自主的の意味や使い方とは?「自発的」「主体的」などの類義語との違いも解説
「自主的」とは、自ら率先して行動する姿勢のことですが、似た意味を持つ言葉として「自発的」「積極的」「主体的」「能動的」などがあります。これらはほぼ同じ意味の言葉として使われますが、文脈によっては微妙にニュアンスが変わってきます。
シーンに合わせて最適な言葉を選択できるよう、今回は「自主的」という言葉にフォーカスして、その意味や類義語との違いなどについて解説していきます。
目次[非表示]
- 1.自主的の意味
- 2.自主的の使い方
- 3.自主的と自発的の違い
- 4.自主的と主体的の違い
- 5.自主的と積極的の違い
- 6.自主的と能動的の違い
- 7.「自主性」より「主体性」が求められている理由
- 8.まとめ
- 9.よくある質問
自主的の意味
「自主的」とは、自ら率先して行動する姿勢のことです。「自主的」の「自主」は「独立して物事を実施する」という意味があり、「的」は「◯◯の傾向がある」という意味があります。なお、広辞苑に掲載されている「自主的」の意味は以下のとおりです。
他からの指図や干渉によらずに、なすべきことを自分の意思に基づいて行うさま。
ビジネスシーンでは、上司などから指示を受けることなく、部下が自ら率先して動く様子などに対して「自主的」という言葉が使用されます。
自主的の使い方
繰り返しになりますが、「自主的」とは他人から指示・強制されるのではなく、自分の意思で行動する様子を示す言葉です。以下は、「自主的」を使った具体的な例文です。
- 部活の他に、自宅でも自主的にトレーニングをしている
- 部下は自主的に動いてくれるから、自分がわざわざ指示しなくてもいい
- 組織では自主的に行動できる人材が高い評価を得る
- いずれ仕事で求められる知識について、今のうちから自主的に勉強しておく
自主的と自発的の違い
「自主的」と混同されやすい言葉の一つが「自発的」です。広辞苑に掲載されている「自発的」の意味は以下のとおりです。
自分からはたらきかけるさま。物事を自分からすすんで行うさま。
「自発」という言葉には、「自分から思い立つ」という意味があります。他人から指示されたり強制されたりすることなく、自らの意思で動くという意味では、「自主的」と同義だと言えるでしょう。ニュアンスの違いを挙げるとすれば、「自主的」は「他人から言われることなくやる」というニュアンスが強いのに対し、「自発的」は「自分で思い立ってやる」というニュアンスが強い言葉だと言えます。
自発的の使い方
以下は、「自発的」を使った例文です。
- 今日は自発的に洗濯と皿洗いをした
- 選手が自発的に動き、攻撃の姿勢を強めた
- 強制ではなく、自発的な参加を推奨している
- 困っている人を見て、自発的に助けに動いた
自主的と主体的の違い
「主体的」もまた「自主的」と似た意味を持つ言葉です。広辞苑に掲載されている「主体的」の意味は以下のとおりです。
他に強制されたり、盲従したり、また、衝動的に行ったりしないで、自分の意志、判断に基づいて行動するさま。
ビジネスの場面では、いずれも頻繁に耳にする言葉です。上述のとおり、「自主的」は他者からの指示がなくても、率先してやるべきことに着手する態度のことです。一方、「主体的」は、自らの意志や判断に基づいて、自らの責任のもとで行動しようとする態度のことです。
このように「自主的」も「主体的」も似た意味を持っていますが、違いを挙げるとすれば、「主体的」のほうが「自らの責任のもとで」というニュアンスが強いことでしょう。つまり、「主体的」な人は、自分の判断で行動を選択するだけでなく、自らの行動がもたらす結果にも責任を負うことができる人、ということです。よく言われることですが、新入社員も含めたすべてのビジネスパーソンは「自主的」であることが求められます。一方で、特にマネジメント層やリーダー層は「主体的」であることが求められます。
▼主体性に関する記事はこちら
主体性とは?自主性との違いや高めるコツについて徹底解説!
