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アセスメントとは?必要な理由は?ビジネスでの使い方や導入の手順について紹介

アセスメントは、あらゆる分野における重要な意思決定プロセスの一環として、幅広く採用されています。このプロセスは、教育、医療、ビジネス、環境保全など、様々な領域で異なる形を取りながらも、共通して目的や状況の評価、分析、そして適切なアクションプランの策定に役立てられています。

アセスメントを適切に行うことで、より効果的で合理的な意思決定が可能になり、組織や個人に対して最適な解決策や方向性を提案するための重要な手段となっています。

目次[非表示]

  1. 1.アセスメントの定義
  2. 2.アセスメントが重要な理由
  3. 3.企業におけるアセスメントのメリット
  4. 4.アセスメント導入の流れ
  5. 5.業種ごとのアセスメントの手順
  6. 6.アセスメント導入時の注意点
  7. 7.アセスメントに関するQ&A
  8. 8.人材育成のことならストレッチクラウド
  9. 9.まとめ


アセスメントの定義

「アセスメント」とは、何らかの対象や状況を評価、分析するプロセスを指します。教育、医療、ビジネスなど様々な分野で用いられ、目的に応じた情報の収集・分析を行い、適切な判断や対策を立てるために重要な役割を果たします。例えば、学校では学生の学習進度の評価、医療現場では患者の健康状態の評価、企業ではプロジェクトの効果やリスクの評価などに使用されます。

アセスメントが重要な理由

アセスメントは、教育、医療、ビジネスなど多岐にわたる分野で重要な役割を果たします。その目的は、情報を収集し分析することで、正確な判断を下し、効果的な計画や対策を策定することにあります。例えば教育分野では、生徒の学習進度や理解度を評価し、適切な教育方法を選択するためにアセスメントが必要です。

アセスメントを行わない場合、意思決定は不十分な情報や主観的な見解に基づくことになり、結果として非効率的または不適切な判断を招く可能性が高まります。

企業におけるアセスメントのメリット

意思決定の質を向上する

アセスメントは、意思決定の質を大幅に向上させる重要な役割を果たします。正確で包括的なデータ収集と分析を通じて、経営陣は市場動向、消費者のニーズ、競合の戦略など、重要なビジネス要因をより深く理解することができます。

このプロセスは、戦略の策定、リスク管理、資源の効果的な配分など、企業運営の各面でより情報に基づいた、合理的な決定を可能にします。

また、アセスメントを通じて得られた洞察は、市場の変化に迅速かつ適切に対応するための方針を提供し、長期的な競争優位を構築するのに役立ちます。

リスク管理の強化

企業のリスク管理においても、アセスメントは極めて重要です。アセスメントを行うことで、潜在的な問題点やリスク要因を事前に特定し、それらに対する予防策や対応計画を策定することが可能になります。

例えば、財務アセスメントは財政的健全性の評価に役立ち、市場アセスメントは新たなビジネスチャンスとともに潜在的な市場リスクを明らかにします。このように、各種のリスクを早期に特定し評価することで、企業は不測の事態に迅速かつ効果的に対応し、損失を最小限に抑えることができます。

コミュニケーションの強化

アセスメントは、企業内の部門やチーム間のコミュニケーションを促進する効果もあります。アセスメントプロセスを通じて、組織内のさまざまな部門が共通の目標に向けて情報を共有し、戦略を調整する機会を得ることができます。

例えば、営業、マーケティング、製品開発などの部門は、市場のニーズや競合の動向に関する共通の理解に基づいて、より一貫した戦略を構築できます。

また、アセスメント結果の共有は、組織全体の透明性を高め、従業員が企業の方向性や目標に対する理解を深めることに寄与します。

アセスメント導入の流れ

情報収集

アセスメントのスタートは目に見えている出来事だけではなく、氷山モデルをイメージして様々な角度からの情報を集めることです。

氷山モデルはその名の通り氷山のように「目に見えている出来事」は「氷山の一角」であり、水面下にその出来事を引き起こしている多くの要因があるという考え方です。

(参考:「人の行動」の氷山モデルの例)

