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OJTトレーナーの役割とは?必要なスキルや目標、OJTの成功のコツを解説

市場での競争が激しくなると共に、労働人口の減少による人手不足が申告になっていく中で、企業は多くの課題に直面しています。その中でも、人材育成における問題は企業が共通として抱えているものであり、新入社員の育成において「OJTトレーナー」を活用している企業も多く見受けられます。ただ、OJTトレーナーもただ従業員をペアにすれば良いというわけではありません。

本記事では、OJTの効果を高めるためのOJTトレーナーの役割や活用のコツなどをご紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.そもそもOJTとは?
  2. 2.OJTトレーナーとは
  3. 3.OJTトレーナーの役割
  4. 4.OJTトレーナーは何年目の社員が行うと良いか
  5. 5.OJTトレーナーに求められるスキル
  6. 6.OJTトレーニーによくある悩みと対処法
  7. 7.OJTを成功させるためのトレーナーのポイント
  8. 8.OJTトレーナーが注意すべき点
  9. 9.まとめ
  10. 10.OJTトレーナーに関するよくある質問


そもそもOJTとは?


「OJT」とは、「On the Job Training」を略したものであり、実際の業務を通して先輩や上司から指導や教育を行う育成方法です。OJTでは、実務を行いながら直接フィードバックを通して指導することができるため、自社の価値観や実践的なスキルなどを伝えやすくなるといったメリットがあります。日本企業では、主に新入社員育成の一環としてOJTが実施されていますが、異動者や新任の管理職などに対してOJTを実施することがあります。

こちらもチェック:「OJTとは?メリットやデメリット、意味ややり方を徹底解説」

OJTトレーナーとは


OJTでは、教える側の人を「トレーナー」、教えられる側の人を「トレーニー」と言います。基本的には、同じ職場で働く先輩社員や上司がOJTトレーナーとしての役割を担うことが多く、一緒にプロジェクトを担当したり、業務を進めたりといった中で指導を行います。

OJTトレーナーを活用することで、実務を通してマニュアルだけでは分かりづらい業務のコツやスキルや、コミュニケーションの取り方などを効率的に伝えることができるようになります。一方で、OJTトレーナーに対する社内でのサポートを何も行わないと、結果として育成が上手くいかないことになるため注意が必要です。


メンターとの違い


少人数で新入社員を育成する際に果たすべき役割は、「業務支援」「精神支援」「内省支援」の3つがあると言われています。
OJTトレーナーは、先輩社員が実務を通して新入社員に実践的な指導をおこなうもので、主に「業務支援」と「内省支援」の役割を担っています。一方、メンターとは、先輩社員(メンター)が相談役となり、新入社員(メンティ)のキャリア形成や精神面に関するサポートをおこなう制度で、主に「精神支援」の役割を担っています。企業によっては、メンターとOJTトレーナーがそれぞれつくことになる場もがあります。

OJTトレーナーの役割


OJTトレーナーの役割としては、業務支援と内省支援があると言われておりますが、実際にどのような業務を担っているのでしょうか。OJTトレーナーとして代表的な業務を確認していきましょう。

育成計画の作成

ある程度の育成計画は全社や部署全体で考えられることが多いですが、詳細の関わり方や指導方法などについては、OJTトレーナーが考える場合があります。
OJTによる育成は場当たり的な指導ではなく、事業ステージ(拡大モード・多角モード・再生モード)に応じて、社員が取るべき行動も異なり、当然新人に求められる行動も、OJTトレーナーに求められる行動も変わります。
例えば、拡大モードであれば基本的にはチャレンジをすることが推奨されていきます。一方で、闇雲な挑戦によって新人が疲弊しないように、ある程度業務の定型化をOJTトレーナー側がする必要があります。再生モードでは、顧客視点が欠けて内向きな組織になることが多いため、新人が顧客に目を向けて考える習慣づくりをすることが重要です。ただし、組織風土がそのままでは段々新人も諦める癖がついてしまうため、新人の受け入れをきっかけに、顧客指向の組織になっていくように組織に働きかけることも重要です。
事業ステージに応じて、「担当するトレーニーがOJTを通してどのような状態になって欲しいのか」や、「どういう過程で業務知識やスキルを身に付けるか」などの育成計画を作成しましょう。