主体的の使い方
以下は、「主体的」を使った例文です。
- 主体的に仕事に向き合うことこそが成長につながる
- 主体的に問題に取り組まなければ、解決策は見えてこない
- 組織力向上のため、一人ひとりの従業員が主体的に取り組む姿勢を育みたい
- 最近は、主体的に子育てに携わる男性が増えている
自主的と積極的の違い
「自主的」と混同されやすい言葉として、「積極的」という言葉もあります。広辞苑に掲載されている「積極的」の意味は以下のとおりです。
物事を進んでするさま。「積極的に仕事に取り組む」。⇔ 消極的
「自主的」と「積極的」の違いを挙げるとしたら、「自主的」はどちらかと言えば自らの行動にフォーカスした言葉だと言えますが、「積極的」は他者の行動を求める場合などにも使われます。たとえば、積極的に他者から意見を募ったり、積極的に周囲にアドバイスを求めたりする場合などは、「自主的」ではなく「積極的」が使われます。広辞苑にあるように「消極的」の対義語であることを意識すると、使うべきシーンが明確になるでしょう。
積極的の使い方
以下は、「積極的」を使った例文です。
- 他部署のメンバーから積極的に意見を募る
- 状況を打開するためには、積極的に動く必要がある
- 会社の飲み会で、積極的にコミュニケーションを取った
- 彼は、あらゆるイベントに積極的だ
自主的と能動的の違い
「能動的」もまた「自主的」と似た意味を持つ言葉です。広辞苑に掲載されている「能動的」の意味は以下のとおりです。
自分から他に働きかけるさま。⇔ 受動的
「能動的」と「自主的」の違いを挙げるとしたら、「能動的」は基本的に他者へ何らかの働きかけをおこなう際に用いられる言葉である点でしょう。「自主的」は、必ずしも他者へ働きかけるわけでなく、自分の行動だけで完結するシーンでも用いられます。また、広辞苑にあるように「受動的(受け身)」の対義語であることを意識すると、使うべきシーンが明確になるでしょう。
能動的の使い方
以下は、「能動的」を使った例文です。
- 能動的に上層部へ働きかけたことで、環境改善が実現した
- 能動的な姿勢がないと、成長はできないだろう
- 現在の会社には能動的な人材が求められている
- 彼は能動的なアプローチによって契約を勝ち取った
「自主性」より「主体性」が求められている理由
現在は、自主性よりも主体性が求められています。その理由として、以下のようなものが挙げられます。
ビジネスシーンでも主体性が求められている
現代のビジネスシーンにおいては、自己の意思決定能力や問題解決能力が求められています。ビジネスが複雑化し、グローバル化する中、新たな問題が生じるため、能動的に対処することが必要です。それに加えて、自己主張ができる人材は、同僚や上司、顧客などとのコミュニケーションにおいて、より自信を持って交流することができます。
自主性ができる人材は、チームの中でもリーダーとしての役割を担うことができます。同僚や上司とのやりとりにおいて、自分の考えを適切に伝え、問題解決につながる提案を行うことができるため、チームの成果を大きく引き上げることができます。さらに、自己主張ができる人材は、他のメンバーの意見を聞き入れつつ、自分の意見も主張することができるため、チームの協力的な雰囲気を作り出すことができます。
ビジネスシーンで成功するためには、自主性があることが必要不可欠です。自分の意見を適切に主張し、プロジェクトやビジネスの成功につながる提案を行うことができる人材は、競争の激しい現代のビジネスシーンで生き残ることができます。
受け身だけで成り立たない場面がある
社会においては、様々な場面で自分自身で問題を解決する必要があります。例えば、自分の意見を主張する場面や、困難な状況に陥った場合などです。このような場面では、主体性がある人材であることが重要です。主体性がある人材は、自分自身で問題を発見し、解決するために必要なスキルを持っています。また、自信を持って自分が持つ意見を主張することができるため、周囲の人々との意見交換に積極的に参加することができます。
主体性を持っている人材は、自分自身で問題を解決する力に加えて、創造性やリーダーシップなどの多様なスキルを持っています。例えば、主体性を持っている人材は、新しいアイデアを生み出したり、新しいビジネスモデルを考案したりすることができます。また、自分自身で問題を解決することができるため、周囲の人々をリードし、チームを成功に導くことができます。
老後2000万円問題が重要視されている
近年、日本の高齢化社会において、老後に必要な資金が2000万円以上必要であることを指す老後2000万円問題が注目されています。この問題は、将来の生活に対する不安を感じる多くの人々にとって深刻な課題です。
