識がある」という特徴は、主体性の持ち主の行動や思考の背後にしばしば見られる要素です。
目的意識があるとは、具体的なゴールや目標を持ち、それを達成するための行動をとることを意味します。この目的意識は、日常の選択や決断の際の指針となり、方向性を提供します。例えば、目的意識を持つ人は、短期的な快楽や利益よりも、長期的な目標や価値を重視する傾向があります。
■自分の意見を持っている
主体性がある人の共通点の一つが、自分の意見を持っていることです。それがたとえマイノリティな意見であっても、自信を持って主張することができます。
どんなテーマでも自分に置き換えて考えることができ、「自分ならどうする」という意見を持っているため、いつでもブレずに行動することができます。
■リーダーシップがある
主体性のある人はリーダーシップを兼ね備えているものです。必ずしも「主体性=リーダーシップ」ではありませんが、主体性のある人は組織全体を俯瞰して見ることができ、周囲の人を巻き込んで仕事をすることができます。
そのため、自然とリーダーのポジションに収まる人が少なくありません。
■行動力がある
主体性のある人は、行動力も抜きん出ています。言われたことをやるのではなく、自分で考え、目的意識を持って動くのでどんどん経験値が高まっていきます。
経験値が高まれば成功体験を積みやすくなり、それが自信につながっていきます。自信がついてくると、さらに積極的に行動できるという好循環を持っているのが特徴です。
■プラス思考である
主体性のある人は、総じてプラス思考です。仕事でミスをしても、すぐに気持ちを切り替えることができますし、失敗から得た気付きを糧にすることができます。ピンチの状況でもそれをチャンスと捉える前向きさがあり、「何とかなる」という気持ちで困難に立ち向かうことができます。
■責任感がある
上述のとおり、主体性とは自らの意志や判断に基づいて、自らの責任のもとで行動しようとする性質のことを言います。ただ行動するだけでなく、責任感を持って行動できるのが大きな特徴です。
主体性がある人はそもそも自らの意志で行動を選択しているため、「自分で決めたことだから」と、最後まで責任を持って取り組むことができます。
■失敗から学べる
主体性のある人は、失敗を個人的な成長の機会と捉えます。彼らは失敗を自身の能力の限界として受け止めるのではなく、何がうまく行かなかったのか、どのように改善できるかを積極的に分析します。
このような人々は、反省会を通じて具体的な教訓を引き出し、次に同じ状況に直面した際にはより効果的な対応ができるよう準備を整えます。彼らは失敗を恐れず、新しい挑戦を受け入れることができるため、継続的な学習と自己改善を促進する力があります。
■仕事を楽しんでいる
主体性を持つ人々は、自分の仕事に情熱を持って取り組み、それを楽しんでいます。彼らは単にタスクをこなすのではなく、その仕事が自分自身や周囲にどのような価値をもたらしているかを理解し、それに意義を見出しています。
このような人々は、自分の仕事に自らを投じることで、より創造的で革新的なアプローチを探求し、問題解決に対しても積極的です。また、彼らは仕事の中で新しいスキルを習得したり、自己の専門知識を拡張したりすることに喜びを感じます。
主体性がない人の特徴
主体性がない人の特徴としては、以下のような点が挙げられます。
■指示待ちである
主体性のない人は基本的に受け身であり、上司に指示されるまで行動することができません。目的が示されていても、目的を果たすために何をすべきかを考えることができないので、行動することもできません。
■マイナス思考である
主体性のない人はマイナス思考に陥りがちです。「失敗したらどうしよう」「どうせ失敗するだろう」などと、物事をマイナスの方向に考えてしまいます。
ネガティブなイメージが先行するため、どうしても自ら行動を起こすことができません。確実な結果が約束されているような仕事にしか取り組めず、少しでも難易度の高い仕事になると腰が引けてしまいます。
■責任を持ちたくない
主体性のない人は自分で決断することが苦手なので、判断を求められても意見を述べず、何かと周囲に委ねがちです。これは、「責任を持ちたくない」という気持ちの現れだと言えます。自分が選んだ結果に責任を持ちたくないので、選択・判断すること自体を避けてしまうのです。
■モチベーションが低い
主体性のない人は、仕事に対するモチベーションが低いのが特徴です。基本的に言われたことしかやらず、できれば仕事を増やしたくないと考えています。自らの意志と責任で行動した経験が少ないので、過去にも成功体験が少なく、それゆえ成長意欲も見られません。
主体性がある人とない人が使う言葉の違いは?
