ウェルビーイングとは?意味・企業に必要な理由・取り組み例を簡単に解説!
近年、経済的成功や物質的な豊かさだけでなく、人々の心の健康や幸福感を重視する「ウェルビーイング」の概念が、世界中で注目を集めています。多くの国や企業がウェルビーイングを指標として取り入れる動きを見せており、これは経済成長だけでなく、人々の生活の質や幸福感を向上させるための新しいアプローチとして位置づけられています。
本記事では、ウェルビーイングの背景、その重要性、そして具体的な取り組み事例についてご紹介します。
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ウェルビーイングとはどういう意味?
ウェルビーイング(Well-being)は、個人の心的、物理的、社会的な健康や幸福を示す指標として広く認識されています。この概念は、単に病気や不調を欠如すること以上の意味を持ち、人々が自分の人生に満足し、目的や意味を感じ、ポジティブな感情を経験する状態を指します。
ウェルビーイングにはいくつかの側面があります。心的ウェルビーイングは、自分の人生に対する評価や感情、生活の質などの心の状態を指します。物理的ウェルビーイングは、身体の健康や活動レベル、栄養状態などの身体的な側面を指します。社会的ウェルビーイングは、人々の社会的な関係やコミュニティへの所属感を示します。
ウェルビーイングの定義や評価は、文化や背景、個人の価値観によって異なる場合があります。しかし、一般的には、ウェルビーイングは人々が自分の人生に満足し、自分の能力を最大限に活用し、社会的なつながりやサポートを持つ状態を指すと言えます。
幸福度を構成する指標
ウェルビーイングの度合いを測るのに適している指標として、幸福度を構成する指標があります。幸福度に関する研究や調査は様々な機関が行っていますが、ここでは、代表的な指標についてご紹介します。
PERMAの法則
PERMAの法則は、ポジティブ心理学の創始者であるマーティン・セリグマンによって提唱された幸福度を構成する5つの要素を指します。PERMAは以下の5つの要素の頭文字を取って名付けられました。
P (Positive Emotion: ポジティブな感情) - これは日常の中で経験する喜びや感謝、希望などのポジティブな感情を指します。ポジティブな感情は、ストレスの軽減や健康の維持、生活の質の向上に寄与するとされています。
E (Engagement: 没頭) - これは活動や仕事に深く没頭し、時間が経つのを忘れるほど集中する状態を指します。この状態は「フロー」とも呼ばれ、個人のスキルと挑戦のバランスが取れている時に経験されることが多いです。
R (Relationships: 人間関係) - 人々との良好な関係は、幸福感や満足感を高める重要な要素です。支え合い、共感、愛情などのポジティブな人間関係は、心の健康や幸福度に大きく寄与します。
M (Meaning: 意味) - これは自分の人生や活動に意味や目的を見出すことを指します。個人の価値観や信念に基づいて、自分の存在や行動に意味を感じることは、幸福度を高める要因となります。
A (Achievement: 達成) - 個人の目標や夢を達成することで得られる満足感や自己効力感は、幸福度に寄与します。達成感は、自分の能力や努力を認識し、自尊心を高める要因となります。
世界幸福度報告・GWI
世界幸福度報告(Global Well-being Index)は、国際的な研究機関や専門家によって作成される年次報告書で、各国の幸福度を評価・ランキングするものです。GWIは、以下の指標を基に各国の幸福度を評価します。
経済的要因 - 一人当たりのGDPや所得の平均値など、経済的な安定性や豊かさを示す指標。
社会的支援 - 家族や友人、コミュニティとの関係やサポートの度合いを示す指標。
健康寿命 - 健康的な生活を送ることができる期間を示す指標。
自由度 - 個人の選択や意思決定に対する自由度を示す指標。
寛容度 - 社会の多様性や異文化を受け入れる度合いを示す指標。
汚職の認識 - 政府や組織の透明性や信頼性を示す指標。
HPI
HPI (Happy Planet Index)は、国の幸福度と環境の持続可能性を組み合わせて評価する指標です。具体的には、人々の幸福度と生活の質、そしてその国の環境への影響や資源の使用効率を組み合わせて評価します。
幸福度 - 人々の生活の質や満足度を示す指標。
寿命 - 平均寿命や健康寿命を示す指標。
エコロジカル - その国の環境への影響や資源の使用効率を示す指標。