コミュニケーションスキル獲得のサポート

OJTトレーナーは、仕事をしていく中で必要なコミュニケーションスキルの獲得もサポートします。コミュニケーションスキルは、社内での報連相の取り方といった社会人としての基礎から、顧客との連絡や話し方といったものまで担当します。
 
コミュニケーションスキルを指導する際には、文章・メールの添削や会話の後のフィードバックなどを行うことになります。

業務の指導

OJTトレーナーは、具体的な業務の指導を行います。業務指導をする際には、以下のような「Show」「Tell」「Do」「Check」の流れで指導するのが一般的です。
 
■Show(手本を見せる)
業務指導をする際には、まずはOJTトレーナーが実際に業務を行って、その様子や内容を従業員に見せます。
 
■Tell(説明する)
手本を見せた業務のポイントや目的、注意するべきことを説明します。
 
■Do(やらせてみる)
説明した業務について、実際にやってもらいます。全部を一気に行うことが難しい場合には、できるところからやらせてみます。
 
■Check(確認する)
やらせてみた業務について、良かった点や改善点などを伝えます。やってみた感想や疑問点なども受け付けます。

フィードバックによる教育

OJTトレーナーは、トレーニーの行動や言動に対してフィードバックを行うことで、内省を促すことも行います。フィードバックを行うことで、トレーニーは自分の行動を客観的に確認することができ、経験したことの振り返りを行うことができます。
 
フィードバックを行う際には、改善点だけではなく良かった点も伝えることがポイントです。良い点と改善点のどちらもバランス良く把握することで、より効果的な成長を促すことができます。

OJTトレーナーは何年目の社員が行うと良いか


一般的には、トレーニーが新入社員の場合だと若手社員や中堅社員がOJTトレーナーを担当することになります。中堅社員は多くなる傾向があることや、就職氷河期による人数の少なさなどが理由となって、多くの場合には入社してから2年目〜5年目の従業員がOJTトレーナーとなるケースが多いようです。中堅社員の多くが管理職となっている場合には、負担を増やしすぎないように配慮が行われることも多く見受けられます。

OJTトレーナーは、基本的にある程度の知識や経験があることが求められますが、入社してから2年目・3年目の従業員をOJTトレーナーとして起用する場合もあります。その場合には、トレーニーの育成だけではなくOJTトレーナー自身も教育や指導を通して成長をすることが見込めます。OJTを通して、自分の仕事自体を振り返ることと共に、会社で大切にしている価値観やポリシーなどを確認することができるでしょう。

OJTトレーナーに求められるスキル

OJTトレーナーとしての役割を担うためには、いくつか必要なスキルがあります。ここでは、OJTトレーナーとして特に意識すべき3つのコミュニケーションスキルをご紹介いたします。

コミュニケーションスキル

OJTで指導をする際には、コミュニケーションスキルが欠かせません。業務を見せるところや、やらせてみた後のフィードバックのタイミングなど、相手に目的や内容を分かりやすく伝えることが大切です。
 
コミュニケーションを取る際には、「受信」と「発信」のバランスを意識しましょう。「教える」と考えると、つい自分の伝えたいことを話しすぎてしまうことが多くなりますが、それと同時に相手がどう感じているかや考えなどを理解することも必要です。

正すスキル

OJTトレーナーには、以下のような「任せる」「励ます」「教える」「正す」のマネジメントが必要になります。特に、OJTを実施する中ではトレーニーの課題に対する認識がズレることが多くなるため、「正す」マネジメントを行うことが大切です。

OJTとは

(参考:4つのマネジメント方法)

