ストレスマネジメントとは?対処方法や効果を解説
仕事や日常生活においてストレスを感じる場面があるでしょう。変化の激しい現代においては、ストレスにうまく対処していくことが重要視されています。そこで役立つのが「ストレスマネジメント」です。
今回はストレスの起こる原因を探り、対処するための具体的な方法や効果をお伝えします。
営業担当者は旧来の価値観や営業スタイルだけではなく、新しい時代に必要なスキルや知識、振る舞い等も身に着けていかなくてはなりません。ビジネスを取り巻く環境変化が激しい現在、営業担当者の育成はさらに重要な課題となっていくでしょう。
今回は、営業研修が必要な理由、よく行われる営業研修の内容、実施するにあたってのポイントについてご紹介します。
目次[非表示]
- 1.ストレスマネジメントとは
- 2.ストレスとは?
- 3.ストレスマネジメントを導入する方法
- 4.ストレスマネジメントの実践例
- 5.ストレスマネジメントの効果
- 6.記事まとめ
- 7.よくある質問
ストレスマネジメントとは
■ストレスマネジメントとは?
ストレスマネジメントとは、ストレスとの上手な付き合い方を考え、適切な対処法をしていくことです。
ストレスは、誰でも日常的にでも受けるものです。しかし、中にはストレスによって様々な症状がでたり、疲れてしまったり、時には大きく健康に影響して病気になってしまうこともあります。
そのように身体や心に悪影響を起こすストレスに対し、どのように対処しどのように付き合っていくかを考えることを、ストレスマネジメントと呼びます。
ストレスマネジメントにおいては、まず自分がストレスを感じていることやストレスの要因(ストレッサー)に自覚的になり、要因に対処するための方法を考えていくことが重要です。
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若手ビジネスパーソン向けセルフマネジメント強化のススメ
■ストレスマネジメントを用いる現場
企業の現場
コロナウイルスによる環境変化もあり、各業界や企業に激しい変化が起こっています。変化に適応するのには時間も労力も要するため、ストレスを感じる方は多くいるでしょう。
仕事の目標に対するストレスや、業務量の多さに対するストレスなど、人により様々なストレッサーがあるので、チームメンバーや上司などが一体となってサポートしていくことが重要です。
介護の現場
介護の現場では、仕事中のさまざまな場面や労働条件などからストレスを抱える人も多いです。ストレスを放置すると、離職や被介護者への虐待、不適切なケアにつながることもあるため注意しなくてはなりません。
仕事が忙しすぎてきつい言葉を投げかけたり、周囲のサポートを得られずにイライラが募って厳しい態度を取ったり、ストレスが爆発して高齢者虐待に至ることも。こうした事態を避けるためにも、適切なストレスマネジメントが求められています。
また、介護職員のストレスを和らげるには、組織的なサポートが必要です。
看護の現場
看護の現場では、日常的に病気や生死に関わる状況に接します。また、他の職種に比べて業務量が多く、仕事のコントロールも効きにくいため、ストレスのかかりやすい職業だといえるでしょう。
看護職特有のストレッサーは、緊張感のある職場、医師などの看護職への無理解、厳しい労働環境、患者や家族との関係などが挙げられます。メンタルに不調をきたすリスクが高い職種のため、ストレスマネジメントの適切な活用が欠かせません。
教育の現場
教育の現場では、「ストレスによってメンタルに不調をきたした子どもへの対応」と「事前予防のためのメンタルヘルス教育」の2つの観点からストレスマネジメントが実施されています。
ストレス反応の種類を知り、ストレス対処法(コーピング)を身に付ければ、ストレスをコントロールできるようになります。メンタルヘルスに不調をきたさないよう、また日常の場面から活用できるような教育が必要でしょう。
ここではストレスマネジメントを用いる現場として「介護」「看護」「教育」の現場を取り上げています。共通していることは、ストレス負担が増えると高齢者や子供など、接する対象に不適切なケアを行ってしまう可能性があることです。
これらの共通項を鑑みると、これらの現場だけでなく、企業の管理職やリーダーなどもうまく取り入れストレスに対峙していく必要があると思います。以下の例をもとに、ぜひご自身の環境でストレスマネジメントを取り入れる理由について考えてみてください。
ストレスとは?
■ストレスとは?
