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若手ビジネスパーソン向けセルフマネジメント強化のススメ

働き方改革が進み、余暇時間を有効に使えるか否かで、今後のキャリアが二極化する時代になっています。そのポイントは自分を律する「セルフマネジメントスキル」です。

本コラムでは「自分創り」へのモチベーションを保ち続けるセルフマネジメントの観点をご紹介していきます。

目次[非表示]

  1. 1.なぜ今セルフマネジメントスキルが重要なのか?
  2. 2.セルフマネジメントスキルとは?
  3. 3.ストレッチフェーズ~凝り固まった自分の考え方をほぐす~
  4. 4.ダイエットフェーズ~自分の固定観念と決別する~
  5. 5.クールダウンフェーズ~新たな「自分創り」を継続する~
  6. 6.新しい自分に出逢うために

なぜ今セルフマネジメントスキルが重要なのか?

働き方改革が声高に叫ばれ、働き方を大きく変えることが個人にも強く求められる時代になりました。その中で労働生産性の向上は大きな課題であり国レベルの働き方改革が進んでいます。大手企業には2019年4月から、中小企業には2020年4月より時間外労働の上限規制が行われることになりました。

個人は限られた時間の中でいかに成果を追求できるのかが求められています。その成果発揮の前提となるのが、心の持ちようです。自分を律し、高いレベルで身に着けられるか否かが、継続的に成果を発揮できるビジネスパーソンになるための不可欠な要素なのです。

■個人の意思が求められる時代

限られた時間内で働き成果を創出することと同時に、労働時間が減った分どのように時間を活用していくかが個人の裁量に委ねられるようになりました。

この時間を個人のスキルアップに費やすのか、余暇の時間として楽しむのか、家族とともに過ごす時間とするのか、様々な選択肢が手に入れられるようになったことで、自らの意思が以前にも増して必要になってきています。

■「自分探し」から「自分創り」へ

では「企業」にとっての働き方改革の目的は何になるのでしょうか。それは「組織としての生産性の向上」です。

これまでのように指示されたことを確実にやりきることが成果につながっていた時代は終わりました。答えがない中で自ら意思を持って選択する勇気やそれをやり続け最適解を創りだすことでしか、市場からの評価を企業も個人も得られなくなってきたのです。

個人としては「自分探し」ではなく積極的に「自分創り」をしていく心構えが長いキャリア形成の中で重要だと考えられるようになりました。

セルフマネジメントスキルとは?

そこで最も重要なスキルとして取り上げられるようになったのがセルフマネジメントスキルです。自分を律する能力と直訳できますが、重要なポイントは、周囲に影響されることなく、自分の感情をいかにコントロールし一定のモチベーションを保ち続けることができるか、ということです。

■セルフマネジメントスキルを高める難しさ

業務上、セルフマネジメントスキルは求められることは頭ではわかっているものの、その向上は難しいのではないかと感じてしまいます。それはなぜでしょうか。想像しやすいのがダイエットだと思います。

痩せたいと思って運動や食事制限をしようと決意しながらも、様々な周囲の誘惑に負けてダイエットに失敗してしまった経験や成功したとしてもリバウンドしてしまった経験を多くの人が抱えているものです。ダイエットにも成功のために意識するべきポイントや効果的なトレーニングメニューがあります。

今回は若手ビジネスパーソン向けに、セルフマネジメントスキルの向上のポイントをダイエットのメタファーを用いて、お伝えしていきます。

ストレッチフェーズ~凝り固まった自分の考え方をほぐす~

ダイエットの効果を高めるには事前に行う準備運動が不可欠です。いきなり運動を始めてしまって三日坊主になった経験はありませんか。本格的に運動を始める前のストレッチを丁寧に行うことが継続的にトレーニングを続けることにつながります。

ここでは、あなた自身が無意識のうちに凝り固まっている視点、価値観、常識などをゆっくりと解きほぐすことから始めます。

■残された時間を計算する

凝り固まっている視点をほぐすトレーニング、まずはじめは時間への向き合い方です。私たちは皆、24時間平等に時間が与えられていますが、その感じ方は様々です。

楽しい休日はあっという間に過ぎてしまうと感じる一方で、苦手な業務を行っている時は時間が長く感じるという経験は誰しもあるでしょう。

突然ですが、2つ質問をします。①あなたには死ぬまでにあと何日、何時間が残されているでしょうか。②あなたは30歳までに何週間、何日残されているでしょうか。

若手ビジネスパーソンは漠然と「〇歳までに~ができるようになりたい」という将来を描きがちです。しかし、何日、何週間、何時間あると具体的にブレイクダウンをして計算をしている人は多くないと思います。

