catch-img

HRM(人的資源管理)の役割とは?わかりやすく具体例とともに紹介

最近、よく耳にするHRMについて、皆さんはどれくらいご存じでしょうか?そもそもなぜ、HRMが必要なのでしょうか?

今回はHRMとは何なのか、多様性が求められる昨今において、今後求められるマネジメントとは何なのかをお伝えしていきます。

目次[非表示]

  1. 1.HRMとは?
  2. 2.マネジメントシステムとHRMの関係
  3. 3.HRMが行うこととは
  4. 4.HRMモデル
  5. 5.HRM活用のポイント
  6. 6.記事まとめ
  7. 7.よくある質問
  マネジメント役割理解研修|管理職研修・育成ならストレッチクラウド マネジメントの役割は「メンバーを育てること」や「一流のプレイヤーとして成果を出すこと」ではなく、会社とメンバーをつなぐ「結節点」として、メンバーのモチベーションを高め、主体的な行動を引き出し、それを会社の成果につなげることです。 本研修では、「マネージャーの役割」を正しく認識させ、役割遂行に向けた意欲を喚起します。 また、目指すべきマネジメント像に向けた課題抽出を行い、現場での行動に向けて具体的に何をすべきかを明確にします。 管理職研修・育成ならストレッチクラウド

HRMとは?

■HRMの概要

HRMとはHuman Resource Management(人的資源管理)の略称です。
人材を経営資源として捉え、有効活用するための仕組みを体系的に構築・運用することを意味します。
具体的には、人材をコストや労働力と捉えるのではなく、1つの経営資源であると捉え、戦略的に採用、育成、配置、管理すれば組織全体のエンゲージメントが高まり、事業にもより良い影響を与えながら、経営戦略を実現する人事管理手法になります。

■HRMの類似用語との違い

HRMにはPM、HCMなど様々な類似用語が存在します。
ビジネスシーンにおいて、本来の使い方を間違えないように、正しく理解しておきましょう。

<HRMとPMの違い>

PMとはPersonnel Managementの略称であり、人事労働管理とも言われます。
HRMとPMには共通する目的として、「組織の更なる成長に向けて、組織内の人材を管理する」ことを置いています。

しかし、HRMとPMには大きな違いがあります。PMは人材を「コストや労働力」と捉えることです。

HRMの中で最も大切な考え方である、人材は「経営資源」であると捉えることとは正反対のことを意味するので、正しく言葉の意味を理解しておくことが重要です。

<HRMとHCMの違い>

HCMとはHuman Capital Managementの略称であり、人的資本管理と呼ばれます。
HRMとHCMは人材は「経営資源」であると捉えるという部分では同じですが、大きく異なることがあります。

HCMはヒューマンキャピタル(HC)という教育経済学の概念を基に作られた考え方であり、人材の保有するスキルや経験を資本として捉えます。

したがって、HRMでは人材と組織の利益の同時実現を目指し、人材を経営資源として捉えますが、HCMでは事業利益の最大化を目指し、人材への教育を通して能力開発に投資すると捉えるという違いが存在します。

▼「人的資本経営」3つのポイント〜実践の鍵は管理職にあり〜 資料は​​​​​​​こちら

  「人的資本経営」3つのポイント〜実践の鍵は管理職にあり〜 近年多くの企業が取り組むようになって、世間での注⽬度が⾼まっている「⼈的資本経営」。その人的資本経営とは何か、またなぜ注目が集まっているのかを実践のポイントと合わせて解説した資料。 管理職研修・育成ならストレッチクラウド

マネジメントシステムとHRMの関係

■組織のマネジメントシステム内のHRMの役割

マネジメントの全体像

正直なところ、HRMを単体で理解していても組織のマネジメントにおいて、あまり意味がありません。

組織のマネジメントにおいて重要なことは、個人と組織全体のバランスを取りながら、ある時は個人の成長、モチベーションの向上に注力し、ある時は組織全体の成果、利益の最大化を推進させるようにどちらか一方に注目することではないということです。

したがって、HRMだけではなく、組織マネジメントとの関係性を理解し、マネジメントシステムの全体像を把握しておく必要があります。
これによって、従業員の多様性を確保しながら、ビジネスを形成・維持することが可能になるでしょう。

