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コミットメントとは?ビジネスでの正しい意味や使い方・使用例

近年、「コミットメント」という言葉を耳にすることが増えています。ただ、なかには意味を理解せずに何となく使っている人もいるかもしれませんので。

今回は、コミットメントの意味やビジネスシーンにおける使用例、また「組織コミットメント」という概念について分かりやすく解説していきます。

目次[非表示]

  1. 1.コミットメントとは
  2. 2.コミットメントの各分野における意味
  3. 3.コミットメントのビジネスシーンにおける意味と使用例
  4. 4.組織コミットメントの意味
  5. 5.コミットメントが個人に与えるメリット3つ
  6. 6.コミットメントを高める研修等はストレッチクラウドへ
  7. 7.まとめ
  8. 8.コミットメントに関するよくある質問

コミットメントとは

コミットメント(commitment)という言葉には、「委託」「約束」「誓約」「公約」「投獄」「勾留」「責任」など様々な意味があります。なお、コミットメントは名詞であり、動詞は「コミット(commit)」です。

コミットという言葉は、パーソナルジムRIZAP社のCMで耳にしたことがある方も多いでしょう。RIZAP社のCMの「結果にコミットする」というフレーズは、「結果を約束する」「結果に責任を持つ」という意味で使われています。「絶対に痩せさせます」「必ず理想のボディに導きます」というような、非常に強いニュアンスを持った宣言だと言えるでしょう。

■モチベーションとの違い

モチベーション(motivation)は、日本語で「やる気」「動機」などと訳される言葉です。コミットメントとは意味が異なりますが、コミットメントと同じくビジネスシーンでよく用いられる言葉で、「◯◯さんはモチベーションが低い」「契約をとれたからモチベーションが上がる」といった使い方をします。

コミットメントの各分野における意味

■金融

金融の分野では「コミットメントライン」という用語が有名です。コミットメントラインとは日本語で「融資枠」のことで、金融機関が企業に対して一定の期間、一定の融資枠を設定・維持することを言います。 会社は金融機関とコミットメントライン契約をすることで、契約の期間内であれば、設定した融資枠のなかで何度でも資金の借り入れをおこなうことができます。金融機関は原則として、融資枠内で求められた融資を拒否することができません。 コミットメントライン契約をおこなうことで、融資を受ける会社側は必要に応じてタイムリーに資金調達できるようになり、資金繰りの安定性が確保されます。また、コミットメントライン契約は契約時に審査があるだけで、契約中は審査などの手続きが必要ないため、時間・手間がかからないのもメリットの一つだと言えるでしょう。 一方、コミットメントラインのデメリットとしては、手数料が発生することが挙げられます。コミットメントラインは、通常の金利とは別に契約時に手数料が発生します。加えて、コミットライン契約ができるのは「特別融資枠契約に関する法律」の適用法人に限られていることや、通常の融資よりも金融機関の審査が厳しいことなどはデメリットだと言えるでしょう。

■心理学

心理学の分野では「コミットメント効果」という言葉が使われることがあります。新しいことにチャレンジするときや目標を掲げたときに、それを口に出して宣言する(コミットメントする)ことで実現しやすくなるという経験則を持っている人は多いのではないでしょう。これを、心理学では「パブリック・コミットメント」と言います。 パブリック・コミットメントは心理学者のクルト・レヴィン氏が提唱した心理効果であり、周囲の人に自分の目標を宣言することで、目標の達成率が高くなることを言います。なぜこのような心理効果が表れるかと言うと、私たちは自分の行動や発言、態度や信念などを一貫性のあるものにしたいという性質があるからです。これは「一貫性の法則」と呼ばれています。

■経済学

経済学の分野でもコミットメントという言葉が使われますが、ビジネスシーンで使われるコミットメントとは意味が異なります。経済学においてコミットメントとは、「その行動しかとれないようにするような実効性のある仕組みをつくること」を言います。 経済学者の神取道宏氏はコミットメントの分かりやすい例として「スペイン軍のメキシコ侵攻」を挙げています。1519年、植民地化を狙ってメキシコに侵攻したスペイン軍を率いていたエルナン・コルテスは、現地に着くと1隻を除いて、残りすべての自船を焼き尽くしました。こうして、戦う以外の選択ができなくなる実効性のある仕組みをつくることによってメキシコ軍を怯ませ、有利に戦いを進めたのです。

コミットメントのビジネスシーンにおける意味と使用例

ビジネスシーンで「コミットメント」と言ったら、RIZAP社のCMのように「約束する」という意味か、もしくは「関与する」という意味で使われるのが一般的です。

■「約束する」という意味のコミットメント

コミットメントには「約束する」という意味がありますが、軽い約束ではなく、「責任を持って結果を約束する」という強めのニュアンスが含まれます。

顧客に対して、または上司に対してコミットメントという言葉を使うシーンがあるかもしれませんが、「商品・サービスの効果を約束する」「仕事の成果を約束する」といったニュアンスになるので、相手の期待値は高くなります。軽い気持ちでコミットメントという言葉を使うのは避けたほうが良いでしょう。

