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課長と部長の違い|役割・必要とされるスキル・人材育成のポイントも解説

部長および課長がきちんと機能している企業は、組織力に優れ、市場においても高い競争力を発揮しているものです。逆に、部長・課長が機能していない企業は、組織としての成長が鈍化し、様々な課題を抱えているかもしれません。今回は、組織づくりのキーマンとも言える部長と課長にフォーカスして、それぞれの役割や業務内容、求められるスキルなどについて解説していきます。

目次[非表示]

  1. 1.課長と部長の違いとは?
  2. 2.部長の主な役割・業務内容
  3. 3.部長に求められるスキルとは?
  4. 4.部長クラスの人材を育成する重要性とは?
  5. 5.課長から部長になる人材を育成する3つのポイント
  6. 6.部長などの管理職におすすめの研修
  7. 7.管理職研修・育成ならストレッチクラウド
  8. 8.まとめ
  9. 9.課長と部長の違いに関するよくある質問


課長と部長の違いとは?

課長と部長の違いについてご説明します。

企業内での立ち位置

部長と課長の違いとして、第一に挙げられるのが企業内での立ち位置です。

部長は部署のトップに立つ責任者であり、部署としての最終的な意思決定を下す役割を担います。意思決定を上司に委ねられないポジションであり、自分の意思で様々な決断を下さなければいけません。経営層と同様に、経営視点と中長期視点を持って部署を運営していくことが大切です。経営陣と近い役職なので、経営陣の考えや戦略の意図を現場に落とし込む役割も担います。

一方、課長は部長に比べ、より現場の責任者としての側面が強い役職です。課としての方針・戦略を実行することに責任を負うのはもちろんですが、自身がプレイヤーとして案件に携わるケースも少なくありません。いわゆる「プレイングマネジャー」の典型例が課長だと言えるでしょう。また、重要な意思決定については部長やさらに上の役職の判断を仰ぐパターンが多く、組織の上下をつなぐ中間管理職としての色彩が強い役職でもあります。

▼中間管理職に関する記事はこちら
中間管理職(ミドルマネジメント)の役割と陥りがちな病とは

責任の大きさ

部長は課長より組織内での序列が高く、そのぶん大きな責任を背負うポジションです。部署内で起きたトラブルに関しては基本的に部長が責任をとることになるため、常に適切なマネジメントを心掛けなければいけません。もちろん、課長も責任をとる立場にありますが、課レベルでの責任になるため、部長ほど大きな責任を負うことはありません。

必要とされるスキル

現場に近いポジションで業務を進める課長に求められるのは、一人ひとりのメンバーの状態や能力・特性を正しく把握できるコミュニケーション能力です。適切なヒアリングでメンバーの要望や不満を汲み取ったり、自身の経験を生かした指導でメンバーの成長を促したりするのは、課長に求められる重要な仕事・スキルだと言えるでしょう。

一方、部長には部署全体を改革し、前に進める力が求められます。近場だけでなく遠隔的なマネジメントスキルが必要になるほか、物事の本質を捉えるコンセプチュアルスキルも不可欠です。もちろん、コミュニケーションスキルも課長以上のレベルが求められます。

年収

部長と課長では、年収面でも差があります。厚生労働省がおこなった「令和2年賃金構造基本統計調査」によると、部長の平均年収は約930万円、課長の平均年収は約800万円であり、およそ約130万円の差があることが分かりました。

※参考:令和2年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html

部長の主な役割・業務内容

部長の主な役割や業務内容についてご説明します。

経営戦略の浸透・実行

部長の主要な役割として挙げられるのが、経営戦略の浸透・実行です。経営陣が決定した経営戦略を部署のメンバーに落とし込み、それを実行に移していきます。経営層の意図や考えを分かりやすく伝えるためには、高度なコミュニケーションスキルやコンセプチュアルスキルが必要になります。

部署の管理

当然のことですが、自部署の管理は部長の本質的な役割です。規模が大きな部署であれば、課を新設するなどして、所属するメンバーをいくつかの課に振り分ける必要があるでしょう。課長と密なコミュニケーションを図っており、各メンバーの特性やスキルを正確に把握できていれば、それぞれが力を発揮できる部署体制を実現できるでしょう。