組織マネジメントでは、組織内の役割、権限、報告の体系を構築し、管理することが目的です。
人材の適切な配置を決定することも重要ですが、それに合わせて企業理念や風土を形成し、維持することも組織マネジメントの重要な要素になります。

そのうえでHRMはマネジメントシステムの中でどのような役割を持つでしょうか。
HRMはマネジメントシステムの中では個人のモチベーションや業務上の目標、それに伴う給与など従業員一人ひとりの意識や行動に影響を与える役割を担っています。

■人材マネジメント

組織内の人材育成には、「マクロマネジメント」「ミクロマネジメント」「セルフマネジメント」があります。

マクロマネジメントは、組織マネジメントとHRMに分かれており、企業の環境の設定を通じて従業員に間接的に影響を与えるマネジメントです。
従業員一人ひとりに及ぼす影響は大きくはないが、事業と組織の最適化を図るために重要なマネジメントになります。

ミクロマネジメントは、上司と部下、メンバー同士のコミュニケーション設計やメンバーの意識や行動に影響を与えるマネージャーの行動などを通して、従業員一人ひとりに直接的に影響を及ぼすマネジメントです。

セルフマネジメントは、目の前の仕事に向き合うモチベーションの維持・向上やパフォーマンスを上げために従業員一人ひとりが自分に対して行うマネジメントです。

▼モチベーションに関する記事はコチラ
モチベーションとは?定義やモチベーションを維持、向上させる方法

▼セルフマネジメントに関する記事はこちら
若手ビジネスパーソン向けセルフマネジメント強化のススメ

■ミクロマネジメント

ミクロマネジメントとは、管理者が細かい作業や判断を部下に指示することを意味します。一方、マクロマネジメントとは、管理者が全体的な方針や目標を設定し、部下に自己判断でタスクを遂行させることを指します。

■ マクロマネジメント

ミクロマネジメントは、個人的な作業に向いている場合がありますが、マクロマネジメントは、チーム全体の成果を引き上げるために必要です。

■セルフマネジメント

セルフマネジメントは、自己管理のことを意味し、個人が自分自身を管理することです。一方、マクロマネジメントとミクロマネジメントは、上司やリーダーが部下を管理することです。

セルフマネジメントは、個人が自分自身を管理するため、自己責任が重要です。自己責任を持つことで、個人は自己評価を行い、自己成長を促進することができます。また、個人が自己管理を行うことで、上司やリーダーがミクロマネジメントを行う必要がなくなるため、生産性の向上につながります。

セルフマネジメントとマクロ/ミクロマネジメントには、大きな違いがあります。セルフマネジメントは、個人が自己管理を行い、自己責任を持つことで、自己成長と生産性の向上につながります。一方、マクロ/ミクロマネジメントは、上司やリーダーが部下を管理することです。

HRMが行うこととは

■従業員との信頼関係を構築

転職が当たり前となり人材の流動化の促進がされ、グローバル化やダイバーシティの推奨により、組織構成はますます多様化しています。
そんな中重要になることは、従業員との信頼関係を構築することです。

そのためには企業側が従業員に期待させることをコントロールし、従業員の期待に対する満足度を高めていく必要があります。

つまり、企業側から提供できるものとできないものを明確にする必要があります。
企業が最も提供できることに期待をしてもらい、提供できないことに対しては期待値を下げていくコミュニケーションやブランディングを行う必要があります。

そのうえで、企業側と従業員との間で合意を取っていく活動を行う必要があります。
期待と満足のバランスを調整することで従業員との信頼関係を構築していくことが今後HRMの中で大切になっていくでしょう。

■従業員の多様性の理解

実は多様性を受け入れることは容易なことではありません。

異なるスキル、性格、バックグラウンドを保有する人材を1つの組織でまとめ上げる際には、
「なんであの人は特別扱いされているのか」
「あの人は本当に必要なのか、役に立っているのか」
などハレーションが起こることもあるでしょう。

