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リモート研修のコツとは?導入のポイントと事例を紹介

新型コロナウイルス流行の影響で、多くの企業がリモートワークを導入しました。それに伴い、今まで対面で行ってきた研修も次々とリモート研修に切り替わっています。

しかし、今まで前例があまりなかったこともあり、リモート研修を行おうか悩んでいる企業や、リモート研修を行いたくてもノウハウやナレッジがなく困っている企業が多々あります。

この記事では、リモート研修のメリット・デメリットから、成功させるための効果的なコツまでご紹介致します。

目次[非表示]

  1. 1.リモート研修が必要になる背景
  2. 2.リモート研修とは?
  3. 3.リモート研修のメリット
  4. 4.リモート研修のデメリット
  5. 5.リモート研修を効果的に行うためのコツ
  6. 6.リモート研修を行う上での講師のコツ
  7. 7.リモート研修を行うためのITツール
  8. 8.リモート研修の事例
  9. 9.おわりに

リモート研修が必要になる背景

そもそもリモート研修が検討されるようになったきっかけは、主に2つあります。

1つは働き方の多様化、2つ目が新型コロナウイルス感染症の影響です。

2つ目はみなさん納得の理由かと思いますが、コロナ禍は急速にリモート研修が広まるきっかけだっただけで、それより前からリモート研修は必要とされ始めていました。ここではそもそも何故リモート研修は必要なのかについて解説します。

働き方の多様化

2018年に成立し、翌年から施行された「働き方改革関連法」を始めとして、政府主導で様々な働き方を実現しようという取り組みが推進されています。この背景には、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少や、それに伴う働く方々のニーズの多様化があります。

それぞれの事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現することで、労働力不足とともに生産性も向上させ、経済発展目指しています。

そのような状況に伴い、強制感の強い対面の集合研修から、個々の事情に比較的対応しやすいリモート研修が必要とされ始めていましたが、なかなか推進されなかったのもまた事実です。

2019年に発生した新型コロナウイルス感染症の影響

リモート研修が急速に普及するきっかけとなったのは、2019年末から始まった新型コロナウイルス感染症の流行です。流行を防ぐためにリモートワークが推奨され、その流れで研修も一気にリモート化が進みました。

自宅で人と直接接触を避けながら行えるリモート研修は、感染のリスクを押さえながら行えるので、今の時代にフィットした研修形態となりました。

リモート研修とは?

リモート研修とは、従来の対面で行う集合研修ではなく、オンライン上で行う研修のことを指します。2019年末から発生した新型コロナウイルスの流行を防ぐために、リモートワークが推奨されたことに伴って研修もオンライン上でのリモート研修へと切り替えが進みました。

しかし、リモートワークすらもあまり浸透していなかった状態だったため、リモート研修をどのように行えばいいのか、どうすれば効果的に実施できるのか悩まれた企業が多く存在します。

効果的な研修を設計するためには、まずはリモート研修のメリット・デメリットを理解することが重要です。以下から特徴的なメリット・デメリットを解説しますので、ぜひ研修設計の参考にしてください。

リモート研修のコツとは?導入のポイントと事例を紹介

リモート研修のメリット

まずはリモート研修の代表的なメリットから解説いたします。

場所にとらわれない

リモート研修であれば、インターネット環境さえ整っていれば参加者は好きな場所で研修を受けることができます。

また、録画された研修を視聴するタイプのリモート研修であれば、場所だけでなく時間も参加者が自由に決めることができるので、参加者が自分の状態に合わせて研修を受けることができます。

対面の集合研修では、参加者全員が同じ時間・同じ場所に集合する必要があるので、時間や場所の調整に工数がかかってしまうので、その点はリモート研修の方が便利です。

研修の質が一定

リモート研修だと、研修の質を一定に保ちやすいです。

全員に同じ質・同じ状態で講師の声や研修内容を届けることができるので、個人ごとの受信度合いに差がでません。録画された研修を視聴するタイプのリモート研修であれば、全員が同じ内容の教材を視聴するため、より研修の質を一定に保つことができると言えます。

対面の集合研修だと、講師の声質や会場の作りによっては声が聞こえにくい参加者がいたり、スライドが見えにくい参加者がいたりなど参加者の状態に差が出てしまうこともありますが、リモート研修ではそれを防ぐことができます。