「ストレス」とは、生活上のプレッシャーおよび、それを感じたときの感覚です。現代ではストレスを和らげる方法として、瞑想やマインドフルネスが取り上げられブームとなっていますが、ストレスは精神的なものだけでなく、寒さ熱さなど生体的なストレスも含みます。
こころや体に影響をおよぼす「ストレッサー」には、大きく分けて「物理的ストレッサー」「化学的ストレッサー」「心理・社会的ストレッサー」の3種類があります。
→ストレスの要因=ストレッサーを認知することでストレスを感じ、精神や身体へ影響が及びます。
ストレスマネジメントはどのような現場で活用されているのでしょうか。具体的な事例を紹介します。
■ストレスの原因と反応
ストレスの原因となるストレッサーには大きく分けて「物理的ストレッサー」「化学的ストレッサー」「心理・社会的ストレッサー」の3種類があります。
物理的ストレッサー
温度や光、音など物理的な環境刺激のことを指しています。
化学的ストレッサー(公害物質、薬物、酸素欠乏・過剰など)
化学物質や有機溶剤、金属、アルコール、タバコ、薬物、食品添加物といったものを指しています。
心理・社会的ストレッサー(人間関係や仕事上の問題、家庭の問題など)
普段私たちが「ストレス」と言っているものの多くは「心理・社会的ストレッサー」のことを指しています。
不安、焦り、いらだち、怒り、緊張、抑うつといった感情をともなう「心理的ストレッサー」と、情報過多や過密な都市生活、経済問題、政治問題、職場関係といった「社会的ストレッサー」に分かれます。
心理的ストレッサーには、締め切り期日や試験終了時間が迫ってきて焦るような時や周囲に遅れないように慌てている時などのように時間を意識しているときに感じる「時間のストレッサー」や、ノルマや目標の達成、仕事上の義務など、過大なことをしなければならないことがある時に感じる「課題のストレッサー」などがあります。
ストレスマネジメントを導入する方法
■セルフケア
労働者自身がストレスに気付き、これに対処するための知識・方法を身に付け、それを実施することをセルフケアと言います。
ストレスマネジメントは1人で実施することはなかなか難しいため、セルフケアにおいてはストレスに気付くことに重きを置いています。
ストレスに気づくためには、ストレス要因に対するストレス反応や心の健康について理解するとともに、自らのストレスや心の健康状態について正しく認識できるようにしましょう。
■ラインケア
部長や課長などの管理職が、部下の心のケアや職場環境の改善をする取り組みのことをラインケアと言います。
ストレスがあることに本人が気づきづらいこともあるので、早期発見のために、管理職は、日頃から部下の様子を観察し、コミュニケーションを絶やさないことが大切です。
また、部下が自身の変調に気づいたときに、気軽に相談できる環境が必要です。そのためには日頃から、部下の信頼関係を築いておくことが重要です。また、個人的に面談する機会を定期的に設けたり、専任の相談員を設置したりすることも有効でしょう。
■社内専門家
内部もしくは外部の専門家にストレスマネジメントを委ねるケースもあります。
例えば、産業医やカウンセラー、保健師や精神科の医師などが当てはまります。中小企業などでは人事労務担当者が兼任する場合もあります。
これらの専門家が社内に常駐していない場合、特に従業員50名以下の企業では産業医等を選任する義務が無いため、適切に外部との連携をはかる必要があります。
■社外の専門家
社外専門家は、社内専門家から紹介を受けることなどで利用でき、社内専門家だけでは対応が難しい場合などに活用できます。
都道府県産業保健推進センターや地域産業保健センター、中央労働災害防止協会、労災病院、など社外専門家を活用することも重要です。
ストレスマネジメントでは、対象者だけがストレスに向き合うのではなく、上司や社内専門家、社外専門家が連携して、従業員が心身ともに健康でいられるための仕組みを整えることが求められるのです。
ストレスマネジメントの実践例
ストレスマネジメントの手法には様々なものがあります。それぞれの特徴を理解して、適切な場面で活用することで、効果を高めることができるでしょう。
セルフモニタリングの手法
ストレスマネジメントの手法の一つにセルフモニタリングがあります。この手法では、自分自身のストレス反応を把握することで、ストレスの原因を理解し、ストレスを軽減することができます。
セルフモニタリングでは、「ストレスを感じた状況」「ストレッサー」「どんなストレス反応が起こったのか」という三点を書き出すことが重要です。これにより、自分のストレス反応パターンを把握することができます。
例えば、ストレスを感じた状況が「仕事のデッドラインが迫っている時」である場合、それに対するストレッサーとしては「プレッシャー」が考えられます。そして、そのストレッサーに対するストレス反応が「イライラすること」という場合、これを書き出すことで、同じようなストレスを感じた時に、自分がどのような反応を示す傾向があるかを理解することができます。
コーピングの手法
■問題焦点型のコーピング
問題焦点型コーピングは、現在直面している問題や状況に対して直接的な解決を目指すアプローチです。具体的な手法としては以下のようなものが考えられます。
・職場での環境調整:職場の物理的、心理的環境を変更することで、ストレスの原因を取り除く。
・仕事内容の調整:タスクの量や内容を変更することで、過度なストレスを回避する。