フィードバックスキル

効果的なOJTを実施するためには、フィードバックスキルも必要です。フィードバックは鮮度が大切であり、時間が経ってまとめて行ってしまうと記憶が薄れており、行動が変わりにくくなります。そのため、トレーニーが何かを行った後にできるだけ早くフィードバックを行いましょう。

また、先述したようにフィードバックを行う際には、改善点や悪い点を伝えるだけではなく、良い点も伝えるようにしましょう。ポジティブな内容を伝えることで、トレーニーは自信がついて前向きに業務に取り組むことができます。

OJTトレーニーによくある悩みと対処法

OJTは、トレーナーとトレーニーが近い距離で実践的な育成を受けることができます。しかし、トレーニーは新しい環境で経験のない業務に取り組むことになるため、不安や悩みを抱えやすくなります。そのため、OJTトレーナーはトレーニーがどのような状態なのか、どのような悩みを抱えているのかを把握する必要があります。ここでは、よくある悩みとその対処法についてご紹介します。

業務負担が大きくなる

トレーニーは、基本的に経験や知識が無い業務を行うことになります。そのため、実際の業務量以上に業務に対して感じる負担が大きくなっていく可能性があります。その状況が続いてしまうと、トレーニーは精神的な負荷が増えることで、本来のパフォーマンスが発揮できません。OJTトレーナーは、トレーニーが感じている業務負担を聞き取りつつ、適切に見本を見せることが大切です。

現状がわからない

ある程度経験を積んでいくと、自分がやっている仕事のクオリティや出来高が把握できるようになりますが、多くの場合経験が少ないトレーニーは自分の仕事が適切かどうかが分かりません。自分の現状が分からないと、成長実感を感じることができません。業務が終わった後、期間が経った後など、OJTトレーナーから現在地をしっかりと伝えるようにしましょう。 

目的がわからない

 業務に対する指示が続くと、仕事の全体像や業務の目的が分からなくなってきます。目的が見えない状況が続くと、仕事に対する意義も感じにくくなり、モチベーションが低下してしまう可能性があります。OJTトレーナーはトレーニーに対して適切に仕事の目的や、業務で目指す状態などを伝えることが大切です。

OJTを成功させるためのトレーナーのポイント

OJTを成功させるためには、OJTトレーナーが気をつけるべきポイントがいくつかあります。OJTトレーナーだけではなく、会社の中でOJTのポイントをしっかりと把握しておくことで、効果的な人材育成を実現できるでしょう。

OJTで目指す状態を明確にする

 OJTは多くの企業で実施されている育成方法である一方で、「とりあえずOJTを実施する」「今までやってきたからやる」といった場合があります。OJTを形式的に実施してしまうと、現場の従業員の業務負担が増えてしまい、結果として育成の効果が高まらない可能性があります。
 
効果的なOJTを実施するためには、OJTで目指す状態を明確にしましょう。この際には、自社として求める人物像や、現場の状況などを基にして、従業員にどのような状態になって欲しいのかを検討します。

OJTで全てをカバーしようとしない

OJTでトレーニーの育成を全てカバーすることは難しいでしょう。OJTによる育成が適している業務もありますが、OJTでは教えることが難しい業務や知識があります。育成を効果的に進めるためには、OJTだけではなく研修や座学のようなOff-JTと組み合わせることをおすすめします。
 
特に、OJTを実施する前に研修による全体像の伝達、ポイントの提供などを行うことで、OJTを通しての理解が早まることが期待できます。

OJTトレーナーをサポートする

OJTで陥りがちな状態として、OJTトレーナーに任せきりになるといったケースがあります。普段の業務指導やサポートはOJTトレーナーが担うことになりますが、OJTトレーナーを放置してしまうと、悩みを抱えたり仕事の負担が増えたりしてしまいます。
 
