マネジメント能力とは?必要なスキルと高める方法を解説!
経営資源を有効に活用して、組織で掲げている目標を達成するためにはマネジメント能力が必要です。部下に仕事の指示をするだけではなく、全体の進捗の管理や人材の育成など様々な要素を考慮することが重要です。一方で、マネジメント能力とは何か、向上に必要なスキルはどのような方法があるのかについては曖昧な部分があるのも事実です。本記事では、そんなマネジメント能力について、必要なスキルや高める方法などをご紹介します。
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マネジメント能力(マネジメントスキル)とは
マネジメントは、「管理」や「経営」を意味する英語である「management」から来ている言葉です。そのため、マネジメント能力は「管理能力」や「経営能力」と表現することができます。ビジネスシーンでは、ヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源を有効に活用して、組織成果を生み出す能力がマネジメント能力に該当します。
マネジメントとリーダーシップとの違い
リーダーシップとは、「ある一定の目的に向けて、周囲に影響を与えてその実現に導く行為」と定義することができます。組織やチームに目標を提示して、その実現に向けた牽引や鼓舞を行います。
一方で、アメリカの経営学者であるピーター・ファーディナンド・ドラッカーは、マネジメントを「組織に成果を上げさせるための道具、機能、機関」と定義しています。
リーダーシップが目的に向けて牽引をしていく行為であるのに対して、マネジメントは成果を出すための仕組みづくりやサポートを行うものであると言えるでしょう。
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マネジメントに必要な4つの機能とは
リンクアンドモチベーションではマネジャーが果たすべき役割を「事業」と「組織」、「経営視点」と「現場視点」のマトリクスで、戦略マネジメント、ビジョンマネジメント、PDCAマネジメント、メンバーマネジメントの4象限に分類しています。
それぞれをマネジメントするためには、マネージャーが情報提供、判断行動、情報収集、支援行動という4つの機能を果たす必要があると言えるでしょう。
情報提供
戦略マネジメントを行う上では、自社目標や市場ニーズなどの情報を提供することが求められます。実践方法としては、自社の戦略や方針を噛み砕いて伝えることや市場トレンド、顧客ニーズをわかりやく伝えることなどが挙げられます。
判断行動
ビジョンマネジメントを行う上では、上司がメンバーの評価、育成に対して公平であることが求められます。実践方法としては、求める考え方や行動を具体的に伝えることや評価基準を全員に明示し平等な評価を行うことなどが挙げられます。
情報収集
PDCAマネジメントを行う上では、メンバーやその業務に関する情報を収集していることが求められます。実践方法としては、業務プロセスや成果についての課題を把握し、解決へ導くことや、発生したトラブルに対応し、部署内で共有・ルール化することなどが挙げられます。
支援行動
メンバーマネジメントを行う上では、支援行動が求められます。実践方法としては、部下のコンディションを把握して整えることや、部下の話を真摯に聞き、理解・共感を言葉で伝えることなどが挙げられます。
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マネジメントに必要な4つのスキルとは
ここまで、「マネジメントに求められる機能は何か」について説明してきました。ここからは、それらの機能を果たすためにマネジャーに求められる4つのスキルについて説明していきます。
ポータブルスキル:対課題力
ポータブルスキルにおける対課題力は、コンセプチュアルスキルと言い換えられます。コンセプチュアルスキルとは、複雑な問題に直面したときに概念化したうえで本質を理解するスキルのことで、日本語では「概念形成力」とも言われます。
たとえば、現状を分析して中長期の計画を立てたり、問題を解決したりする能力です。メンバー時代も大切なスキルですが、管理職になると、事業面/組織面共に様々なシーンで重要な判断が求められるため、物事の本質を見極めるコンセプチュアルスキルは一層重要になります。
ポータブルスキル:対人力
ポータブルスキルにおける対人力とは、「他者との良好な人間関係を構築・維持するために必要な能力や技術」のことを指します。
業務を遂行する上で不変的に求められるスキルになりますが、管理職は、組織の上下(上司・部下)、左右(他部署)、内外(社内・社外)との関係性をつなぐコミュニケーションスキルが求められるため、より意識的に技術を磨いていくことが必要です。
また、対人力は社内でのチームビルディングだけではなく、社外での顧客やパートナーとの関係性構築にも必要です。対人力を高めることで、社内外でのチームワークを高め、事業面/組織面に寄与することが求められます。
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ポータブルスキル:対自分力
ポータブルスキルにおける対自分力とは、「行動や考え方をセルフコントールする能力」のことを指します。
自分自身のモチベーション特性を踏まえて、コントロール可能な領域と不可能な領域を理解し、上手に思考を切り替えることが必要です。
対自分力は対課題力、対人力を発揮する上で前提となるスキルだと言えるので、課題や周囲の人と向き合うためにも、自分自身をコントロールする力もより一層磨いていきましょう。
テクニカルスキル
テクニカルスキルとは、特定の業務を遂行する上で必要となる知識やスキルのことを指します。テクニカルスキルは業種や職種によって変わるものであり、営業職であれば商品知識や提案力、技術職であれば機器操作能力や専門知識などが挙げられます。