参加者の当事者意識の向上

リモート研修だと、参加者ひとりひとりの顔が画面上に映し出されるため、講師だけでなく他の参加者にも自分の顔が映っている状態になります。

そのため、意外と対面の集合研修よりも気を抜けず、緊張感を持って研修に臨んでもらうことができます。また、対面の集合研修よりも講師から参加者1人1人に話しかけるタイミングを設けやすいため、参加者の当事者意識を向上しやすいです。

ただし、これは録画された研修を視聴するタイプのリモート研修には当てはまりませんのでご注意ください。

コストが削減できる

リモート研修だと、インターネット環境さえ整っていればどこでも研修を受けることができるため、参加者の交通費や宿泊費、会場を借りる際の会場費などのコストを削減することができます。

そのため、今までコストの関係で支社や支店ごとに行っていた研修も、リモートであればコストをかけずに一緒に参加することが可能になるため、全員が同じクオリティの研修を受けることができます。今までかかっていたコストで、内容をより充実させることもできます。

リモート研修のデメリット

次は、リモート研修における代表的なデメリットを解決策とともに解説いたします。

参加者の集中力の低下

リモート研修だと、対面の集合研修よりも長時間集中力が保てない傾向にあります。

理由としては、画面越しに音声を聞き取らなければならないため対面よりも集中力が求められたり、発言するタイミングについて対面よりも気を遣わねばならないなど、リモート特有の緊張感や疲労感があるためです。

対面の集合研修では90~120分に1回程度の休憩が普通ですが、リモート研修の場合は45分~60分に1回休憩時間を取る等、対面の集合研修より短いスパンで小休憩を入れる設計にしましょう。

参加者同士のコミュニケーション量の低下

リモート研修だと、どうしても参加者同士のコミュニケーション量が低下してしまいます。対面の研修ならば、休憩時間等に雑談の機会もありますが、リモートの場合、休憩時間は基本的にマイクもカメラもOFFの状態のため会話をする機会がありません。

そのため、研修で同期同士の繋がりを作ったり、参加者同士で刺激し合ったりするということが難しいのがリモート研修のデメリットと言えるでしょう。解決策としては、グループディスカッションの時間など、参加者同士が話せるような内容を多めにして設計することです。

その際に研修に関わる内容だけでなく、お互いの近況など雑談のような内容もアイスブレイクの時間等に組み入れて設計できると、コミュニケーション量だけでなく関係性の構築にも役立ちます。

ワーク設計に制限がある

リモートワークだと、実施できるワーク内容に制限があることもデメリットの一つです。

例えば、実際に物を使って何かを作ったり組み立てたりするワークや、紙に書き込んだりするワーク、身体を使ったワークなどはリモート研修では行えません。そのため、今まで対面でやっていた研修をそのままリモート研修にすることは難しい場合も多くあります。

しかし、リモート研修はリモート研修で、カメラが使えたり、パワーポイントやエクセルなどのツールもたくさんあります。リモート研修でも対面の集合研修と同じような効果を得られる代替ワークを考えることが成功には不可欠です。

リモート研修を効果的に行うためのコツ

それでは、リモート研修を効果的に行うにはどのようなポイントに気を付ければ良いのでしょうか。ここでは研修の設計や事前準備、当日のオペレーション設計のコツを解説します。

参加者の集中力が続くような設計

リモート研修のデメリットでもお伝えしましたが、リモート研修は対面の集合研修に比べて参加者の疲労感が強く、集中力が長く続きません。そのため、45~60分間隔で休憩時間を取るように研修を設計すると良いでしょう。

また、研修の1コンテンツを15分程度の短いものを数多く行うような構成にすることで、テンポ良く研修を進めるといった方法も参加者の集中力を持続させるには効果的です。

その他、参加者が観ているだけになってしまうコンテンツだけでなく、講師から質問を投げかけるような内容や、参加者同士のディスカッションを頻繁に交えるなど、双方向性を重視したコンテンツを組み込むことも集中力を継続させることに役立ちます。

通信環境の準備

リモート研修をスムーズに行うために絶対に欠かせないのは、通信環境の準備です。まずは参加者のインターネット環境がきちんと整備されているかを確認しましょう。自宅にWi-Fi環境がある参加者もいれば、全くない方もいるでしょうし、自宅にWi-Fiがあっても通信制限付きの場合もあります。