主体性がある人とない人では、使う言葉に違いがあります。周囲の人はもちろん、自分が使う言葉として、どのような特徴があるのかについて確認しておくことが大切です。それぞれ使う言葉の例をご紹介します。
主体性のある人が使う言葉
主体性のある人が使う言葉には、自ら行動することを前提としている表現があります。例えば、「自分で考えて」「自分でやってみる」「自分で決める」「自分で解決する」「自分なりに試してみる」などが挙げられます。これらの表現には、自己決定能力を前面に押し出し、自分自身で問題を解決しようとする積極的な姿勢が含まれています。主体性のある人は、自分自身で考え、自分自身で行動することで、自己実現や目標達成を追求することができます。
主体性のない人が使う言葉
一方、主体性のない人が使う言葉は、「できない」「無理だ」「わからない」「誰かに頼る」「指示を待っている」など、自己決定能力を抑え、他者への依存を示唆する表現が多いです。これらの表現は、自己決定能力を持たない人が抱える問題や課題に対して、自己解決能力を欠いていることを表しています。主体性のない人は、他者に頼り過ぎて自己実現の機会を逃してしまうことがあります。
主体性のある人とない人が使う言葉には、自己決定能力の有無が反映されており、個人の行動パターンやライフスタイルに大きな影響を与えます。主体性を持ち、自己決定能力を高めることは、自己実現や目標達成に向けた大切なステップとなるでしょう。
主体性を高める5つの方法とは?
主体性を高めるのに効果的な方法として、よく言われるのが以下の5点です。
■自分で決めることをクセにする
人に指示されたことではなく、自分で選んだり自分で決めたりしたことには責任を持って取り組めるものです。そのため、小さな仕事でも自分で決めるクセをつけましょう。
特に、自分で目標を立てるのは効果的です。上司が立てた目標を達成できなくても「上司が勝手に決めたことだし」で終わってしまいますが、自分で決めた目標であれば当事者意識が芽生え、主体的に取り組むことができます。
「どうすれば達成できるのか?」を自分で考えるようになりますし、仮に目標を達成できなかった場合でも、「なぜ達成できなかったのか?」という原因を振り返るようになります。
■自分の考えを言語化する
主体性のない人は自分の考えがなく、意見を求められたときにも、多数派に乗っかったり、「どちらでもいい」というような曖昧な回答をしがちです。主体性を高めるためには、普段からどんなことに対しても自分の考えを持つことが大切です。
仕事に限らず、たとえば日々のニュースに対しても「自分だったら」と考えるクセをつけ、自分の考えを言語化するようにしてみましょう。これを繰り返すことで、自分のなかに「基準」のようなものができてきて、様々なことに対して自分なりの答えを出せるようになります。
■何でもいいから自信を持つ
「自分に自信がないから主体性を持てない」という人は少なくありません。であるならば、自分の得意な分野に注力するなどして、自信を持てるようにすることが重要です。自信を持つのは仕事に関連したことでなくても構いません。
何か一つでも自信を持てるようになると、「自己肯定感」がグンと高まります。自己肯定感が高まれば、比例するように主体性も高まり、仕事に取り組む姿勢も変わってくるはずです。
▼自己肯定感に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。
自己肯定感の低い人の特徴は?意識すべき行動や高めるコツを解説
■目標達成の期限を決める
目標を明確にすることは、主体的な行動を促すことができます。しかし、目標を設定するだけでは、行動に移すことが難しい場合があります。そのため、達成する期限を設定することが有効です。期限を設定することで、やりたいことを後回しにせず、積極的に取り組むことができます。また、期限を設定することで、目標達成に向けた計画を立て、段階的に進めることができます。計画を立てることで、目標達成のために必要なステップを明確にし、効率的に進めることができます。
目標達成の期限を設け、達成したら次の目標とその期限を設定することで、主体的に行動する習慣を身につけることができるでしょう。
■主体性がある人を参考にする
主体性がある人の行動や考え方を参考にすることで、自分自身の主体性を高めることができます。主体性がある人と接することで、自己決定能力を高めることができます。また、主体性がある人がどのように目標を達成しているかを学ぶことで、自分自身の行動に生かすことができます。
