
自己肯定感とは?低い人の特徴や高めるために意識すべき行動を解説
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仕事において、「失敗・ミスが怖くて挑戦できない・・・」「他人の評価が気になって萎縮してしまう・・・」といった悩みを抱えている人は少なくないはずです。
部下や後輩にこのような傾向が見られ、どう対処すべきか悩んでいるマネジャーも多いでしょう。このような心理は、「自己肯定感の低さ」からきている可能性があります。
自己肯定感とはどのようなもので、自己肯定感が低い場合・高い場合でそれぞれ仕事や人間関係にどのような影響をもたらすのでしょうか?
また、どうすれば高めることができるのでしょうか。今回は、現代社会に生きる人なら誰もが知っておきたい「自己肯定感」について解説していきます。
自己肯定感とは?
自己肯定感とは、「自分の良いところも悪いところも含めて、ありのままの自分を肯定する感覚」のことです。
「他人と比較して優れている」といった相対的な理由からではなく、誰かと比較しなくても、今の自分の全部を「そのままでいい」と認めて尊重する力が自己肯定感です。これは、同一人物でも高い時もあれば低い時もある、その時々の状況で認識が変化するものです。
自己肯定感が高い状態であれば、現状の自分の長所と課題の両方を適切に認識できているため、課題に対しても前向きに解決していこうと思い行動することができます。
また、周囲の人とも自分の長所と課題の認識がすりあっているため、自分では予想もしていなかった課題の指摘を受けて落ち込むということも少ないです。
自己肯定感は仕事だけでなく人生全般において、あらゆる物事に前向きに取り組むために役立つものだと言えるでしょう。
自己肯定感の高い時の行動の特徴
自己肯定感はその時々の状況に左右されるものですが、高い状態の時には以下のような行動の特徴があります。
■自己肯定感の高い時は自分の長所も短所も認識できている
自己肯定感が高い時は、自分の状態を感情は抜きにして理解できている状態です。「自分はこういうことができる能力がある」「自分はこういう場面のときはこのような課題がある」と、自分の能力に対して感情的に評価せず認識しているので、冷静に課題に向き合うことができます。
長所もあると適切に認識できているため、課題に対しても前向きに解決しようというモチベーションを持つことができている状態になりやすいです。
■自己肯定感の高い時は主体的に失敗を恐れずチャレンジできる
自己肯定感の高い時は、自分自身の長所や課題を適切に認識しており、それが周囲ともすり合っているので他人の目や評価に振り回されることがありません。「他人からどう思われるか?」を気にして怯えることがなく、どんなことにも主体的に伸び伸びと挑戦することができます。
また、課題が周囲とすり合っているため、過度に失敗を恐れません。「失敗してもまた頑張ればいい」「周囲から適切にフィードバックがもらえる」と前向きに考えられるので、新しいことや難しいことにも果敢に挑んでいけます。
たとえ失敗しても後悔せず、失敗を成長の糧にすることができます。次々とチャレンジできるので経験値も上がり、成長のチャンスも多く得られるでしょう。
■自己肯定感の高い時は健全な人間関係を築ける
自己肯定感が高い状態の時は、自分の長所と課題が周囲とすり合っており、「自分で認知している長所や課題」だけでなく、「自分は認知していなかったけれど周りからは長所・課題だと思われていること」も認識できています。
したがって、周囲の人に何かフィードバックをもらったとしても、「この課題に対してアドバイスしてくれているんだな」と素直に受け取ることができ、傷つくことなく会話することができます。
周囲の人と自分の長所や課題がすり合っているからこそ、発言に対して過剰にネガティブに捉えることがないので、健全な人間関係を築くことができます。
自己肯定感が高い場合の影響
自己肯定感が高い人は自分の能力に自信を持っており、意欲的・積極的に仕事に取り組みます。そのうえ、ストレスや不安に強く、精神的に安定しているため、常に高いパフォーマンスを発揮することが可能です。新しいことに挑戦することを恐れないので、次々と経験・実績を重ね、早いスピードで成長していきます。