このアプローチは、問題そのものに対処することを目的としており、具体的な状況や問題に応じて適切な対策を立てることが求められます。
■情動焦点型のコーピング
情動焦点型コーピングは、問題そのものの解決を目指すのではなく、自分の気持ちや感じ方、考え方を調整するアプローチです。具体的な手法としては、出来事のプラスの側面に注目する、誰かに話して感情を吐き出すといった方法が挙げられます。例として以下のようなものがあります。
アサーションやリフレーミングのような認知(捉え方)を変える方法
このアプローチは、問題そのものを変えるのではなく、自分の感じ方や考え方を変えることでストレスを軽減することを目的としています。
ストレスマネジメントの効果
■精神面の健康
ストレスが積み重なってくると精神に影響が及び、次第に身体に影響が出始めてはっきりとした症状として現れてきます。ストレスが原因となって引き起こされる病気の例としては、うつ病や自律神経失調症などがあります。
厚生労働省によると、15人に1人は生涯に1度はうつ病になるという結果が出ています。
うつ病はストレスを受け続けることで脳内の神経伝達物質が崩れ、脳がうまく機能しなくなります。そのためネガティブ思考になったり、憂鬱な気持ちになったりします。また、不眠やだるさなど身体に影響が出ることもあります。
ストレスマネジメントを行うことで、こういった病気の原因であるストレスが積み重ならないよう未然に防ぐことが可能になります。
■職場環境の改善
ストレスがあると、周囲の人にもきつく当たってしまったりしてしまうことがあると思います。組織内にストレスと上手に付き合える従業員が増えれば、職場環境が明るくなるでしょう。
ストレスがたまっていると身体にも影響が及び、遅刻や業務パフォーマンスの低下に繋がることも少なくありません。
1人ひとりのメンタルヘルスを健全に保つことで、結果として組織全体の効率や環境の改善に繋がるでしょう。
■コミュニケーション・エラーの防止
コミュニケーション・エラー(コミュニケーションの齟齬)は、送り手の情報が曖昧であったり、受け手が思い込みで解釈をしてしまった場合に生じます。
アメリカの心理学者ラザルスは、心理的側面からストレス論(心理的ストレスモデル)を展開しています。そこにおいては、人が何らかの刺激を受けたときに、ストレスとして認知されるかどうかは受け手によって異なると言われています。
自分がストレスに感じないことでも、相手にとってはストレスに感じてしまうことも人間関係の中では起こり得るでしょう。相手との感覚をすり合わせながら、メンバー1人ひとりのメンタルヘルスを健康に保てるようにしていきましょう。
記事まとめ
ストレスマネジメントを学び自分で自分のストレスに対処する力を身につけることは、長く働き続けるうえでも重要です。
対処法にはさまざまなものが考えられるので、日常に習慣として取り入れやすいものを試してみてください。社員一人ひとりが継続的にストレスマネジメントを実施することで、健全な心身と業務パフォーマンスを保つことができるでしょう。
すでに自分だけでは解決できないような症状が出ている場合には、ストレスマネジメントでの自己解決だけに頼らず、精神科などの医療機関を受診しましょう。
■参考サイト
厚生労働省 e-ヘルスケアネット
よくある質問
ストレスマネジメントとは?
ストレスマネジメントとは、ストレスとの上手な付き合い方を考え、適切な対処法をしていくことです。
ストレスマネジメントにおいては、まず自分がストレスを感じていることやストレスの要因(ストレッサー)に自覚的になり、要因に対処するための方法を考えていくことが重要です。
ストレスマネジメントを上手く行う方法とは?
ストレスマネジメントのためには、以下が重要です。
■ セルフモニタリング
ストレス反応を把握し、原因を理解して軽減するために必要です。
■ ストレスを軽減する方法を見つけること
深呼吸、瞑想、ストレッチングなどが有効です。
■タイムマネジメント
計画的にタスクを進めることがストレスを軽減するために大切です。
■ 継続的なプラクティス
定期的にセルフモニタリングを行い、ストレスを軽減する方法を見つけることが必要です。
ストレスマネジメントを導入する方法とは?
実際にストレスマネジメントを導入する方法としては下記4つが挙げられます。
■セルフケア
ストレスマネジメントは1人で実施することはなかなか難しいため、セルフケアにおいてはストレスに気付くことに重きを置いています。
■ラインケア
部長や課長などの管理職が、部下の心のケアや職場環境の改善をする取り組みのことをラインケアと言います。ストレスがあることに本人が気づきづらいこともあるので、早期発見のために、管理職は、日頃から部下の様子を観察し、コミュニケーションを絶やさないことが大切です。
■社内専門家
内部もしくは外部の専門家にストレスマネジメントを委ねるケースもあります。 例えば、産業医やカウンセラー、保健師や精神科の医師などが当てはまります。中小企業などでは人事労務担当者が兼任する場合もあります。
■社外の専門家
社外専門家は、社内専門家から紹介を受けることなどで利用でき、社内専門家だけでは対応が難しい場合などに活用できます。 ストレスマネジメントでは、対象者だけがストレスに向き合うのではなく、上司や社内専門家、社外専門家が連携して、従業員が心身ともに健康でいられるための仕組みを整えることが求められるのです。