HPIは、単に経済的な豊かさや物質的な成功だけでなく、持続可能性や環境への影響も考慮しています。そのため、国の幸福度を評価する際に、財務的な側面だけではなく、多様な要素から幸福度の追求にアプローチをしています。
ウェルビーイングの重要性
ウェルビーイングの重要性は近年高まっており、様々な国、企業が取り組みをしています。ここでは、ウェルビーイングがなぜ重要視されているのか、その背景についてご紹介します。
世界経済フォーラム2021
世界経済フォーラム(WEF)は、毎年スイスのダボスで開催される国際的な会議で、世界の経済や社会的な課題についての議論が行われます。2021年のWEFでは、ウェルビーイングの重要性が強調されました。
ウェルビーイングは、経済的な成功だけでなく、社会的な成功や持続可能性にも直接関連しています。経済成長や技術革新が進む中で、人々の幸福感や生活の質の向上が求められるようになってきました。WEF2021では、ウェルビーイングを中心にした新しい経済モデルや政策の必要性が議論されました。
また、ウェルビーイングは、社会的な結束や信頼の構築、持続可能な開発の推進にも寄与します。経済的な不平等や社会的な分断が深まる中で、ウェルビーイングを重視することで、より公平で包摂的な社会を築くことができるとの認識が共有されました。
OECDの「教育2030」
OECDの「教育2030」プロジェクトは、未来の教育の方向性や必要なスキル、価値観を探るための取り組みです。このプロジェクトでは、ウェルビーイングの重要性が強調されています。
教育は、知識やスキルの習得だけでなく、生徒のウェルビーイングや人間性の育成にも重要な役割を果たします。ウェルビーイングを重視する教育は、生徒が自分の人生に意味や価値を見出し、社会的なつながりや共感を育むことを促進します。
また、「教育2030」では、未来の社会や職業に必要なスキルとして、コミュニケーション能力や問題解決能力、共感や協力の精神などのソフトスキルが重視されています。これらのスキルは、ウェルビーイングを高める要因とも関連しており、教育の中でのウェルビーイングの重視は、未来の社会や職業に適応するための基盤を築くことにも寄与します。
健康意識の向上
近年、健康意識の向上が求められるようになってきました。これは、病気や健康問題の予防だけでなく、ウェルビーイングの向上にも直接関連しています。
健康的な生活習慣や食生活、適切な運動やストレスの管理など、健康意識を高めることで、ウェルビーイングを向上させることができます。健康的な生活は、心身の健康や活力を保つだけでなく、ポジティブな感情や生活の質の向上にも寄与します。
また、健康意識の向上は、社会全体のウェルビーイングの向上にも寄与します。健康的な生活を送ることで、医療費の削減や生産性の向上、社会的な結束や信頼の構築にも寄与することができます。
新たな経済の概念の登場
従来の経済モデルは、経済成長やGDPの増加を中心に考えられてきました。しかし、経済成長だけでなく、人々のウェルビーイングや生活の質の向上が求められるようになってきました。
新たな経済の概念では、ウェルビーイングを中心にした経済モデルや政策が提案されています。これは、経済的な成功だけでなく、社会的な成功や持続可能性を追求するためのアプローチです。
ウェルビーイングを重視する経済モデルは、経済的な不平等や社会的な分断を減少させ、より公平で包摂的な社会を築くことを目指します。また、持続可能な開発や環境への配慮も重視され、経済的な成功と環境の保護を両立することが求められます。
新たな経済の概念は、ウェルビーイングを中心にした新しい価値観や方向性を提供し、経済的な成功と社会的な成功を両立するための基盤を築くことを目指しています。
日本でのウェルビーイングの注目度
日本におけるウェルビーイングへの関心は、近年、確実に高まってきています。以下の点から、その高まりを見ることができます。
政策としての取り組み
日本政府は、経済成長だけでなく、国民の生活の質や幸福感を向上させるための政策を進めています。例えば、働き方改革は、長時間労働の問題を解決し、ワークライフバランスを向上させるための取り組みの一部です。
企業の取り組み
企業もまた、従業員のウェルビーイングを重視するようになってきました。メンタルヘルスのケア、フレックスタイム制度の導入、リモートワークの推進など、従業員の健康や幸福感を向上させるための取り組みが増えています。
教育の現場
学校教育の中でも、生徒のメンタルヘルスやウェルビーイングを重視する動きが見られます。学校カウンセリングの充実や、生徒の心の健康をサポートするプログラムが導入されています。