また、自己肯定感が高い人は自分の考えや意見を堂々と伝え、周囲からの反対意見に対しても冷静かつ建設的な対応をします。このようにコミュニケーション能力に優れているため、周囲との信頼関係を構築するのがうまく、チームワークを高める存在になることができます。
自らの長所を正しく把握しているのも自己肯定感が高い人の特徴です。自分の長所を存分に活かすことができるので、より良い成果を生み出すことができます。長所と同様に短所もしっかりと認識していますが、短所についてくよくよ悩むことはなく、周囲の力を借りることも含め、「いかにして短所を補うか」ということを前向きに考えることができます。
自己肯定感の低い時の行動の特徴
自己肯定感の低い時の行動の特徴としては、以下のような点が挙げられます。
■自己肯定感の低い時はチャレンジ精神に乏しい
自己肯定感の低い時はありのままの自分を認めることができない状態のため、自分に自信がなくなり、行動を起こすことに対して不安を感じます。そのため、過度に失敗を恐れ、新しいことや困難なことに挑戦する勇気を持ちにくい状態になります。
また、失敗したときに「自分がダメだからこうなったんだ・・・」と落ち込み、挫折感を覚えがちです。マイナスの感情を引きずってしまうと、挫折が怖くてますます挑戦できなくなる悪循環に陥ることがあります。
■自己肯定感の低い時は承認欲求が強い
自己肯定感の低い時は、他人から評価されることで自分の価値を確かめようとします。それゆえ、「他人に認められたい」という承認欲求が強くなり、本質的な成果を上げることよりも、周りの人に褒められることを求めて行動が多くなる傾向にあります。
他人からの評価に重きを置いてしまう状態になっているため主体性が乏しくなり、自分で決断することを避けるようになります。
意思決定を周りの人に委ね、自分で決めざるを得ない状況でも「他人に否定されないかどうか」が気になり、適切な判断を下せない状態になってしまうこともあります。
▼承認欲求に関する記事はこちら
承認欲求とは?意味や承認欲求が強い人の特徴・対処法は?メリット・デメリットも解説!
■自己肯定感の低い時は他人と比べて自己嫌悪に陥る
自己肯定感の低い時は、他人と自分を過剰に比較する傾向があります。これは、自分の長所と課題を客観的に捉えることができていないがゆえに自分に対して肯定感を持てず、「他人と比べて優れている・劣っている」という基準でしか自分を評価できない状態になってしまっているためです。
もちろん、目標にしている人やライバルと比較することで自分を鼓舞するのは悪いことではありません。
しかし、常に他人と自分を比較し続け、「◯◯さんはできているのに、自分は・・・」と卑下し続けると、自分の能力を客観的に認識できず、自己嫌悪や劣等感で苦しむ原因になってしまいます。
自己肯定感の低い時に注意すべきこと
自己肯定感の低い状態の時は、自ら自己肯定感を下げるような行動をして、ますます「自分はダメだ・・・」と自己否定する負のループに陥りがちです。このような負のループから抜け出すには、どのようなことに注意すればいいのでしょうか。
■課題を漠然と捉えない
仕事などでより大きな成果をあげようとする姿勢は素晴らしいものです。
しかし、「もっと頑張らないと」「この程度ではダメだ」と漠然とした感覚で捉えてしまうと、今の努力を否定することにつながります。
自己肯定感の低くなっている場合は、ありのままの自分を受容できていないがゆえに、足りない部分にばかり目が向き、何もかもができていないような感覚に陥りがちです。
そのため、自信をなくしてしまうばかりか、適切に課題を認識できずに悪循環から抜け出せなくなってしまい、何も課題を解決できなくなってしまいます。
■ネガティブな思い込みに囚われない
自己肯定感の低い時は、ネガティブな思い込みが強くなる傾向にあります。「◯◯しなくてはならない」「◯◯したら絶対に失敗する」「○○できない自分は無価値だ」といった自分が作り上げた思い込みにとらわれ、自分自身を縛り付けてしまいやすくなっています。
ネガティブな思い込みから解放されるには、まずは「それが思い込みであると自覚すること」が大切です。
自分自身の行動を振り返ってみたとき、判断した基準が「◯◯しなくてはならないから」「◯◯すべきだから」というような「べき論」になっていた場合は要注意です。客観的で正しい判断ではなく、思い込みによって誤った判断をしている可能性があります。