上図のように「目に見える行動」の下にはその人の「行動特性」や「自分なりのポリシー」、「周囲との関係性」「暗黙で持っている前提」「それまでに経てきた体験」などがあるイメージです。

人物へのアセスメントを仮定すると、

・本人へのヒアリング、インタビュー
・非言語的な情報(表情、ジェスチャーなど)の観察
・周囲との関係性の観察(どのような立場にいるか)
・周囲の人物へのヒアリング、インタビュー
・本人とのすり合わせ

が主な流れとして考えられます。ポイントとしては「本人の言うこと」以外にも「周囲との関係性はどうなっているか」という視点で俯瞰的に全体像を捉えることです。

結果の分析・仮説立案

次に得られた情報を分析し、その結果を元にして仮説を立てます。分析の観点としては、先述した氷山モデルの項目を元にしても良いですが更に分析内容を思考する際の手法をご紹介します。

以下は情報の整理や仮説立案に役立つ観点です。

・ヒアリングしたことは「事実」と「本人の解釈」を分けることが重要です。これにより、主観的な意見と客観的な事実を区別することができます。

・情報の順序を整理することで、分析の論理的な流れを作り出すことができます。これにより、情報のつながりや重要性を把握しやすくなります。

・情報同士の因果関係を考えることで、要因と結果の関係性を明確にすることができます。これにより、仮説の根拠を強化することができます。

・過去の出来事や他の対象との相対化をすることで、情報をより広い視野で分析することができます。これにより、新たな視点や洞察を得ることができます。

・立てた仮説に対して「なぜ?」という問いで深掘りすることが重要です。これにより、仮説の根本的な原因を明らかにすることができます。

これらの観点を活用することで、より深い分析や明確な仮説立案が可能となります。

施策の策定・実施

分析した結果を元に仮説を立てた後は、その課題を解決するための施策の検討を始めましょう。人物に対する施策や対応の場合は特に下記の図のように仮説立案で行き着いた「暗黙の前提」をどうしたら「望ましい前提」に変えるかといった観点で考えると良いでしょう。


(参考:暗黙の前提を変える思考フレーム)

また、決まった施策を実施する際には個人向け・組織向け関わらず「相手が受け入れられる順番」に気をつけることが大切です。その際には、ドイツの心理学者であるクルト・レヴィンが提唱した「組織変革の3ステップ」が活用できます。

(参考:組織変革の3ステップ)

ポイントは上図のようにいきなり変化を要求する「Change(行動促進)」から始めるのではなく、相手の警戒を解いて変化への期待を持ってもらう「Unfreeze(期待醸成)」から始めることが重要です。

評価・軌道修正

そして施策の実行をしたらそのままで終わってはいけません。しっかりと振り返り・評価をして必要に応じて軌道修正を行うことが重要です。結果に対する評価はこれまでのアセスメントの観点を改めて用いても良いでしょう。

特に人物を対象としたアセスメントでは、しっかりと本人やその周囲の人へのフィードバックや感想のヒアリングが大切です。この過程を飛ばしてしまうと、「結局どう変わったか」が分からないままになってしまい、次の施策への協力を仰げない可能性があります。

さらに、アセスメントの一環として、定期的な報告や進捗の共有も行うことが有益です。報告を通じて、施策の効果や進行状況を明確に伝えることができます。また、進捗の共有を通じて、関係者間の協力や意見交換を促進することができます。

業種ごとのアセスメントの手順

医療アセスメント

医療アセスメントでは、患者の健康状態だけでなく、病歴や生活習慣など、さまざまな要素を詳細に評価します。これにより、病状の正確な診断や治療計画の策定、予測が可能になります。

さらに、患者の将来の予後を予測し、患者にとって最適な医療提供を追求することができます。このような綿密な評価を通じて、患者の健康を保つための具体的なアクションプランを作成し、病気や症状の進行を予防することも目指します。

手順

まず、患者の医療歴と現在の症状を詳細に収集します。次に、身体検査、必要に応じた検査を行い、得られたデータを総合的に分析します。最後に、診断と治療計画を立て、患者と共有します。