これらの動きから、日本におけるウェルビーイングへの関心は、政府、企業、一般の人々の間で確実に高まってきていると言えます。経済的な成功や物質的な豊かさだけでなく、人々の心の健康や幸福感を重視する文化が根付いてきているのです。
ビジネスでのウェルビーイングの注目度
ビジネスの文脈におけるウェルビーイングは、従業員の心身の健康や幸福感、職場の満足度やエンゲージメントを指します。これは、単に病気の欠如や物理的な健康だけでなく、職場での関係性、仕事の意味や目的、成果や達成感、バランスの取れた働き方など、多岐にわたる要素を含む概念です。
ビジネスでのウェルビーイングの注目度が高まっている背景として、以下のようなものが挙げられます。
メンタルヘルスの問題
近年、職場でのストレスや過労がメンタルヘルスの問題を引き起こすケースが増加しています。これにより、企業の生産性やブランドイメージに悪影響を及ぼすリスクが高まっています。
多様性と包摂性
グローバル化の進展や多様な背景を持つ人々の参入に伴い、多様性を尊重し、すべての従業員が働きやすい環境を作ることが求められています。
新世代の価値観
ミレニアル世代やZ世代といった新しい世代の労働者は、給与や職位だけでなく、働きがいや職場の文化を重視しています。
生産性の向上
生産性を向上し、事業成長を促進するためには、従業員のウェルビーイングを高めることが重要だと言われています。ウェルビーイングが高まることで、集中力や創造性が向上し、結果として生産性が上がると言えるでしょう。
ウェルビーイングビジネスの原則
ウェルビーイングビジネスとは、単に経済的な利益を追求するだけでなく、人々の心身の健康や幸福、そして社会や環境との調和を重視しながら事業活動を行うビジネスのことを指します。ウェルビーイングビジネスの核心には、持続可能性、社会的責任、そして全体的な幸福の向上があります。
ウェルビーイングビジネスの原則として、以下の8つの項目があります。
ビジョンの再定義:自然との調和を保ちつつ、社会のニーズに対応すること。
透明性の確保:環境、社会、経済の各パフォーマンスに関するデータを公開し、透明性を持つこと。
外部性の内部化:環境や社会に及ぼす影響を認識し、そのネガティブな影響(外部性)を減少させる取り組みを行うこと。
長期的なビジョン:企業だけでなく、社会や自然を含むすべての利害関係者に対して利益をもたらす長期的な視点を持つこと。
人を資産にする:従業員や関係者の声や意見を重視し、組織内でのコミュニケーションを優先すること。
生産のローカライズ:エネルギーソース、資金調達、流通などの要素を地域に根ざした形で実施し、地域社会との連携を強化すること。
サーキュラーエコノミーへの切り替え:持続可能な資源の循環を促進し、環境や社会システムとの共存を目指すこと。
多様性を受け入れる:異なる価値観や所有構造、財務の多様性を認識し、それを尊重し活用すること。
デジタルウェルビーイングとは?
デジタルウェルビーイングとは、デジタル技術やオンライン環境との健全な関係を築き、その中での心身の健康や幸福を追求する概念を指します。
近年のデジタル技術の急速な進化と普及に伴い、私たちの日常生活や仕事、学習、コミュニケーションの多くがデジタル空間で行われるようになりました。この変化に伴い、デジタル空間でのウェルビーイングの重要性が高まってきています。
デジタルウェルビーイングの必要性
デジタルウェルビーイングの必要性は、現代のテクノロジー中心の生活において、ますます顕著になってきています。例えば、スマートフォンやコンピュータの過度な使用は、睡眠の質の低下や目の疲れ、さらには長時間の座りっぱなしによる身体的な不調を引き起こすことが知られています。
また、SNSの使用が増えることで、比較文化やFOMO(他者の活動を見逃している感覚)によるストレスや不安感が高まることも指摘されています。このようなデジタル環境特有の問題は、メンタルヘルスへの影響も無視できません。
一方で、オンライン上の情報の真偽を見極める能力が不足していると、フェイクニュースや誤情報に誘導されるリスクが高まります。さらに、デジタルデバイスの不適切な使用は、プライバシーの侵害やセキュリティリスクの増大といった問題も引き起こす可能性があります。
これらの問題を適切に管理し、デジタル技術を健全に利用するためには、デジタルウェルビーイングの理解と実践が不可欠です。デジタルウェルビーイングを高めることで、テクノロジーをより安全で有意義に活用し、同時に心身の健康や幸福を維持することが可能となります。