リソース配分も部長の重要な役割です。リソースの配分がうまくいっていないと、業務効率の低下から残業時間の増加につながることもあります。部長は自部署のリソースを正確に把握したうえで、最適なリソース配分をしなければいけません。

他部署との調整・交渉

部長は部署のトップとして、他部署との交渉・調整役を担います。また、社外のパートナーや取引先を相手にするケースも増えてきます。このような調整・交渉をうまく進めるためには、課長と密接なコミュニケーションを図り、常に現場の状況の正確に把握しておく必要があります。加えて、双方にメリット・満足をもたらすネゴシエーションスキルも重要になってきます。

ネゴシエーションに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。

>> ネゴシエーションとは?意味・成功のポイント・必要なスキルまで分かりやすく解説https://stretch-cloud.lmi.ne.jp/column/0089

部下の育成・評価

部長は多数の部下を抱えるポジションであり、部下の育成も重要な役割の一つです。部下の能力開発によって一人ひとりのパフォーマンス向上を図ることで、チーム全体の生産アップや目標達成につながります。

加えて、部下を評価するのも部長の仕事です。部下を評価するときは、称賛だけでなく改善点を指摘することも重要です。「どこに課題があり、どのように改善すべきか?」をうまく示すことができれば、部下の成長を促すきっかけにできるでしょう。数値一辺倒の評価ではなく、業務に向き合う姿勢や隠れた貢献などを評価することも大切です。

職場の環境づくり

職場の環境づくりも部長の重要な仕事の一つです。働きやすい環境を整えることができれば、メンバーのモチベーションや生産性の向上が見込めるでしょう。近年は特に、多様化する働き方への対応やメンタルヘルスケアのニーズが高まっています。ワークライフバランスや心身の健康に気を配り、部下が生き生きとポジティブに働ける環境をつくっていきましょう。

リスクマネジメント

部長には、目標を達成して会社に利益をもたらすことだけでなく、様々なリスクから部署や会社を守るリスクマネジメントも求められます。部下にコンプライアンスの遵守を徹底させるのはもちろん、部署のリスク要因を洗い出し、事前に対策を講じる姿勢が重要です。もちろん、部署内でトラブルが発生してしまったら的確な指示を出して解決に努めます。

部長に求められるスキルとは?

「カッツモデル」に基づいて、部長に求められるスキルについてご説明します。

カッツモデルとは、1950年代にアメリカの経済学者であるロバート・L・カッツ氏が提唱した人材育成に関する考え方で、役職に応じて求められる能力を「コンセプチュアルスキル」「ヒューマンスキル」「テクニカルスキル」の3つに分類したものです。ミドルマネジメントに相当する部長は、これらの3つの能力がいずれも重要になってきます。ちなみに、トップマネジメントになるとテクニカルスキルの比重が下がり、コンセプチュアルスキルの比重が上がります。

コンセプチュアルスキル

コンセプチュアルスキルとは、様々な事象の本質を見極めるスキルのことで「概念形成力」とも呼ばれます。部長の立場としてイメージしやすいのは、現状を分析して中長期の計画を立てる能力や、問題の本質を見極めて根本的な解決を図る能力でしょう。コンセプチュアルスキルは、以下のような要素で構成されています。

・ロジカルシンキング
・クリティカルシンキング
・探究心
・多面的視野
・受容性
・柔軟性
・知的好奇心
・応用力
・俯瞰力 など

ヒューマンスキル

ヒューマンスキルとは、周囲の人間と良好な対人関係を築くことができるスキルのことです。ヒューマンスキルを構築する主な要素としては、以下のようなものが挙げられます。

・リーダーシップ
・動機づけ
・コミュニケーションスキル
・プレゼンテーションスキル
・ヒアリングスキル
・ネゴシエーションスキル など

高度なヒューマンスキルを備えた部長であれば、上司・部下との関係性を良好に保ち、風通しの良い組織づくりができるでしょう。もちろん、顧客折衝の場面でもヒューマンスキルは大いに役立ちます。

テクニカルスキル

テクニカルスキルとは、部長としての業務を遂行するために求められる知識・技術のことを言います。テクニカルスキルは現場寄りの具体的なスキルなので、以下のように、どの部署の部長なのかによって求められるスキルが変わってきます。

・営業部:製品・サービスに関する知識、競合他社や顧客に関する知識、提案力
・マーケティング部:広告手法やアクセス解析などの知識、分析力、リサーチ力
・経理部:パソコンの操作スキル、簿記などの資格、チェック能力

部長クラスの人材を育成する重要性とは?