例えば、主体性がある人と接することで、その人がどのように自分自身の意見を主張しているかを学ぶことができます。また、その人がどのように問題解決に取り組んでいるかを知ることができます。そして、それらの経験を自分自身の生活に生かすことができます。
主体性発揮のためのポイント6つ
ここまで、主体性の重要性や、主体性を高める方法についてお伝えしましたが、全ての物事においてやみくもに主体性を発揮することには意味がありません。
下記に、主体性発揮に向けて抑えておくべきポイントをお伝えします。
■目的意識を持つ
目的のない主体性は、成果には繋がりません。目的のない仕事はないため、常に目的と優先順位を考えながら仕事をすることが重要です。
■他者視点を持つ
全ての仕事は、他者との関係性の中で成り立っています。顧客・上司・職場メンバー等、他者の立場に立って行動することが重要です。
■自ら踏み出す
指示待ちをしていても、目の前の仕事は進みません。常に、自ら一歩踏み出し、自分の意見を他者に積極的に伝えていくことが重要です。また、常にモチベーションを高く持ち続けることも現実的ではないので、周囲の力も借りながら行動し続けることが重要になります。
■有能感
従業員に主体性を発揮してもらうためには、有能感を高めることが重要です。有能感とは「自分は有能である」と思える感覚のことです。成功体験をしたり、周囲からの称賛を得たりすることで有能感は高まると言われます。有能感が高まった従業員は自分の能力やスキルに自信を持てるようになり、その結果、困難にも果敢に立ち向かえるようになるなど、主体性が大きく高まるでしょう。
■自律性
従業員に主体性を発揮してもらうためには、自律性を高めることが重要です。自律性とは「自分で自分の行動を決めている」と思える感覚のことです。従業員に権限委譲をして裁量を与えることで自律性は高まると言われます。自律性が高まった従業員は結果に対する責任を感じるようになるため、自ら考えて判断・行動するようになるなど、主体的に仕事に取り組めるようになるでしょう。
■心理的安全性
従業員に主体性を発揮してもらうためには、職場の心理的安全性を高めることが重要です。心理的安全性とは「組織のなかで自分のありのままの意見や考え方を安心して発言できる状態」のことです。オープンなコミュニケーションを奨励したり、多様性を尊重したり、ミスを許容する文化を醸成したりすることで心理的安全性は高まると言われます。心理的安全性が高い職場では、従業員が自分の意見を自由に表現したり、リスクを恐れずに挑戦したりと、主体的に仕事に取り組むことができます。
■周囲との関係性
主体性を発揮するためには、周囲との関係性の構築が非常に重要です。人々が主体的に行動するためには、支持的で信頼できる社会的環境が必要です。管理者やリーダーは、チームメンバー間のオープンで正直なコミュニケーションを促進することにより、互いの理解と信頼を深めることができます。
特に、互いにフィードバックを交換する文化を育てることで、メンバーは自身の行動や成果に対する具体的な反応を得ることができ、これが自己改善への動機付けにつながります。
主体性のある社員を育てるには
部下の主体性を高めたいなら、以下の点を意識するようにしてみましょう。
■細かい指示を出さないようにする
「部下の主体性が低い・・・」と悩んでいる上司は少なくありませんが、その原因が上司にあるケースも見受けられます。よくある原因の一つが、上司が必要以上に細かい指示を出す、いわゆる「マイクロマネジメント」に陥っているケースです。
「部下が失敗したら、尻拭いをするのは自分だから」「部下にはまだ、そこまでの力量はない」「自分の指示どおりにやっておけば間違いない」など、部下に対して細かく指示を出す理由は様々ですが、マイクロマネジメントによって、部下が本来持っていた主体性が奪われてしまっているケースは少なくありません。
上司が細部まで指示してしまうと、部下は自分で考えなくなってしまうのです。
部下との関係性にもよりますが、指示を出すときは基本的に「What(何をしてほしいのか?)」と「Why(なぜ、それをしてほしいのか?)」の2点を伝えるだけにしましょう。
重要なのは、「How(どのようにやるのか?)」を部下自身に考えさせることです。部下が自ら考えるように仕向けることで、主体性が育まれるようになります。
▼マイクロマネジメントに関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。
マイクロマネジメントとは?増加理由や従業員に及ぼす影響を解説
■成功体験を積ませる