ウェルビーイングの今後の展望
ウェルビーイングの概念は、今後もますます重要性を増していくと予想されます。経済的な成功や物質的な豊かさだけでなく、人々の心の健康や幸福感を重視する文化が根付いてきている背景には、持続可能な社会の構築や、より良い生活の質の追求があります。
近年、多くの国や企業がウェルビーイングを指標として取り入れる動きを見せており、これは経済成長だけでなく、人々の生活の質や幸福感を向上させるための政策や経営戦略の一部として位置づけられています。
また、テクノロジーの進化とともに、ウェルビーイングに関するデータの収集や分析が容易になり、個人のウェルビーイングを向上させるためのカスタマイズされたアプローチやサービスが提供されるようになるでしょう。
ウェルビーイングの取り組み事例
ウェルビーイングを高めるために、様々な企業が取り組みを行っています。ここでは、ウェルビーイングの取り組み事例をいくつかご紹介します。
海外企業の事例
Google
Googleは「Google's People Operations」チームを持ち、従業員の幸福や生産性を最大化するための取り組みを行っています。例として、瞑想やマインドフルネスのプログラム、フレックスタイムやリモートワークの導入、健康的な食事の提供などがあります。
Unilever
Unileverは、従業員のメンタルヘルスをサポートするためのプログラムを導入しています。また、持続可能な生活を推進する「Sustainable Living Plan」を策定し、社会や環境へのポジティブな影響を目指しています。
Airbnb
Airbnbは、従業員のウェルビーイングをサポートするための多岐にわたるプログラムを提供しています。特に、休暇制度が充実しており、従業員には年間で有給休暇を十分に取得することを奨励しています。さらに、オフィス環境もウェルビーイングを重視したデザインとなっており、リラックスや集中ができるスペースが提供されています。
日本企業の事例
リクルート
リクルートは「健康経営」を掲げ、従業員の健康をサポートするためのさまざまな取り組みを行っています。例として、健康診断の充実、ストレスチェックの実施、メンタルヘルスの啓発活動などがあります。
パナソニック
パナソニックは「働き方改革」を進めており、ワークライフバランスの向上や多様な働き方の実現を目指しています。具体的には、フレックスタイム制度の導入や、リモートワークの推進、子育てや介護との両立をサポートするための制度などがあります。
キリン
キリンは「健康経営」の一環として、従業員の健康をサポートするさまざまな取り組みを行っています。特に、健康な食生活を推進するための啓発活動や、健康診断の結果に基づいた個別の健康サポート、ストレスケアのためのセミナーなどが実施されています。
また、キリンの商品開発にもウェルビーイングの考え方が取り入れられており、健康や美容をサポートする機能性飲料の開発にも力を入れています。
人材育成のことならストレッチクラウド
ここまで、ウェルビーイングについて説明してきました。
ストレッチクラウドでは、管理職として活躍する人材を育てるために、まず、研修を通して事前に役割理解や役割遂行のための観点付与を行います。
その後、360度評価によって周囲からの期待と満足を可視化し、役割遂行に向けた自己課題は何か課題を解決するためのアクションプランは何かを明らかにするというワークショップを継続的に実施します。結果として、結節点人材になるための自立的な成長サイクルを実現しています。
また、管理職になる前のリーダークラスへ導入しておくことで、今後、管理職に登用されていくリーダークラスを、登用直後から管理職として活躍出来る人材としていくために、先んじて、自立的な成長支援サイクルをまわし始めておくということも可能です。
ストレッチクラウドの詳細は、以下のサイト・記事で詳しく解説しています。
▶ストレッチクラウドの詳細はこちら
https://stretch-cloud.lmi.ne.jp/
まとめ
ウェルビーイングは、21世紀の新しい価値観や方向性を示すキーワードとして、多くの分野での取り組みや研究が進められています。個人の幸福や健康を追求するだけでなく、持続可能な社会の構築や、より良い生活の質の追求にも寄与しています。企業や組織、そして個人がウェルビーイングを意識し、その考え方を取り入れることで、より豊かで健康的な生活を実現することが可能となります。今後も、ウェルビーイングの概念とその取り組みは、私たちの生活や働き方、学び方において、さらに深く浸透していくことでしょう。