そんな中、従業員の多様性を受け入れることができる組織は下記の3つについて明確にしています。

  • なぜその人が必要か
  • なぜ周囲と異なる特別な条件が認められるのか
  • その人を採用することで、周囲の従業員にどのようなメリットがもたらされるのか

これらに対する説得力のある説明を行うことで、個々人の納得感は担保される可能性が高まります。
これらを企業と個人間で行うだけでなく、第三者も含めて理解が広まることで、多様性のある組織を創ることができるのです。

HRMモデル

HRMには「ミシガン・モデル」と「ハーバード・モデル」という2つのモデルが存在します。 では、この2つのモデルの違いについて確認していきましょう。

<ミシガン・モデル>

ミシガン・モデルとは1980年代にミシガン大学を中心に行われた研究がベースになって生まれたHRMの概念です。 また、この研究メンバーで「Strategic Human Resource Management(戦略的人的資源管理)」というタイトルの本を発表していることから、「SHRMモデル」と呼ばれることもあります。 ミシガン大学の研究では、戦略的経営を3つの基本要素から成り立つと定義しています。 ①使命と戦略 ②組織構造 ③HRM したがって、ミシガン・モデルでは、HRMは戦略的経営の一部として捉えられており、経営戦略とのマッチングを重視するべきだと考えられています。 加えて、HRMの基本機能として「採用・選抜」「人材評価」「報酬」「人材開発」の4つと定義されています。 この4つの基本機能を循環させることで個人と組織のパフォーマンスを最大化することが重要であるとしています。

つまり、最適な人材を組織に取り込み、パフォーマンスを適切に評価し、それに対する報酬を提供することで個人のモチベーションを最大化させ、このサイクルが回るようにさらなる人材開発を行うことで個人と企業のパフォーマンスの最大化を行っているのです。

<ハーバード・モデル>

ハーバード・モデルとは1980年代にハーバード大学で行われた研究をベースに生まれたHRMの概念です。 実務的に扱われているHRMの多くはハーバード・モデルなので、一般的に使われることが多く、「HRMモデル」と呼ばれることもあります。

ハーバード・モデルでは、HRMは「状況的要因」と「ステークホルダーの利害」から影響を受けるものと考えられています。
状況的要因とは、従業員の特性、経営戦略、労働市場のことを指します。
また、ステークホルダーの利害とは株主や経営者、従業員の利害のことを指します。

その上で、HRMの領域を「従業員の影響」「人的資源のフロー」「報酬システム」「職務システム」の4つの基本要素と定義しています。
これらを効果的に機能させることによって、個人の「コミットメント(成果)」と「能力」を向上させ、人的資源の「コスト有効性」「組織と個人の目標の合致」を図ることがHRMの成果であると考えられています。

また、HRMの成果を実現することで「従業員の幸福」「組織の有効性」「社会全体の繁栄」という長期的成果がもたらされるとしています。

<AMO理論>

AMO理論のAMOとは、以下の頭文字からとられています。

・Ability(能力)
・Motivation(モチベーション)
・Opportunity(機会)

高業績HRM(AMO理論)の特徴は、能力・モチベーション・機会の3要素を向上させることで、組織の持続的競争において優位に立てるという考え方です。個人のスキルや経験よりも、企業への帰属意識やモチベーションを高めるのに効果があることがわかっています。

高業績HRM(AMO理論)は、能力・モチベーション・機会の3つの要素を中心に、組織の持続的な競争力を高めることを目指す理論です。この理論は、単に個人のスキルや経験に焦点を当てるのではなく、企業への帰属意識やモチベーションの向上を重視しています。これにより、組織全体のパフォーマンスが向上し、競争力が強化されるとされています。

<PIRK理論>

PIRK理論は、高業績HRMの一つのモデルとして提唱されています。PIRKの文字がそれぞれ示す内容は以下の通りです。

・Power(権限)の委譲
・Information(情報)の共有
・Reward(報酬)の公平化
・Knowledge(知識)が従業員に帰属される

PIRK理論を活用することで、公平感とコミットメントによって、従業員のエンゲージメント(企業と従業員の間の相互理解度や相思相愛度合い)やモチベーションの高まりが期待できます。そのため、従業員の生産性の向上や離職率の低下も効果として現れてくる可能性があります。