例えば、何かを習得したいと思い、毎日1時間1日も休まず5年間勉強したとします。しかし具体的な時間を算出すると学習成果が一定見られる2000時間には及びません。同じ5年間で1週間に1冊本を読むと決めたとして計算すると約260冊。1ヵ月に1冊ならば60冊と本棚2段程度にしかなりません。

このように毎日、毎週、毎月、毎年やることが具体的に何回できるものなのか、具体的な数字に落とし込むと意外と回数が少ないということに気づくことができます。それによって具体的な成果にも結び付きづらくなることが客観視して分かることがあるのです。

これに対して「時間は有限である」という認識を持ち、時間の「濃さ」にこだわることで、自分にとっての時間の意味は変わってきます。どのような自分になりたいか漠然と考えるだけでなく、具体的な数字に落として時間を捉えてみることで自分に与えられた有限の時間の使い方が大きく変わってきます。

毎日、毎週、毎年何をやっていきたいのか自分と向き合うとことから始めてみましょう。

■地球儀を見る

日々業務に追われる中で様々な問題が起こります。そのたびに一喜一憂していると精神的にも不安定な状態に陥ります。若手ビジネスパーソンは往々にして自分1人で悩み考えてしまいがちです。不安感や焦燥感に苛まれ、セルフコントロールができなくなる人も多いと思います。

先輩社員にとっては些細なミスということも若手ビジネスパーソンにとっては「会社に大変な迷惑をかけてしまった」とこの世の終わりのように悲壮な表情を浮かべている様子を多く見受けます。これは先輩社員と新入社員が見えている範囲、視界が異なることから生じています。

また、現在の上司とうまくいかず悩んでいる社員が、自部署から必要とされていないような被害者意識を持ってしまうこともよくあります。これは非常に視野狭窄に陥っている状態です。自分の見えている範囲のことだけ見ている人と、より広い範囲のことが見えている人では捉え方が異なるのは当然です。

加えて、若手ビジネスパーソンにとっては、雲の上の存在のような社長であっても悩みや課題は山積みです。そのような時に社長が意識していることも、より視界を大きく持つことだと言います。

ある経営者は地球儀を見ることで自社だけでなく、日本、世界まで視界を広げることで自分自身の悩みや課題のレベルを捉え直すのだそうです。地球儀ではなくとも、高層階のビルやタワーから遠くの山や海、空を眺めるなど方法は何でもかまいません。

自分の悩みや課題の小ささに気づくきっかけをどう作るのかポイントです。自ら意識的に思考を切り替えるきっかけを生み出すことで、景色が変わって見えてくるのです。

ダイエットフェーズ~自分の固定観念と決別する~

凝り固まった心や体の状態がほぐれた後は、いよいよ刺激を与えて心と体をスリムにするダイエットフェーズに入ります。

ここでは自分が無意識に抱え込んでいるものをそぎ落としていきます。無意識下で固定観念になっていることや、不必要なことにも関わらず習慣化していることを捨てて、体についた贅肉を落としていくようなイメージを持ってください。

■過去の執着を捨てる

過去の思い出は大切なものではありますが、そこに囚われていることで前に進めなくなることがあります。

過去の失敗が頭をよぎり、なかなか苦手意識を克服できなかったり、過去の成功体験に縛られて新しい挑戦を躊躇してしまったりする経験は多くの人にあるのではないでしょうか。

良い思い出に囚われてしまうパターンとして多いのが、過去への栄光です。自分がトップ営業として活躍していた時代のこと、社内表彰を受賞した時代のことを多く語る人は今の自分ではなく、過去の輝かしい自分に執着していることが多いです。

一方で失敗や苦難という思い出がトラウマになっている人もいます。学生時代にいじめを受けていたことを引きずり、周囲の人と良い人間関係を築けない状態に陥っている人もいます。

過去は変えられないものでもありますが、解釈を変えることは可能です。過去の栄光に囚われている人は今がうまくいっていない状況の裏返しです。そこで過去から活かせることはないのか考えることで他の人には気づけないポイントに気づくこともあります。

過去いじめを受けていたことに囚われている人も、過去から変わり続けている自分や環境を再認識して自分を認めてあげることも必要です。

今の自分の積み重ねが未来を創ります。「今・ここ」に集中することから始めてみましょう。

■ネガティブワードを捨てる

考え方は何に影響を与えるのでしょうか。まず表れるのが言葉です。思考が言葉に影響を与えます。

例えば、何か問題が起こったとしても、それをポジティブに捉えられる人はそこから何かを学ぼうとします。起こったことに感謝して、次は繰り返さないように行動を変えていくのです。