研修を行う場合は大量のデータ量を消費することになるので、Wi-Fi環境がない、もしくはあっても通信制限付きの場合は会社の方で環境整備を行いましょう。

また、リアルタイム配信の研修の場合はカメラ・マイクを内蔵したパソコンやタブレットを使える環境であることも必要です。こちらも通信環境同様、所持していない人には会社から貸出ができる体制を整えるなどの対応を行いましょう。

研修中のサポート体制の拡充

リモート研修では、「URLにアクセスできない」、「音が聞こえない」、「カメラやマイクが作動しない」等といったトラブルが発生することは多々あります。その際に手厚くサポートできるよう運営体制を整えて置くことが大切です。

具体的には、研修を進行する講師の他に、トラブルサポート役のスタッフを研修の参加人数に応じて用意しておく、予想される質問やトラブルをQ&Aのような形式でまとめておく、などです。

全員が問題なくアクセスして研修を受けられるような環境を整えられるようなサポート体制を構築しておきましょう。

ゲーミフィケーションの活用

ゲーミフィケーションとは、「ゲームに使われている構造を、ゲームとは別の分野で応用すること」を指し、継続的に学習やサービスを続けてもらう仕組です。具体的には「ポイント制」や「レベル別の特典」などです。

この手法は主に録画された研修を視聴するタイプのリモート研修に有効です。このタイプのリモート研修は、どうしても自宅という自由な環境下での受講になるため、受講者の気が緩みがちになってしまいます。

ゲーミフィケーションを取り入れることによって、モチベーションを保ちながら継続的に研修に取り組む手助けとなります。

リモート研修を行う上での講師のコツ

効果的なリモート研修を行う際は、内容の設計やオペレーションももちろん重要ですが、講師の進行にも対面の集合研修とは異なった工夫のポイントがあります。

ここではより研修効果を発揮するためのコツについて解説致します。

普段よりも大きめのリアクション

リモート研修では参加者の顔が画面上に表示されますが、限られたスペースに表示されるためどうしても表情の変化が伝わりにくくなります。

そのため、講師は上半身が映るようにカメラの位置を調整し、上半身全体を使ったジェスチャーで内容や感情を伝えるようにしましょう。

また、ツールによっては拍手ボタンがあることもありますが、あえてボタンは使わずに実際に動きを付けることも参加者を飽きさせない工夫です。

リアルよりもシャープなコミュニケーション

前述した通り、リモート研修は対面の集合研修よりも表情の変化が伝わりにくいだけでなく、講師の熱量や人柄、雰囲気やメッセージに込められた意味や思いが伝わりにくいです。

そのため、対面の集合研修よりもシャープで伝わりやすいコミュニケーションをとる必要があります。具体的には合理的な説明だけでなく、感情にも配慮したメッセージになるように意識したり、文章をなるべく短くして端的にまとめるなどです。

その他にもフレンドリー感を意識して参加者に親近感を持ってもらえるようなコミュニケーションを心がけることで、研修で伝えたいメッセージが伝わりやすくなります。

参加者への気配り

リモート研修では対面の集合研修よりも伝わる情報が少ないため、より参加者ひとりひとりに寄り添うような気配りが重要です。

例えば、リモート研修に参加したことない人や、参加したことがあるものの慣れていない人もいるかもしれません。その場合は経験値の低い参加者の状況に合わせて進めることで安心感を醸成することができます。

また、研修中に頷いたり反応しているかどうかアンテナを立てて、メッセージが伝わっているのか常に確認することも大切です。メッセージの伝わり度合いに合わせて個別でメッセージを送ったり伝えると効果的でしょう。

リモート研修を行うためのITツール

それでは、実際にリモート研修を行う際にはどんなツールを使えば良いでしょうか。

いくつか代表的なツールの特徴をご紹介します。研修の内容や目的に沿って、自社に一番フィットするものを選びましょう。

Zoom

Zoomはアメリカのズームビデオコミュニケーションズが提供している、オンライン会議に特化したツールです。

メインルームの他に、小グループを作成できるBreakout roomsという機能があり、最初はメインルームで説明を聞き、そのあとにグループに分かれてディスカッションをする、など対面での集合研修に近い形でリモート研修を行うことができます。

ただし、これは有料版の機能のためご注意ください。また、Zoomは参加者の画面を49名まで同時に表示することができるため、より参画感や当事者意識を感じやすくなっています。