【例文】
「新規事業の成功をコミットメント(コミット)する」
意味:責任を持って新規事業の成功を約束する

なお、軽い意味での「約束」は、英語では「promise(プロミス)」を使います。たとえば、待ち合わせの時間を約束するという意味なら、コミットメントではなくプロミスを使うべきです。

■「関与する」という意味のコミットメント

コミットメントには「関与する」という意味もあります。関与するという意味で使う場合も、軽く関わるというニュアンスではなく、「主体的な姿勢で真剣に関わる」という強めのニュアンスを持っています。

【例文】
「来期のプロジェクトにコミットメント(コミット)する」
意味:来期のプロジェクトに真剣に関わる

コミットメントを会話で用いる際の注意点

上述のとおり、コミットメントは「約束する」という意味で使う場合も、「関与する」という意味で使う場合も重いニュアンスを伴います。コミットメントという言葉を使うからには、それなりの心構えが必要です。 言葉の重さを理解したうえで、自らの覚悟や本気度、意気込みを伝えるためにコミットメントという言葉を使うのは良いことです。逆に、軽い気持ちでコミットメントという言葉を口にして、行動や結果が伴わなければ顧客や社内からの信頼を失ってしまうでしょう。

組織コミットメントの意味


組織コミットメントとは主に人事領域で使われる言葉で、「従業員が組織に対して抱く帰属意識や愛着」という意味があります。組織コミットメントが高い職場は、従業員のモチベーションが高い状態にあるので生産性の向上が期待できるほか、商品・サービスの改善が促されたり新規事業のアイデアが生まれたりと、ビジネスに様々な好影響をもたらします。

■一人ひとりの従業員の特性に合った仕事・役割を与える

組織コミットメントを構成する要素の一つに、「情緒的コミットメント」というものがあります。

情緒的コミットメントとは、従業員が持つ感情や価値観から生まれるコミットメントのことで、「この会社が好き」「この会社で働くのが楽しい」という状態は、情緒的コミットメントが高い状態だと言えます。

従業員のスキルや適性に合った仕事や役割を与えることで、仕事に対する満足度が高まり、情緒的コミットメントも高くなる傾向にあります。

このように、一人ひとりの従業員の能力や適性を把握して、その従業員にふさわしい仕事・部署・ポジションに配置することを「適材適所」と言います。

▼適材適所については、以下の記事で詳しく解説しています。
適材適所とは?必要性や実践する上でのポイントを解説

■従業員に企業理念やビジョンをしっかり伝える

従業員が「この会社が好き」だと言えるためには、企業理念やビジョンに共感している必要があります。組織コミットメントのなかでも情緒的コミットメントを高めるには、企業理念やビジョンを現場の従業員にしっかり伝えることが大切です。

「会社の理念に共感できる」「ビジョン実現のために自分も力になりたい」という従業員が増えれば、情緒的コミットメントも高くなります。

つまり、コミットメントには、誰かのため・何かのためといった目的とセットで考えることが必要です。自らが行動を起こして、何のための成果を追求するかを合わせて考え、周囲に伝えましょう。

企業においては、会社として実現したいことが「理念」に掲げられているからこそ、「理念に沿ったコミットメントや行動」が重要になります。

コミットメントとは?正しい意味や使い方、高める方法について解説!

前提として理念に共感していることが大事になりますが、入社後に急に「理念への共感」を促すのは難しいものです。だからこそ、採用時から理念に共感する人材を仲間に入れることが必要となります。

▼企業理念やビジョンについては、以下の記事で詳しく解説しています。
企業理念とビジョンの違いは?
ビジョンとは?経営におけるビジョンマネジメントのポイント

■同僚や上司が協力・支援する

真面目な従業員ほど、「自分の仕事は自分でやるべき」「周囲に迷惑をかけたくない」といった気持ちから一人で抱え込みがちですが、誰にも相談できず孤立した状態が続くと組織コミットメントは低下してしまいます。一人で抱え込ませないよう、同僚や上司がいつでも協力・支援できるような風土をつくることが重要です。

■待遇・環境の向上を図る

組織コミットメントの要素の一つとして「功利的コミットメント」というものがあります。功利的コミットメントとは、損得勘定によって生まれるコミットメントのことで、「今この会社を辞めたら損だ」という気持ちがあるのは功利的コミットメントが高い状態です。功利的コミットメントを高めるのであれば、待遇・環境の向上を図るのが有効です。給与はもちろん、福利厚生を充実させたり、多様な働き方に対応したりすることで、結果として組織コミットメントの向上が期待できます。

■コミュニケーションを活性化させる

組織コミットメントの要素の一つとして「規範的コミットメント」というものがあります。規範的コミットメントとは「所属する組織に忠誠を尽くさなければならない」といった価値観から生まれるコミットメントのことで、会社にいる人たちに恩義を感じている状態は規範的コミットメントが高い状態だと言えます。コミュニケーションを活性化させることで、周囲と良好な関係を構築できたり、感謝の気持ちが生まれたりして規範的コミットメントが高まっていきます。その結果、組織コミットメントの向上にもつながっていくはずです。