一方でネガティブに捉える人は起こった原因に目を向け、環境や他人のせいにする傾向が見られます。最初に起こった事象をどのような方向から捉えるかによって、その後の循環ループが変わってきます。この蓄積が、習慣や性格となって自分自身を形成していくのです。

常にポジティブに捉えることは難しいことのように思えますが、使う言葉を変えることは考え方を変えるためにアプローチしやすい方法です。

ネガティブな時に発しがちな言葉には「どうせ」「しょせん」という思考停止状態を招くものが多いです。この言葉は次の一手を考えようという発想にはならず、ネガティブな気持ちで思考全体を支配する方向につながっていきます。

まずはこのネガティブワードを捨てることです。代わりに「私だから、できる」「やってみなければ分からない」という言葉で自己暗示をかけてみましょう。自分に期待し、成功体験を得た時に初めて、真の自信が積み上がっていきます。

クールダウンフェーズ~新たな「自分創り」を継続する~

凝り固まった自分の価値観を解きほぐし、囚われていた固定観念を捨て去ることができたとしても、継続し続けなければ、あっという間に元に戻ってしまいます。

トレーニングで筋肉を鍛えたとしても、続けていないと衰えてしまうのと同じです。習慣化されてきた考え方が後戻りしないよう最適なクールダウンを行っていきましょう。

■怒りのゴミ箱をつくる

モチベーションを保とうとする中で向き合わないといけない感情の1つに怒りというものがあります。

モチベーションが低い人、一定の人であればやり過ごすということができる事象も、モチベーションが高い人ほど「まぁ、いいか」で片づけられなくなる状況が起こります。人は感情の生き物です。

感情を溜め込むことは良い結果をもたらしません。イライラした状態が継続することで仕事の集中力が切れることや、ストレス状態が長引けば、健康を害することにもつながります。

怒りのような負の感情は恐ろしいことに自分の中で繁殖を続けます。本当は怒ることではないにも関わらず、相手に対して怒りや恨みをもたらすこともあるのです。では、どうすればよいのでしょうか。

1つの方法として「怒りのゴミ箱」をつくることがあります。

紙に書いたり、PCで打ち込んだりして怒りを発散しアウトプットすることで、自分を客観視できる状態になります。書いているうちに、冷静になり、相手の問題点や言い分が見えてくることもあります。そして気が付くと怒りはおさまっているのです。

注意するべきことは必ずアウトプットしたものは破棄をすることです。怒りを相手にぶつけないためのゴミ箱として活用していきましょう。

■感謝の貯金箱をつくる

人は不思議なもので怒りなどの負の感情は長く覚えているものの、人に対する感謝という正の感情はすぐに忘れてしまいます。

自分一人で頑張っていると思い込んでしまい、怒りの感情を抱きやすいということもあります。感謝の気持ちを忘れてしまうことでどのようなことが起こるでしょうか。

1つは周囲への信頼関係への影響です。決して周囲の人はあなたからの「ありがとう」が欲しくて協力しているわけではないと思いますが、「ありがとう」を言われない人に何かをしてあげようという感情になるでしょうか。

感謝の気持ちを忘れてしまうと、本当に支援が必要なときでも、自分の実力に鈍感になって、人の支援を仰げずに終わることにつながってしまいます。感謝の念を持ち、胸に刻み続けるために、些細なことでも書き留めておき、節目のタイミングで読み返してみることをお勧めします。

このことによって周囲に自分が支えてくれる人が沢山いることを強く実感することになるでしょう。そこから、感謝の言葉をかける、その人が困っている時に力を貸すなどの習慣が生まれてきます。

この感謝のスパイラルが習慣化されることで、自分だけでなく周囲の環境までもよい状態に変わっていくのです。

新しい自分に出逢うために

ダイエットをメタファーにして「自分創り」に対するセルフマネジメントスキル向上の観点をみてきました。ダイエットに成功し、新しい自分を手に入れた人は沢山います。

そしてその成功した人たちが必ず行っていることが小さな習慣を積み重ねることです。簡単に思えることでも自分に対して「OK」を出して、積み上げていくことが、実は大きな目標を達成するためには近道であったりします。

人は一気に成果を求めたり、楽な方法に飛びつきたくなったりする怠惰な側面があります。その前提を受け入れた上で、小さなことでも続けていること、些細なことでもできたことに目を向ける習慣をつくることが第一歩になってきます。

自分への「OK」を積み重ねることが「自分創り」につながり、新しい自分に出逢う道につながります。

執筆者:LM編集部
執筆者:LM編集部
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