社会人に必須の「発信力」とは?必要な理由・身に付ける方法まで分かりやすく解説
自分の意見を分かりやすく伝える力である「発信力」は、経済産業省が提唱する「社会人基礎力」の一つの能力要素として挙げられており、ビジネスパーソンにとっては必須のスキルと言えるものです。今回は、発信力がビジネスパーソンに必要な理由や、発信力を身に付ける方法などについて解説していきます。
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自分の意見を分かりやすく伝える力である「発信力」は、経済産業省が提唱する「社会人基礎力」の一つの能力要素として挙げられており、ビジネスパーソンにとっては必須のスキルと言えるものです。今回は、発信力がビジネスパーソンに必要な理由や、発信力を身に付ける方法などについて解説していきます。
ビジネスパーソンに求められる発信力とは?
発信力とは、自分の意見を分かりやすく相手に伝えるスキルのことで、コミュニケーション能力の一種です。経済産業省が提唱した「社会人基礎力」のうちの「チームで働く力」の一つとして位置付けられている能力です。
社会人基礎力とは?
2006年、経済産業省は「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として「社会人基礎力」を提唱しました。社会人基礎力は「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つの能力と、12の能力要素から構成されています。
「チームで働く力」とは、多様な人々とともに目標に向けて協力する力のことで、そのうちの一つの能力要素とされているのが発信力です。社会人基礎力については、以下の記事で詳しく解説しています。
>> 社会人基礎力とは?必要性や能力を向上させる方法について徹底解説
https://stretch-cloud.lmi.ne.jp/column/0075
▼コミュニケーション能力に関する記事はこちら
コミュニケーション能力とは?ビジネスにおける重要性や効果的な話し方、能力向上のポイントを解説
発信力はSNSのフォロワーの多さではない
SNSの普及やインフルエンサーの台頭によって、「発信力のある人=SNSで積極的に投稿する人、SNS上で注目を集めている人」といった解釈をする人が増えていますが、これは発信力の本質とは異なるものです。本来の意味での発信力とは、自分の意見を分かりやすく伝える力のことであり、数値で測れるようなスキルではありません。SNSで「どれだけ投稿しているか?」「どれだけフォロワーがいるか?」といったことは発信力とは関係がなく、あくまでも相手に分かりやすく伝わったかどうかがポイントです。
ビジネスで発信力が必要とされる理由
ビジネスで発信力が必要とされる理由についてご説明します。
周囲の協力を得るため
どれだけ素晴らしい解決策やアイデアを持っている人でも、発信力がなければ周囲の理解を得られず、それを実行に移すこともできません。相手にとって必要な前提情報を示したうえで、自分の考えやアイデアを分かりやすく伝えることができれば協力を得られやすくなり、仕事がスムーズに進んだり、やりたいことを実現したりしやすくなるはずです。
誤解を生じにくくするため
ビジネスでは、同僚や上司、他部署のメンバー、顧客や外部のパートナー企業など、様々なステークホルダーと協力して仕事を進めていきます。彼らはそれぞれ異なる知識や情報を持っており、ある事柄に関する理解度もそれぞれ異なります。そのため、発信力がない人は様々な誤解や認識違いを招くケースがあります。
発信力がある人は、自分と相手ではリテラシーや常識の違いがあることを前提に、誤解を避ける伝え方ができます。余計なトラブルや軋轢を生まないようにするために、発信力は非常に重要なスキルだと言えるでしょう。
リモートワークでも円滑なコミュニケーションを図れる
コロナ禍でリモートワークが一般的なものになっている昨今、社内でも社外でも対面のコミュニケーションが減少し、メールやチャット、オンライン会議などの機会が増えています。私たちは、言葉だけでなく身振り手振りや声のトーン、表情などの「非言語コミュニケーション」から多くの情報を読み取っています。しかし、非対面のやり取りでは非言語コミュニケーションが不足するため、お互いに「言いたいことがうまく伝わらない」と感じるケースが少なくないようです。
このようななかでも、発信力のある人は、メールやチャット、オンライン会議などコミュニケーション手段の特性を踏まえたうえで、自分の意見などを分かりやすく伝えることができます。リモートワーク環境においても円滑なコミュニケーションを図るためには、発信力を高めることが不可欠です。
発信力のない人の特徴
発信力が「自分の意見を分かりやすく伝える力」だとしたら、発信力がないということは自分の意見を分かりやすく伝えることができない、つまり「話が分かりにくい」ということになるでしょう。