コミットメントが個人に与えるメリット3つ

「目的のあるコミットメント」には「個人に与えるメリット」が3つあります。

■個人の成果につながりやすい

個人がコミットメントするメリットの一つが、結果への意識が高まり、成果につながりやすくなることです。コミットメントをしない人は、基準や期日が曖昧なまま仕事をしており、達成意欲が希薄なので成果をあげるのも難しくなります。一方、コミットメントができる人は基準を持ち、期日を設定したうえで仕事に臨みます。「どのように進めていけばコミットメントしたことを達成できるのか」と考え、マイルストーンやTODOを明確にしたうえで行動するので、個人として成果を創出しやすくなります。

■言行一致を図ろうとする

コミットメントをすることで、「自分で宣言したからにはやらなければいけない」という意識が醸成されます。人は誰でも、「思想」「感情」「行動」の間に食い違いがあることを許容したくはありません。そのため、ひとたび自分がある決定を下したり、ある立場を取ったりすると、自分のなかで「一貫性」を保とうとする心理が働きます(レオン・フェスティンガーの認知的不協和理論)。このように、コミットメントをすることで言行一致を図ろうとする意識が働くことを、「コミットメント効果」と呼びます。目標達成をあきらめかけているときや、目標達成に対する意欲が低下しているときなどは、コミットメント効果を利用するのが有効です。

※参考:認知的不協和とは?意味や解消法を具体例とともに解説!
https://stretch-cloud.lmi.ne.jp/column/0121

■周囲の支援・応援を得られる

コミットメントをすることで、「コミットメントをした人が実現したいこと」が周囲に分かりやすくなります。そのため、周囲からサポートを受けやすくなったり、応援してもらいやすくなったりします。特に若手の頃は、周囲に信頼をしてもらえる状況をつくることが大事です。そのためにはコミットメントすることが重要であり、コミットメントと行動を重ねることで「この人ならやってくれるだろう」というように周囲の期待を得ることができるほか、「実現を手助けしたい」というように周囲の協力や支援を受けやすくなります。

コミットメントを高める研修等はストレッチクラウドへ

ここまでコミットメントの定義やコミットメントを高めるポイント、メリットについて説明いたしました。

弊社のストレッチクラウドでは、メンバーのコミットメントを引き出し、挑戦を促進するようなマネジメント人材を育てるために、 まず、研修を通して事前に役割理解や役割遂行のための観点付与を行います。

その後、360度評価によって周囲からの期待と満足を可視化し、役割遂行に向けた自己課題は何か/課題を解決するためのアクションプランは何かを明らかにするというワークショップを継続的に実施します。 結果として、マネジメント人材になるための自立的な成長サイクルを実現しています。

ストレッチクラウドの詳細は、以下のサイト・記事で詳しく解説しています。

▼ ストレッチクラウドの詳細はこちら
https://stretch-cloud.lmi.ne.jp/service

まとめ

コミットメントをすることによる効果などをお伝えしてまいりました。組織のなかにコミットメントできる人材が多いに越したことはありませんが、失敗を恐れる傾向が強いZ世代にコミットメントを求めるのは簡単ではありません。

コミットメントを引き出すためには、前提として失敗が許容され、積極的に挑戦できる組織風土をつくることが重要です。

>> Z世代は何歳から?特徴や注目理由も解説!
https://stretch-cloud.lmi.ne.jp/column/0128

コミットメントに関するよくある質問

Q:組織コミットメントを高めるメリットは?

組織コミットメントが向上すると従業員の会社に対する貢献意欲も高まるため、より成果を求める姿勢が強くなります。その結果、組織全体の生産性向上が期待できます。また、組織コミットメントが高まると従業員エンゲージメントも向上し、会社に対して愛着を持つようになります。その結果、「この会社でずっと働きたい」という従業員が増え、定着率の向上・離職率の低下につながるでしょう。慢性的な人手不足で優秀な人材を確保するのが難しい昨今においては、非常に大きなメリットだと言えるでしょう。

Q:フルコミットとは?

フルコミットとは、英語の「フル(full)」と「コミット(commit)」を掛け合わせた言葉で、「最大限の努力をする」「全面的に責任を背負う」といった意味を持ちます。「コミットする」をさらに強調したいときに「フルコミットする」といった使い方をします。かなり強いニュアンスを持つ言葉なので、軽はずみに使うのは避けるべきです。また、和製英語なので英語圏では通じません。

Q:オーバーコミットとは?

オーバーコミット(オーバーコミットメント)とは「越権行為」を意味し、自分の権限の範囲を超えて介入したり指示したりすることを言います。なお、IT業界においては「コンピュータを仮想化して複数の仮想マシン(VM)を立ち上げる際に、各VMに割り当てるリソースの合計が物理的なリソースの上限を超えることを許容する方式」のことをオーバーコミットと言います。

※参考:オーバーコミットとは - 意味をわかりやすく - IT用語辞典 e-Words

執筆者:LM編集部
執筆者:LM編集部
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