Zoomへの入室方法は、主催者がアカウントを持っていてURLやミーティングIDを共有すれば、アカウントを持っていない人でも簡単に入ることができるので、研修向きと言えます。

Hangout Meet

Hangout MeetはGoogleが提供するコミュニケーションツールです。

Zoom同様、主催者がアカウントを持っていればURLを共有するだけで参加することが可能です。最大250名まで参加できますが、グループに分割する機能などはないため、どうしてもグループに分けたい場合は別のURLを発行して移動してもらう必要があります。

大勢の参加者に向けて一括でレクチャーをする際に使うのが良いでしょう。

Teams

Teamsはマイクロソフト社が提供するツールです。

Zoomがオンライン会議に特化されているのに対し、Teamsはチームとしてプロジェクトを進めるときに役立つツールです。

一度チームを作れば、削除しない限りチャットの履歴が残る、Word、PowerPoint、Excelファイルの共同編集をすることができるなど、他のツールにはない機能があります。ただ、Teamsは参加者全員がアカウントを所持していないと参加できない仕様になっています。

参加者をグループに分けるBreakout roomsのような機能はついていないですが、チーム内で複数のグループを作ることでグループに分割することも可能なので、オペレーションは複雑になりますがグループディスカッションも行うことができます。

研修内容を複数回に分けて行う場合には最適なツールです。

Webex

Webexはシスコウェベックスが提供するツールです。

機能としてはほぼZoomと同じで、URLでの参加やBreakout rooms機能もあり、対面の集合研修に近い形で研修を行うことができます。

ただ、Zoomは最大49名まで同じ画面上に参加者が映る一方、Webexは最大25名しか参加者の画面は映らないので、大人数での研修の際は参加者の様子に気を配る際に少し手間がかかります。

参加者全員の画面が映らなくても構わない場合は、WebexでもZoomでもほぼ同じように研修を行うことができるので、自社で契約しているなど使いやすい方を使うと良いでしょう。

リモート研修の事例

ここからは、対面での集合研修をリモート研修に置き換える際の事例を紹介します。いろいろな階層や対象のリモート研修を設計する際の、参考にしていただける工夫を解説します。

グループワークはBreakout roomsを使用

リモート研修でもグループワークは実施できます。いくつかのツールに搭載されているBreakout roomsという機能を使えば、いくつかの小グループに分けてオンライン上で疑似的にグループを作ることができます。

グループワーク時のホワイトボードや紙への記入はホワイトボード機能を活用

対面のグループワーク時は、ホワイトボードや紙にメンバーみんなで書き込んだりすることがあったと思いますが、オンラインツールにも「ホワイトボード機能」というものが搭載されているものがあります。

ホワイトボード機能を使えば、全員が同時に書き込むことができるので、対面の研修と同じようなグループワークをすることができます。

※この画像のように、画面共有がされて参加者それぞれが同時にこのホワイトボード上に書き込むことができます。

リモート研修のコツとは?導入のポイントと事例を紹介


研修の参画感の情勢には、チャット機能を有効活用

リモート研修だと講師と参加者の1対1のコミュニケーションは取りやすいですが、当てられてない参加者に参画感がなかなかわかないのは対面の研修でもリモート研修でも一緒です。

しかし、オンラインならではの参画感を醸成できるツールがチャット機能です。気軽な感想や質問にチャット機能を使ってもらい、講師が反応することで、対面だと発言しにくい方も参画感を得られやすいです。

これはオンラインならではの手法であり、メリットでもあります。

資料配布は、クラウドを活用

対面の研修だと資料は直接配布することが多いですが、リモート研修だとタイムリーに資料を配布することは難しいですし、郵送するのもコストがかかります。

そんな時に便利なのがクラウドサービスです。あらかじめ資料を格納しておき、配布のタイミングで格納先のURLなどを共有すれば、参加者に先に全て閲覧されることも防ぎながら、最適なタイミングで配布することができます。​​

おわりに

リモート研修は対面の集合研修とは違う設計や配慮、オペレーションが必要になりますが、一方でリモート研修だからこそ効果のある内容や設計もあります。研修の種類や対象に合わせて、

対面の集合研修とリモート研修、効果のあるほうを選べるようにしましょう。


執筆者:LM編集部
執筆者:LM編集部
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