では、話が分かりにくい人はどのような特徴があるのでしょうか。よく言われるのが、「話が長くて、何が言いたいのかよく分からない」という特徴です。これは、自分が知っている情報や思っていることを全部伝えようとすることが原因になっているケースが多いでしょう。また、そもそも何を伝えたいのかが自分のなかでまとまっていないケースもあるかもしれません。
「話の構成や展開が分かりにくい」という場合もあるでしょう。これは、論理的思考力が不足している可能性が考えられます。論理的思考が苦手な人は、いきなり話が飛躍したり、話の根拠が妥当でなかったりすることが多々あります。また、相手の立場に立つことができなければ、相手が理解しやすい伝え方をすることもできません。
いずれにしても、発信力に乏しく、話が分かりにくい人は相手に不信感やイライラを与えてしまうため、良い内容だったとしても同意・理解を得るのが難しくなります。結果的に、自分が困ることになるのです。
発信力を身に付ける4つの方法
発信力を身に付けるために有効だとされている4つの方法についてご説明します。
①相手に合わせた発信を心がける
相手の情報量や知識量が自分と同程度だとは限りません。分かりやすく伝えるためには、相手の情報量や知識量に合わせた構成、言葉で話すことが重要です。相手のリテラシーが高い場合はできるだけ削ぎ落として話す、相手が精通していない分野の話であれば、できるだけ丁寧に話すのが基本です。初対面の人など、相手に関する情報がない場合は反応を見ながら話し方を変えていきましょう。
②論理的に発信する
相手に伝わりやすい発信をするためには、事前に内容を順序立てて整理し、論理的に話すことが重要です。自分の意見を述べる場合は、自分自身に「なぜそう思うのか?」と問いかけることで根拠を深掘りするようにしましょう。また、必要に応じて情報収集をして、データなどの根拠を追加する工夫も大切です。
参考までに、コミュニケーションの際に論理的に発信する為の手法「PREP法」を紹介いたします。
具体的には、以下の流れに沿って相手への伝達を行う手法の事です。
【PREP法による話の流れ】
- Point:結論
- Reason:理由
- Example:具体例
- Point:結論(の再提示)
上記の順番で話を構成することで、自身の整理と相手の理解促進に繋がるため、有効活用して頂ければと思います。
▼prep法に関する記事はこちら
PREP法って?メリット・デメリット、練習方法を解説
③伝え方や見せ方を工夫する
同じ内容の発信でも、伝え方や見せ方によって相手の理解度は大きく変わってきます。「いちばん伝えたい主張を冒頭や締めに持ってくる」「図やイラストを活用する」「箇条書きを使う」「具体例を用いる」といった工夫をすることで、発信内容は格段に分かりやすくなるものです。
④自ら発信する機会を増やす
発信力を高めるには場数を踏むことも重要です。チームの朝礼でも、社内のプレゼンテーションでも、自ら発信する機会を増やすように努めましょう。アウトプットを増やすことで、相手に伝わるコツなどが経験則として培われていくはずです。
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▼ビジネススタンス研修(新入社員向け)に関する記事はこちら
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まとめ
発信力が高い人は、どんな相手ともスムーズに意思疎通をすることができ、周囲の人の理解・協力を得やすくなります。結果的に、仕事がはかどりますし、仕事の質も高まります。従業員の発信力強化を通して、組織力の底上げを図っていきましょう。
発信力に関するよくある質問
Q:発信力以外の「チームで働く力」とは?
社会人基礎力は「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つの能力で構成されており、「チームで働く力」は、発信力のほかに以下の5つが示されています。
- 傾聴力:相手の意見を丁寧に聴く力
- 柔軟性:意見の違いや立場の違いを理解する力
- 状況把握力:自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力
- 規律性:社会のルールや人との約束を守る力
- ストレスコントロール力:ストレスの発生源に対応する力
※参考:「人生100年時代の社会人基礎力」説明資料|経済産業省https://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/
Q:分かりやすく伝えるための練習法はある?
数年前に、『1分で話せ 世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術』(伊藤羊一 著)という本がベストセラーになりました。また、「エレベーターに偶然乗り合わせた社長に30秒でプレゼンをする」という設定でおこなう「エレベーターピッチ」というプレゼン手法もあります。このように、短く話す訓練をすることは、発信力を鍛えるのに効果的です。短い時間でいかに要点を伝えるか、いかに相手の興味を引けるかが重要です。