自分の行動によって周囲に良い変化がもたらされるような成功体験をすると、主体性が高まるきっかけになります。
そのため、たとえ小さなことでも、部下に成功体験を積ませることが大切です。成功体験を重ねることで自信を持てるようになり、難易度の高い仕事にも積極的に対峙できるようになります。
■心理的安全性の高い環境を作る
部下の主体性を高めるためには、自分の意見を発信する機会を与えるのも効果的です。ただし、部下が意見を発信できるようにするには、どんな意見であれ、非難されたり拒絶されたりすることなく、フラットに受け止めてもらえる環境を作ることが前提になります。
誰もが不安なく、ありのままの意見を発信することができる環境を「心理的安全性」の高い環境と言います。
■信頼関係を構築する
主体性のある社員を育てる上で、信頼関係の構築は非常に重要です。信頼を基盤とした関係では、社員は自らの判断と行動に自信を持ち、積極的に職務に取り組むことができます。
信頼関係を構築するためには、まず、オープンなコミュニケーションを心掛けることが必要です。管理者は自分の考えや意図を明確に伝え、透明性を持って行動することで、社員からの信頼を得ることができます。また、社員の意見や提案を真剣に聞き、それに対して誠実に反応することで、互いの尊重と理解を深めることが可能です。
管理職の主体性を高めるならストレッチクラウド
ここまで主体性の定義や主体性を高めるポイント、方法について説明いたしました。
弊社のストレッチクラウドでは、主体性あるマネジメント人材を育てるために、 まず、研修を通して事前に役割理解や役割遂行のための観点付与を行います。
その後、360度評価によって周囲からの期待と満足を可視化し、役割遂行に向けた自己課題は何か/課題を解決するためのアクションプランは何かを明らかにするというワークショップを継続的に実施します。 結果として、マネジメント人材になるための自立的な成長サイクルを実現しています。
ストレッチクラウドの詳細は、以下のサイト・記事で詳しく解説しています。
▼ ストレッチクラウドの詳細はこちら
https://stretch-cloud.lmi.ne.jp/service
まとめ
リンクアンドモチベーションは、経済産業省の平成17年度「社会人基礎力に関する調査」に参画し、下図の「人材要件フレーム」のとおり、社会人に求められる基礎力に関する要件定義をおこないました。
・人材要件フレーム
主体性は「スタンス」に該当しますが、スタンスが整っていないと、社会人としてのポータブルスキルやテクニカルスキルを養うことができません。社会人として活躍するためには、主体性は欠くことのできない要素だと言えるでしょう。
よくある質問
主体性とは?
主体性とは、自らの意志や判断に基づいて、自らの責任のもとで行動しようとする態度や性質を意味する言葉です。主体性のある従業員は上司の指示に従って仕事をするのではなく、自分自身の考えによって行動を選択します。そして、自らの行動がもたらす結果にも責任を負うことができます。
主体性を高める方法とは?
主体性を高めるには以下の3つがポイントとなります。
「自分で決めることをクセにすること」:人に指示されたことではなく、自分で選んだり自分で決めたりしたことには責任を持って取り組めるものなので、小さな仕事でも自分で決めるクセをつけましょう。
「自分の考えを言語化すること」:仕事に限らず、たとえば日々のニュースに対しても「自分だったら」と考えるクセをつけ、自分の考えを言語化するようにしてみましょう。
「何でもいいから自信を持つこと」:自分に自信がないから主体性を持てない人は少なくありません。何か一つでも自信を持てるようになると、「自己肯定感」が高まり、比例するように主体性も高まるはずです。
主体性発揮に向けたポイントとは?
全ての物事においてやみくもに主体性を発揮することには意味がないため、主体性発揮に向けたポイントは「目的意識を持つ」「他者視点を持つ」「自ら踏み出す」ことが重要です。 目的のない主体性は、成果には繋がりにくいため、常に目的と優先順位を考えながら仕事をすることが重要です。また、全ての仕事は、他者との関係性の中で成り立っています。顧客・上司・職場メンバー等、他者の立場に立って行動することが大切です。最後にいくら指示待ちをしていても、目の前の仕事は進みません。常に、自ら一歩踏み出し、自分の意見を他者に積極的に伝えていくことが重要です。また、常にモチベーションを高く持ち続けることも現実的ではないので、周囲の力も借りながら行動し続けることが重要になります。