企業が部長クラスの人材を育成する重要性についてご説明します。

役割の違いを認識する必要がある

多くの企業において、課長として優れた実績を残した人が部長に昇格するのが一般的な流れですが、部長になったら視点をガラリと変える必要があります。課長時代は現場側の視点で仕事に向き合っていたはずですが、部長になったら経営側の視点で仕事に取り組まなければいけません。

しかし実際は、部長になっても現場の感覚から抜け切れず、日々の業務に忙殺されている部長が少なくありません。そのような部長は、今後の事業展開の見通しも立てることができず、本来の部長としての機能を果たすことができません。部長は課長の延長線上にある役職ではなく、まったく役割が違うことを認識する必要があります。

経営者レベルのマネジメントスキルを備える必要がある

理念やビジョンを踏まえたうえで自部門の方針や目標を定め、それらを達成できるように組織を導いていくのが部長のミッションです。そのためには、経営者と同じレベルのマネジメントスキルが必要です。

たとえば、20人の部下を抱える部長であれば、20人の社員を抱える会社の社長と同じだと考えることもできます。まずは、自部署を「小さな会社」であるという認識を持つことが大切です。そして、その小さな会社を経営していくためには、企業経営の実質的な方法論を身に付けなければいけません。

課長から部長になる人材を育成する3つのポイント

課長から部長になる人材を育成するポイントについてご説明します。

経営層にふさわしい資質・能力を持った人材を見極める

部長は将来の役員候補とも言えるポジションです。そのため、部長を育成する前提として、経営層として必要な資質・能力を備えているかどうかを見極める必要があります。一度部長に登用したら、簡単に降格させることはできないので、慎重に見極めなければいけません。

近年では、シミュレーション研修を活用して、経営層として必要な資質・能力があるかを見極める企業も増えています。部長が直面しがちな問題への対応をシミュレーションすることで「難易度の高い業務を遂行できるか?」「正解がない問いに対して最適解を導き出せるか?」といった力を把握できます。

経営側に立っていることを自覚させる

産業能率大学総合研究所がおこなった「上場企業の部長に関する実態調査」によると、96.9%の部長がプレイヤーとマネジャーを兼務しており、このような状況に対して約半数の部長が「業務に支障がある」と回答していることが分かりました。ほとんどの部長がプレイングマネジャーになっており、その状況に苦悩しているということです。

※参考:上場企業の部長に関する実態調査(第2回) | 2022年 | 調査報告書 | 産業能率大学 総合研究所
https://www.hj.sanno.ac.jp/cp/research-report/2022/02/08-01.html

部長としてうまくいかない人は、課長の延長線上で仕事や部下に向き合いがちです。プレイングマネジャーから脱することができないのも、その現れだと言えます。課長の延長線上ではなく、経営側に立っていることを自覚させることが部長としての出発点だと言えるでしょう。その際、意識醸成だけでは難しい面もあるため、部分的に部長の役割を担わせるなど、課長の段階で部長としての役割を体感できる環境を整えることをおすすめします。

研修制度を整える

課長も部長と同じ管理職なので、あらためて能力開発研修をおこなう必要はないと考える方もいると思いますが、部長と課長では役割や求められるスキル・資質が大きく異なります。そうであるならば、部長として必要なマインドやスキルを習得できる研修制度を整えるべきです。部長に機会をつくらずとも日常業務や既存事業は上手くいくかもしれませんが、課長時代の殻を破り、経営スキルを磨くことで、会社としての実利にも繋がるため部長育成への投資を増やすことをおすすめします。

部長などの管理職におすすめの研修

部長などの管理職におすすめの研修をご紹介します。

マネジメント役割理解研修

管理職として求められる役割をまず理解いただくための研修です。
まず、「管理職として新たに求められる役割は何か?」を理解していただくことが重要ですが、弊社では管理職として新たに理解いただくべきポイントは2つあると考えています。

