フレックスタイム制とは何?導入時のメリット・デメリットや残業について解説
時代は多様な働き方へとシフトし、企業と従業員のニーズに応えるフレックスタイム制が注目されています。この制度は、労働者が個々のライフスタイルに合わせて労働時間を自由に決められるという柔軟性を提供し、ワークライフバランスの改善を目指しています。従業員の自主性と企業の生産性向上の両立がこの制度の鍵となります。
本記事では、フレックスタイム制についてその目的やメリット・デメリットなどをご紹介します。
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フレックスタイム制とは何?
フレックスタイム制は、柔軟な労働時間制度の一つで、従業員が出勤および退勤の時刻を一定の範囲内で自由に設定できる制度です。フレックスタイム制を導入することで、労働者のワークライフバランスの改善と仕事の効率化を見込むことができます。
従業員は個人の生活リズムや業務の状況に合わせて労働時間を調整することが可能で、これによって通勤ラッシュの回避や、家庭と仕事の両立がしやすくなるというメリットがあります。
フレックスタイム制を実施する目的
・ワークライフバランスの改善
フレックスタイム制を導入する主な目的の一つは、従業員のワークライフバランスの向上です。従業員が自身の生活リズムや家庭の状況に合わせて労働時間を調整できるため、仕事と私生活の調和が取りやすくなります。
例えば、子育てや介護といった家庭の責任と仕事の責任を両立しやすくなるため、従業員のストレスの軽減に繋がり、結果として離職率の低下や従業員満足度の向上が期待できます。
・生産性の向上
もう一つの目的は、個々の従業員の生産性の向上です。フレックスタイム制では、従業員が自分の最も集中できる時間帯に仕事をすることができるため、仕事の効率が高まります。
また、通勤ラッシュを避けたり、緊急の私用に柔軟に対応できるなどの点も、従業員の仕事への集中力やモチベーションの向上に寄与します。労働者一人ひとりの能力を最大限に活かすことで、企業の総合的な生産性の向上にも繋がると考えられます。
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フレックスタイム制の仕組みとは
コアタイム
コアタイムはフレックスタイム制の中核となる概念で、全従業員が出勤していなければならない時間帯を指します。この時間帯は、チームミーティング、プロジェクトの協議、情報共有のセッションなど、協同作業やコミュニケーションを重視するために設けられます。
たとえば、毎日午前10時から午後3時までがコアタイムに指定されている場合、従業員はこの時間帯には必ず職場にいる必要があります。
フレキシブルタイム
フレキシブルタイムは、従業員がコアタイム以外の勤務時間を柔軟に設定できる時間帯を指します。従業員は、自身のライフスタイルや業務の繁忙度に応じて、出勤及び退勤の時刻を自由に選択することができます。
たとえば、朝が得意な人は早朝に仕事を始め、夕方には早く退社することが可能です。逆に夜型の人は遅めに出勤し、夜遅くまで業務を行うこともできます。
フレックスタイム制導入のメリット
通勤ラッシュの回避
フレックスタイム制の導入により、全従業員が同時刻に通勤する必要がなくなります。これによって、通勤時間帯の混雑が軽減され、従業員はストレスの少ない環境で仕事に臨むことができます。ストレスの減少は、従業員のメンタルヘルスの改善に寄与し、職場全体の雰囲気を良好に保つ効果が期待できます。
従業員のモチベーション向上
個々の従業員が自分の生活リズムに合わせて勤務時間を決定できるため、仕事に対する満足度が高まります。その結果、職場の士気が向上し、仕事への取り組みが活発になります。
また、仕事の自律性が高まることで、創造性やイノベーションの促進にもつながり、職場の中で生じている問題や課題を解決することができるきっかけになる可能性があります。
ワーク・ライフ・バランスの充実
フレックスタイム制は、従業員が自身のプライベートな予定や体調、生活リズムに合わせて勤務時間を柔軟に設定できるため、仕事と私生活のバランスを取りやすくします。この柔軟性により、家族の時間、趣味や休養、そして仕事を無理なく組み合わせることが可能になり、職場のストレス軽減や個人の生活の質の向上に寄与します。
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労働生産性の向上
従業員が自分の体調や生活状況に最適な時間に仕事を行うことで、仕事の効率が上がります。無理なスケジュールに縛られることなく、個人の最高のパフォーマンスを発揮する時間を選択できるため、全体としての労働生産性が向上します。これは、企業の利益増加に直結し、競争力のあるビジネスを構築する上で欠かせない要素です。
フレックスタイム制導入のデメリット
勤務管理の複雑化
フレックスタイム制を導入すると、従業員の出勤・退勤の時間が多様化するため、勤怠管理が複雑になります。従来の固定勤務時間に基づく管理システムでは対応が難しく、新たなシステム導入にはコストがかかることもあります。また、従業員による勤務時間の把握ミスや不正など、管理上のリスクも高まる可能性があります。
コミュニケーションの障壁
従業員が異なる時間帯に勤務することで、チームメンバー間のコミュニケーションが難しくなることがあります。情報共有の遅れや誤解が生じやすく、プロジェクトの進行に影響を与える可能性があります。また、対面での即時的なコミュニケーションが減ることで、チームの結束力が弱まることも懸念されます。
ワークライフバランスの乱れ
フレックスタイム制はワークライフバランスを改善するための制度ですが、自己管理が不得手な従業員にとっては、仕事と私生活の境界があいまいになり過労を招く原因にもなり得ます。特に在宅勤務が組み合わされる場合、仕事の時間とプライベートの時間が混在し、結果としてストレスが増大することもあります。