AMO理論とPIRK理論の両方とも、帰属意識やモチベーションの高まりに効果がある点は共通しています。しかし、AMO理論では「能力・モチベーション・機会」を重視するのに対して、PIRK理論では「公平感とコミットメント」を重視しています。

HRM活用のポイント

実はHRMという考え方は日本独自の従業員の生活や感情を重視し、大切に扱う姿勢や雇用システムをPMと組み合わせて生まれた概念なのです。

しかし、日本自体は長期雇用や終身雇用という強力な契約システムが根付いているので、一人ひとりの従業員に合わせたマネジメントをするHRMは全く親和性がありませんでした。

そのため、従来の基本原理から変えていく必要があるのです。ポイントは「個人データの一元化」です。現在、HR領域では「タレントマネジメント」と呼ばれているマネジメント手法がこのポイントを押さえたHRMとして主流になっています。

タレントマネジメントでは全従業員のスキル、性格、経験などの個人特性を可視化し、一元的に管理することで適材適所な配置や最適な育成プランの構築を目指しています。

一方、HRMと日本企業の相性が良いとは言い切れない要素もあります。日本人経営者は海外に比べて戦略的思考を苦手とする傾向が高いです。HRMは戦略的思考によって構築された事業戦略と組織開発、個人開発が一貫性を持つことで大きな効果を発揮します。

日本企業がHRMを最大限に活用するためには経営層が戦略的思考を身につけることが必要であり、身につけることができれば強力な優位性になることでしょう。

▼ティール組織に関する記事はこちら
タレントマネジメントとは?導入方法や効果について解説

記事まとめ

いかがだったでしょうか。

今回はHRMが組織と個人のパフォーマンスの最大化にとって重要なことがお判りいただけたと思います。
しかし、HRM単体では効果を成さないので、組織というものをより大きく捉えて、組織のマネジメントの理解を引き続き深めていただきたいと思います。

(参考)マネジメントとは?定義や役割・今後必要なスキルを解説

よくある質問

HRMとは?

HRMとはHuman Resource Management(人的資源管理)の略称です。
経営資源として、ヒト(人材)/モノ(商品)/カネ(資金)が事業と組織の持続的な成長において重要であると言われています。HRMは、この中のヒト(人材)をマネジメントする手法のことを指します。

HRMとPMの違いは?

HRMとは、企業が人材を効果的に管理するための部署や職種を指します。この部署では、従業員の採用、育成、評価、報酬、福利厚生などが担当されます。HRMの重要性は、人材が企業の最も重要な資源であることにあります。

一方、PMとは、プロジェクトマネジメントを担当する部署や職種を指します。プロジェクト全体の計画、実行、監視、品質管理などが担当されます。PMの重要性は、企業が新しい製品やサービスを開発する際に欠かせない役割を果たすことにあります。

HRMの業務内容は?

HRMは、企業にとって非常に重要な部門の一つです。業務内容は多岐にわたり、以下がその一例です。

  • 採用・配置・退職の手続きを行うことで、企業に必要な人材を確保し、組織の運営に貢献します。
  • 従業員の能力開発やトレーニングの計画・実施により、社員のスキルアップを促し、企業の成長につながります。
  • 従業員の評価・報酬の決定には、公平かつ適切な方法が求められます。適切な報酬を与えることで、社員のモチベーションを高め、企業の業績向上につながります。
  • 労働法規や労働環境に関する問題の解決は、企業の運営に欠かせません。これらの問題を適切に解決することで、従業員の安心と生産性を高めることができます。
  • 従業員の福利厚生や健康管理の管理・推進は、企業の社会的責任としても重要です。社員の健康を守り、働きやすい環境を整えることで、社員の満足度を高め、企業の信頼性を向上させることができます。
執筆者:LM編集部
執筆者:LM編集部
理念・採用・風土・制度など組織人事のトレンドを発信しています。 基本的な用語解説から、多くの企業で陥っている実態、 弊社が培ってきた組織変革技術の知見を踏まえたポイント解説まで 皆様のお役に立つ情報をお届けします。
お役立ち資料一覧

新着記事

この記事を読んだ人は、こんな記事にも興味を持っています

あなたの組織にも、課題はありませんか?

おすすめ記事

人気コラム

開催中セミナー

お役立ち資料

ページトップへ戻る