定期的にOJTトレーナー向けの相談会や疑問解消の場を設けることで、全体のOJTの基準を揃えることや、OJTトレーナーの負担の軽減を行うことなどができます。 

トレーニーとの相性を考える

 OJTは基本的にマンツーマンで行うことになるため、OJTトレーナーとトレーニーの相性を考慮することが大切です。お互いの相性が良くない場合には、コミュニケーションが上手くいかずに、OJTによる育成の効果が高まらない可能性があります。
 
「感覚的に物事を考える」「論理的に話す傾向がある」といったように、OJTトレーナーとトレーニーにどのような特性やタイプがあるのかを把握しておき、適切な組み合わせを行うようにしましょう。

振り返りを行う

OJTを成功させるためには、定期的な振り返りを行うことが大切です。OJTは実施している中で、様々な問題や修正点が生じてきます。振り返りを行わない場合には、生じている問題が放置されてしまい、全体の研修効果が薄れてしまうことがあります。
 
OJTを実施している中で、定期的にOJTトレーナーとトレーニーからの情報収集やスキルの確認などを行い、適切に軌道修正を行いましょう。また、OJTの期間が終了した後には全体の効果検証を行うことで、次の機会に活かすことができます。

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OJTトレーナーが注意すべき点

OJTで起こることとして、「OJTトレーナーによって指導方法や内容にバラつきが生じる」というものが挙げられます。OJTトレーナーごとの知識やタイプ、コミュニケーションのスタイルといったものが異なることで、トレーニーの成長度合いにも影響が出てしまうと、最終的な育成成果が低下する恐れがあります。

完全に足並みを揃えることは難しいですが、ある程度外してはならないポイントや観点などは、OJTトレーナーに伝えることが大切です。OJTトレーナー自身も、自社の育成方針やOJTでのポイントなどを把握しておくようにしましょう。

企業としても、OJTトレーナーが習得しておくべきスキルやスタンスなどを伝える研修や講座などを実施して、基準を統一しておくことをおすすめします。

こちらもチェック:「OJTトレーナー・メンター研修とは?メリットは?効果的な進め方や育成のポイントを解説」

まとめ

OJTトレーナーは、実際にOJTを行う役割です。OJTトレーナーは、OJTを受けるトレーニーの育成計画の作成や、実務を通したフィードバックを行います。OJTトレーナーはトレーニーの育成を行う存在ですが、全ての育成責任を持っているわけではありません。そのため、企業はOJTトレーナーに対するサポート体制を整えて、OJTトレーナー自身は適切に周囲からの支援を受けるようにしましょう。

OJTトレーナーに関するよくある質問

Q1:OJTとは?

A1:「OJT」とは、「On the Job Training」を略したものであり、実際の業務を通して先輩や上司から指導や教育を行う育成方法です。OJTでは、実務を行いながら直接フィードバックを通して指導することができるため、自社の価値観や実践的なスキルなどを伝えやすくなるといったメリットがあります。日本企業では、主に新入社員育成の一環としてOJTが実施されていますが、異動者や新任の管理職などに対してOJTを実施することがあります。

Q2:OJTトレーナーの役割は?

A2:OJTトレーナーの役割として、以下のようなものがあります。

■トレーニーごとの育成計画の作成
■コミュニケーションスキル獲得のサポート
■実際の業務指導
■フィードバックによる教育

Q3:OJTトレーナーに必要な心構えや目標は?

A3:OJTトレーナーは、トレーニーの育成の主体者であるといった意識が必要です。自身が行う指導によってトレーニーの成長度合いが決まってくるため、コミュニケーションの取り方やフィードバックの内容に注意しましょう。一方で、1人で抱えすぎないようにすることが大切です。育成はOJTだけで行うものではなく、企業全体で施策を実行するものです。そのため、自分では対応できないことや知識がないことなどは他の人に協力を仰ぐことが大切です。自分が成長を担うというコミットメントと、全体で育成を実現するためのリクエストのバランスに注意しましょう。

▼OJTに関する記事はコチラ
OJTとは?OFF-JTとの違いやメリット、指導方法のコツを解説


執筆者:LM編集部
執筆者:LM編集部
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