公平感の欠如
全ての従業員がフレックスタイム制を利用できるわけではないため、職種によっては制度の恩恵を受けられない場合があります。例えば、顧客対応や製造ライン作業など、時間に依存する業務を担当している従業員は固定された勤務シフトを強いられがちです。これにより、職場内での不公平感が生じ、モチベーションの低下や社内不和の原因になる可能性があります。
フレックスタイム制導入時の注意点
労働時間の適正管理
フレックスタイム制導入時には、従業員の労働時間を適切に管理することが非常に重要です。勤務時間の自由度が増す一方で、法定労働時間を超える残業が発生しないように留意する必要があります。
労働基準法に定められた時間外労働のルールを遵守し、過労による健康被害を防ぐためにも、管理体制を整え、従業員に対しても勤務時間の自己管理を徹底させることが大切です。この管理ができていない場合、長時間労働による問題が生じる可能性があります。
勤務実績の正確な把握
フレックスタイム制を導入する際には、個々の従業員の勤務時間を正確に記録し、集計する体制が求められます。
特にコアタイムの設定やフレキシブルタイムの範囲内での勤務を適正に管理するためには、タイムカードや打刻システム、勤怠管理ソフトの導入など、技術的なサポート制度や仕組みなどを利用して、実態との乖離がない勤務実績の記録が必要です。不正確な記録は労働紛争の原因にもなり得るため、十分な注意が必要です。
従業員への十分な説明と教育
フレックスタイム制を導入する際には、従業員への周知と理解が欠かせません。制度の目的、利用方法、勤務時間の計算方法、法令遵守の重要性などについて、丁寧な説明を行うことが必須です。
また、自己管理が求められる制度であるため、時間管理や労働生産性の向上に対する意識付けやトレーニングを提供することで、制度の有効な運用を支援します。従業員の理解と協力が制度成功の鍵を握るため、十分なコミュニケーションと教育が不可欠です。
フレックスタイム制を導入している会社の特徴
フレックスタイム制を導入している会社は、労働者の多様性と働き方改革を重視している点で共通しています。これらの会社では、従業員一人ひとりのワークライフバランスを尊重し、個々の生活状況や生産性の向上を目指して柔軟な働き方を推進しています。特に、従業員が子育てや介護などの私生活と仕事を両立させやすい環境を作ることで、モチベーションの維持や離職率の低減を図っています。
また、フレックスタイム制を導入する企業は、働き方の多様性を認めることで、より幅広い人材の獲得と保持を目指すことが多いです。特に、クリエイティブな業務や自己管理能力が求められる分野では、労働者の自由度を高めることで、創造性や効率性を高めることができます。
導入の背景には、労働市場の競争が激化していることや、新たな世代の働き手が仕事に対して求める価値観の変化があります。また、テクノロジーの進展により、場所や時間にとらわれずに仕事ができる環境が整ってきたことも、フレックスタイム制の導入を促進しています。
フレックスタイム制に関するよくある質問
スーパーフレックス制度とは?
スーパーフレックス制度とは、通常のフレックスタイム制度をさらに柔軟にした勤務形態です。従来のフレックスタイム制における「コアタイム」(出勤が必須とされる時間帯)を設けず、従業員が自己の裁量で始業・終業の時刻を決定できるシステムです。
この制度は、従業員に対して最大限の自由度を与えることで、個々のライフスタイルや業務効率の最大化を図ります。ただし、完全な自由度を提供する一方で、業務の成果や納期を重視する自己管理能力が求められるため、従業員には高い自律性と責任感が必要です。
時差出勤との違いは?
時差出勤とフレックスタイム制(スーパーフレックス 含む)との主な違いは、勤務時間の設定に関する自由度にあります。時差出勤は、通勤ラッシュを避けるなどの目的で始業時間をずらすことを指しますが、その始業・終業時刻は企業が定めるため、従業員に与えられる自由度は限定的です。
一方でフレックスタイム制は、始業・終業時刻を従業員が自由に設定できるため、個々の生活スタイルや仕事のペースに合わせた働き方が可能になります。
時短勤務とは?
時短勤務とは、従業員がフルタイムではなく短い時間だけ働く勤務体系を指します。これは特に子育てや介護などの私生活の事情を持つ従業員に適用されることが多く、彼らが職場にとどまり続けることを支援する制度です。時短勤務は法定労働時間よりも短い勤務時間で構成され、従業員のライフステージに合わせたフレキシブルな働き方を可能にします。
この制度は、ワークライフバランスの実現や女性の職場復帰の促進など、社会全体の労働力参加率の向上にも寄与しています。
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ここまでフレックスタイム制とは何かについて説明いたしました。
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まず、研修を通して事前に役割理解や役割遂行のための観点付与を行います。
その後、360度評価によって周囲からの期待と満足を可視化し、役割遂行に向けた自己課題は何か課題を解決するためのアクションプランは何かを明らかにするというワークショップを継続的に実施します。 結果として、マネジメント人材になるための自立的な成長サイクルを実現しています。
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まとめ
フレックスタイム制は現代社会における労働の新標準として急速に普及しています。この制度により、従業員は自己の働き方を再設計でき、企業はより高い生産性と従業員満足度を実現できる可能性を秘めています。
しかし、成功への道は適切な管理と従業員教育が不可欠であり、これからもその運用には注意が求められます。適切な管理手法を整備することを視野に入れた上で、フレックスタイム制を活用しましょう。