自己肯定感が低い場合の影響
自己肯定感が低い人は、子どもの頃など過去の失敗によって自信を失い、自分自身にマイナスのイメージを抱いていると言われます。そのため、仕事に対しても消極的でパフォーマンスが低く、期待される成果を出すことができません。
また、自己肯定感が低い人は自分の価値や能力を低く見積もっていることもあり、失敗を恐れる気持ちが強く、「自分にはどうせできない」とチャレンジを避けがちです。そのため、成長のチャンスがあっても活かすことができず、「自分ができることだけをやる」という姿勢で現状維持に甘んじてしまいます。周囲とのコミュニケーションにおいても自分の意見を明確に伝えるのが苦手で、チームワークや協調性に欠けることがあります。
自分で自己肯定感を高めるコツ
他者と比較して得られる一時的な肯定感ではなく、「本当の意味での自己肯定感」を高めるにはどうしたらいいのでしょうか? 自分で自己肯定感を高めるための具体的なテクニックをご紹介します。
■今抱えている不安を書き出して客観視する
自己肯定感が低く、常に不安に苛まれている状態になっている場合は、「今自分が抱えている不安」を紙などに書き出してみましょう。アウトプットすることで、頭の中を支配していた漠然とした不安が自分から切り離され、客観視できるようになります。
不安の正体を冷静に見つめることで、「これは思い込みだったんだな」「自分を過少評価してしまっていたな」などと自覚できる可能性があります。
また、「こんなことに不安を感じているのはバカらしい」というような気付きを得られることもあるでしょう。このような気付きがあると、自分は何ができて何ができないのかを明確に認識することができるため、解決に向けた具体的行動ができるようになります。
■第三者とすり合わせする
自分で不安を書き出し、長所や課題を言語化できたら上司や同僚とその長所と課題をすり合わせしてみましょう。
自分では課題だと思っていたことも、周囲から見ると実はよくできており、課題ではないと言われることもあるかもしれませんし、逆に自分では長所だと思っていても、周囲から見ると改善できるポイントがもっとあるかもしれません。
心理学モデルの一つに「ジョハリの窓」というものがあります。
周囲とのコミュニケーションをとる中で、隠された窓である自分の認識を周囲に開いていき、気づかない窓である自分では気づいていない周囲からの認知を知っていくことで、自分の長所・課題が明確になり、どのような課題解決の行動をとるべきかが分かります。
自己肯定感を高めたいのなら、リンクアンドモチベーション
ここまで自己肯定感について説明してきました。
自己肯定感が低い時はありのままの自分を認めることができない状態にあたり、その解決の方向性として「今抱えている不安を書き出して客観視する」「第三者とすり合わせする」ことをお伝えしました。
リンクアンドモチベーションでは様々な研修を提供していますが、自分自身をコントロールする上で、身に付けるべき重要な視点として「変えられることだけにエネルギーを注ぐ」ことを挙げてます。私たちは普段、「変えられない」と分かっているはずのことに、多大なエネルギーや労力を費
やしている場合が多く見られるのではないでしょうか。「変えられるもの」とは何か、どのように自身をコントロールしていくのか、を体感型研修でわかりやすくお伝えいたします。
▼セルフコントロールとは?意味や身に付けるメリット、高める方法を解説!
https://stretch-cloud.lmi.ne.jp/column/0084
▼総合不動産 D社グループ 事例記事:
~プラス思考を生み出す“思考の切り替え”が、成長を促す「自分創り」に繋がる~
https://solution.lmi.ne.jp/hr_development/case/1184
まとめ
自己肯定感は、同じ人でも高くなったり低くなったりを繰り返すものです。前向きな思考で、どんなことにでも自信を持って取り組んでいくためには、自分自身の状態に自覚的になり、客観視することが大切です。
本記事でご紹介したようなコツを意識し、自分の状態を適切に捉え、思考を切り替えられるようにしていきましょう。