①マネジメントに求められる役割「結節点」
→マネジャーという役割は、組織成立に不可欠である「コミュニケーションの結節点」として求められます。

②管理職に求められる4つのマネジメント
マネジメント方法としては、下記4つが挙げられます。

部長課長の違い


本研修を通じて上記2点を軸に管理職として求められる役割を理解いただき、
これから管理職としてのキャリアを歩まれる皆様の成長の発射角を高める研修をご用意しております。


モチベーションマネジメントスキル研修

これは、部下のモチベーションマネジメントに悩んでいる方向けの研修です。

モチベーションが上下する要因は人によって異なることを理解した上で、個々のタイプ別に有効な動機付けの訴求ポイントを学んでいただきます。

モチベーションが上下する要因は、「どのような思考行動のときにモチベーションが高まるのかという”行動”に対するモチベーションタイプ」と「どのような組織で働きたいのかという、”組織”に対するモチベーションタイプ」で分かれると言われているので、

それぞれのタイプの違いを踏まえたコミュニケーションをすることが重要です。

管理職研修・育成ならストレッチクラウド

ここまで部長に求められる役割を説明してきましたが、弊社では管理職育成施策としてストレッチクラウドというサービスを用意しています。

ストレッチクラウドは、管理職の成長支援に必要な3つのポイントが組み込まれているサービスです。最後に、成長に必要なポイント3つを基に、ストレッチクラウドのご紹介をします。

ポイント①「課題の明確化」

様々な課題に直面する中、有限なリソースの中で優先して対応すべき課題(一方で後回しで良い課題)を明確にすることが大切です。
→具体的・網羅的に設計されたマネジメントサーベイで、期待度・満足度を測定することで、課題に優先順位を付ける事が可能です。

ポイント②「周囲の支援」

職場で一人で課題に向き合うのではなく、同僚や上司から期待や支援を得ながら、行動変容ができる環境をつくることが大切です。
→期待を伝える機会としてサーベイに回答したり、周囲と課題や改善策を議論する機会を設けることで、周囲からの支援を引き出します。

ポイント③「継続的な支援」

昇格時などの節目で研修を行うだけでなく、定期的に自身の成長に向き合う機会を提供することが大切です。
→新任だけでなく全ての管理職に定期的に自己課題を設定し、課題に向き合うというサイクルをつくることができます。

冒頭でもお伝えした通り、企業の組織力や市場における高い競争力を有することが出来るかどうかは、部長次第といっても過言ではありません。ぜひ部長の皆様向けの育成施策を考えられる際は上記3つのポイントに着目してみてください。

まとめ

部長がプレイングマネジャーから脱することができないと、組織としての成長・成熟は遠のいてしまいます。部長が本来の役割を果たせるようにするためには、部長に求めることを明確に伝えたうえで、研修などでマインドやスキルを習得させることが重要です。企業の未来を担う人材として、ぜひ育成に力を入れてください。

課長と部長の違いに関するよくある質問

Q:部長と事業部長の違いは?

事業部制を導入している会社における事業部長は、事業部をまとめる役割を担う役職で、部長の上位に位置します。事業部長が一つの事業部を統括するのに対し、部長は一つの部署を統括する役職です。部長にも経営視点が求められますが、次のステップで役員登用も見える事業部長は、部長以上に会社の将来を見据えた経営マネジメント力が求められます。

Q:部長と次長の違いは?

次長は、部署の最高責任者である部長の代理者となる役職です。部長は経営に近い立場にあるため、様々な業務を抱えており多忙です。このような部長をサポートするのが次長の役割です。加えて、下の役職である課長をまとめていく役割も担います。

企業における役職の一覧や各役職者の役割などは、以下の記事で詳しく解説しています。

>> 役職者とは?役割・求められるスキル・種類一覧など、分かりやすく解説

執筆者:LM編集部
執筆者:LM編集部
理念・採用・風土・制度など組織人事のトレンドを発信しています。 基本的な用語解説から、多くの企業で陥っている実態、 弊社が培ってきた組織変革技術の知見を踏まえたポイント解説まで 皆様のお役に立つ情報をお届けします。
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