この問題に対処するためには、自分自身の力で収入を増やすことが必要であり、そのためには様々な方法があります。たとえば、自己啓発書を読んだり、セミナーや講座に参加することで、自己啓発に努めることが大切です。また、資格取得にチャレンジすることで、自分自身のスキルアップを図ることができます。さらに、副業や投資に取り組むことも考えられます。これらの方法を駆使して、主体性がある人材は、自らの力で収入を増やし、老後2000万円問題に対処することができます。
老後に備えることは、今や当たり前のこととなっていますが、その準備をしたうえで、自分自身の将来について考え、行動していくことが大切です。自分の人生に対する主体性を持つことで、老後も良い生活を送ることができるでしょう。
主体性を身に付ける方法
主体性を身につける方法として、以下のようなものがあります。
■目標を設定する
主体性を身につけるためには、まず自分自身に目標を設定することが大切です。目標を設定することで、自分自身が何を達成したいのかが明確になり、そのために必要な行動を起こすことができます。
■ポジティブに考える
主体性を身につけるためには、ポジティブに考えることが大切です。自分自身ができることを見つけ、積極的に取り組む姿勢を持つことが必要です。そのためには、自分自身に厳しく、努力を怠らず、継続的に学び続けることが必要です。さらに、他人からの批判や失敗に対しても恐れず、前向きに受け止めることが大切です。
■自己啓発に取り組む
主体性を身につけるためには、自己啓発に取り組むことが大切です。自己啓発書を読んだり、セミナーや講座に参加することで、自分自身を成長させることができます。また、自己啓発には様々な方法があります。例えば、自己啓発アプリを使用することもできます。
■周囲と人々と積極的に交流する
主体性を身につけるためには、周囲の人々と積極的に交流することが大切です。自分自身の意見を積極的に表現することで、自己主張ができる力を身につけることができます。
ビジネスにおける自主性の評価ポイント
ここまで、「自主性」の類義語との違いをお伝えしてきましたが、最後に、ビジネスにおける「自主性」の評価ポイントについてお伝えします。
前提として、ビジネスにおいて「自主的と認められるかどうか」は、自分の認識ではなく、周囲からのみられ方で決まります。なぜなら、ビジネスにおいて価値を決めるのは「自分」ではなく「相手」だからです。
そのため、自主的に行動することは周囲が求める基準感と、自分が想定している基準感をすり合わせ続けることと同義といえるでしょう。
すり合わせるべき観点としては、下記4つです。
【1】目的意識の違い
➀課題を「何のために」解決するのかという課題意識(Target)
②「相手」の期待を超えようとする相手視点(Roleplay)
【2】言動の違い
③実際に自らの「発言」で示すという積極性(Say)
④実際に自らの「行動」で示すという一貫性(Action)
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ビジネススタンス研修(新入社員向け)
まとめ
ビジネスシーンにおいては、「自主性」の意味を理解し、価値を決めるのは「自分ではなく相手である」ことを理解したうえで、「周囲からの期待をすり合わせ続ける」ことが重要です。
最近は、若手の定着・活躍(=離職率の低下)に注目が高まっていますが、入社3年目までに、多くの会社で下記のようなことが起きています。
例
- 「入社時(配属前)」:オンラインが当たり前の大学時代を過ごし、周囲に踏み込めない。
- 「1年目-2年目」:出来ない自分を受け入れられず「自分は無能だ」と精神状態が不安定になる。
- 「3年目」:できることが安定し、「自分はできている」と自信過剰になる。
新入社員の主体性の育み方で悩んだ際には、「周囲との期待をすり合わせ続けられる職場環境づくり」を見直してみてはいかがでしょうか。
よくある質問
自主的の意味とは?
「自主的」とは、自ら率先して行動する姿勢のことです。「自主的」の「自主」は「独立して物事を実施する」という意味があり、「的」は「◯◯の傾向がある」という意味があります。なお、広辞苑に掲載されている「自主的」の意味は以下のとおりです。
他からの指図や干渉によらずに、なすべきことを自分の意思に基づいて行うさま。
ビジネスシーンでは、上司などから指示を受けることなく、部下が自ら率先して動く様子などに対して「自主的」という言葉が使用されます。
自主的の使い方は?
「自主的」とは他人から指示・強制されるのではなく、自分の意思で行動する様子を示す言葉です。以下は、「自主的」を使った具体的な例文です。
- 部活の他に、自宅でも自主的にトレーニングをしている
- 部下は自主的に動いてくれるから、自分がわざわざ指示しなくてもいい
- 組織では自主的に行動できる人材が高い評価を得る
- いずれ仕事で求められる知識について、今のうちから自主的に勉強しておく