現場の一般社員の段階で求められるスキルではありますが、マネジメントを行う上では基本的なテクニカルスキルを身につけておくことで求心力も高まります。
マネジメント能力が高い人・低い人の特徴
冒頭でマネジメント能力は、組織に成果を上げさせるために必要な能力であるとご紹介しました。一般的に、全ての人がマネジメント能力があるということはありません。マネジメント能力が高い人もいれば、低い人もいます。3つのスキルの発達度合いが関係していることは間違いないですが、その中でもどのような人がマネジメント能力が高く、また低いのでしょうか。代表的な特徴について見てみましょう。
マネジメント能力が高い人の特徴
マネジメント能力が高い人の特徴として、以下のようなものが挙げられます。
■ORではなくANDで考えられる
マネジメントの役割を担っている人は、様々な要素を基にして経営や管理監督を行う必要があります。その中で大切なのが、「どちらか一方」といったORの思考ではなく、「どちらも両立させるには」といったANDの思考が重要です。
例えば、「品質かスピードのどちらかしか実現できない」といった考え方をするのではなく、「どうすればどちらも実現できるのか」というように実現の方法を考えます。
■意思決定を行うことができる
マネジメントを行う上では、何かを判断・決定するタイミングが多く生じます。その際には、「正解が出るまで決められない」のではなく、「メリットとデメリットを考慮して意思決定する」といった姿勢・行動が重要です。
マネジメント能力が低い人の特徴
マネジメント能力が低い人の特徴として、以下のようなものが挙げられます。
■二律背反で考えがち
マネジメント能力が低い人の特徴として、物事を二律背反で考えがちであることが挙げられます。先述した考え方でいくと、「ORの思考」が強いとも言えます。マネジメントを行う中では、組織成果を向上するために様々な要件を成立させることが求められます。その際に、「これをするからあれはできない」といった考え方のみが先行してしまうと、効果的なマネジメントができない可能性があります。
■自分で決めることができない
自分で決めることができないということも、マネジメント能力が低い人の特徴です。情報を収集することは大切ですが、意思決定をスピーディーに行い、物事を前に進めることがマネジメントには求められます。
組織改革のことならリンクアンドモチベーション
ここまで、マネジメントスキルについて説明してきましたが、リンクアンドモチベーションでは管理職向けの研修を提供しています。
マネジメントスキルについて理解を深めることも必要ですが、何よりも大切なのは、スキルを「分かること」ではなくスキルを「活用すること」だと言えるでしょう。そのため、リンクアンドモチベーションの管理職研修では
- 管理職は組織の結節点であるという役割認識を醸成し、「なぜそのスキルが大切なのか?」に腹落ちしている状態を作り出す
- 他己評価サーベイを用いて自分自身のマネジメント状態を客観視し、自分にとっての現状や課題を明らかにし、研修を踏まえた今後のアクションプランを明らかにする
ことにこだわった研修設計をしています。
リンクアンドモチベーションの管理職研修の全貌は以下の記事にまとめていますので、宜しければご覧下さい。
https://stretch-cloud.lmi.ne.jp/training
まとめ
マネジメント能力は、ヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源を有効に活用して、組織成果を生み出す能力のことを指します。マネジメント能力を高めることで、組織全体としての統合と分化のバランスをよくすることができるとともに、組織の成果を高めることができます。マネジメント能力を高めるためには、まずはマネジメント能力がどのような要素で構成されているのかを把握して、その向上に必要なスキルやポイントを踏まえることが大切です。
マネジメント能力(マネジメントスキル)に関するよくある質問
Q1:マネジメント能力とは?
A1:マネジメントは、「管理」や「経営」を意味する英語である「management」から来ている言葉です。そのため、マネジメント能力は「管理能力」や「経営能力」と表現することができます。ビジネスシーンでは、ヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源を有効に活用して、組織成果を生み出す能力がマネジメント能力に該当します。
Q2:マネジメント能力の向上に必要なスキルは?
A2:マネジメント能力の向上に必要なスキルは、以下のようなものが挙げられます。
■意思決定力
マネジメント能力を高めるためには、意思決定力を身につけることが必要です。マネジメント能力が高い人の特徴でも挙げたように、マネジメントを行う中ではメリットとデメリットを考慮して、物事を決めることが求められます。
■コーチング能力(コミュニケーション能力)
コーチング能力やコミュニケーション能力を高めることは、マネジメント能力を高めることに有効です。組織はコミュニケーションによって形作られるものであるとも言えるため、マネジメントを行うためには必須の能力です。
■アセスメントスキル
アセスメントとは、人や結果を客観的に評価して分析することを指しています。マネジメント能力を高めるためには、部下の特性やスキル、状況などを的確に把握することが必要です。
■プロジェクトマネジメント能力
マネジメント能力を高めるためには、プロジェクトの目標設定や進捗の管理を行うプロジェクトマネジメント能力が重要です。
Q3:マネジメント能力を高めるには?
A3:マネジメント能力を高めるためには、「日々の情報収集」「情報伝達」「判断する習慣」「適切な支援」といった4つの観点を意識することが大切です。4つの観点に基づいた行動をバランスよく実行することで、マネージャーとしてのスタイルを磨くことができるでしょう。