アセスメント導入時のポイント

導入時には、患者のプライバシーと情報の機密性を保護することが重要です。そのため、適切なセキュリティ対策を実施する必要があります。例えば、システムへのアクセス制限やデータの暗号化などの対策が挙げられます。

さらに、チーム間の効果的なコミュニケーションを確保するためには、定期的なミーティングや情報共有の機会を設けることが重要です。また、コミュニケーションツールの活用や情報の共有プラットフォームの導入も検討する価値があります。

介護・福祉アセスメント

介護・福祉アセスメントは、個々の利用者のニーズや能力を詳しく調査し、適切なサポートを提供するために綿密に行われます。この詳細な調査により、利用者の自立支援や生活の質の向上を促進することが目標とされています。

アセスメントの過程では、利用者の身体的な健康状態や精神的な状態、日常生活のスキルや認知機能など、様々な要素が評価されます。また、利用者の希望や目標も重要な要素として考慮されます。これにより、利用者の個別のニーズに合わせた適切な支援プランが策定されます。

手順

利用者の身体的、精神的健康状態、日常生活の能力を評価します。次に、社会的環境や家族構成などを考慮し、総合的な支援計画を作成します。定期的なフォローアップで計画を見直し、必要に応じて調整します。

アセスメント導入時のポイント

アセスメントを導入する際には、利用者の個別性に注目する必要があります。利用者はそれぞれ異なるニーズや要求を持っていますので、一人ひとりに合わせたアセスメントの実施が求められます。このように利用者の個別性を尊重することは、人権を尊重することとも密接に関連しています。

また、アセスメントの導入においては、関係者間の連携が重要です。関係者同士の連携を密にし、情報共有を促進することで、アセスメントの効果を最大化することができます。

環境アセスメント

環境アセスメントは、開発計画や事業が環境に及ぼす影響を評価する非常に重要なプロセスです。このプロセスでは、自然環境、生態系、そして人間の健康への影響を十分に考慮し、持続可能な開発を目指すための基盤を作ります。

環境アセスメントは、開発計画や事業が環境に与える潜在的な影響を明らかにするための手段です。例えば、新しい工場の建設やインフラプロジェクトの実施に際して、環境アセスメントを行うことで、その計画が周辺の自然環境や生態系にどのような影響を及ぼすかを評価することができます。

手順

プロジェクトの概要と環境への潜在的影響を分析します。次に、データ収集と現地調査を行い、影響評価を実施します。最後に、環境保全策を提案し、報告書を作成します。また、開発がスタートしてからも定期的な評価を行うことが重要です。

アセスメント導入時のポイント

環境アセスメントは事業者と地域住民の協力が不可欠です。どちらか一方の意見や考えに寄ってしまうと、本来は議論して決めるべきことを無視してしまう可能性があります。

事業者側は開発事業の推進のみを考えるのではなく、地域住民の声を聞く機会を設けてそこにある歴史や住民の感情を受け止めることが大切です。一方で地域住民側も積極的に話し合いの機会に参加し、意見や提案をすることが求められます。

保育アセスメント

保育アセスメントは、子どもの発達段階、個別のニーズ、関心を理解するために行われます。この評価は、子どもの成長をサポートし、あらゆる面での発達を促進するために重要です。保育者は、子ども一人ひとりの特性と個性に基づいて、適切な保育プログラムを提供するために、アセスメント結果を活用します。

これにより、子どもたちは自己の能力を最大限に活かし、自己肯定感を高めることができます。保護者にとっても、保育アセスメントの結果は、子どもの成長や進歩を把握するための重要な情報源となります。

手順

子どもの身体的、感情的、社会的、認知的発達を観察し、評価します。次に、保護者や他の保育者との連携により情報を共有し、個別の保育計画を立案します。定期的に進捗を確認し、必要に応じて計画を調整します。

アセスメント導入時のポイント

保育におけるアセスメントでは「主観的な情報の取捨選択をしないこと」が重要です。アセスメントを行う過程自体で主観的な情報の分別は控えるべきです。しかし、保育におけるアセスメントでは専門家だけではない周囲の人々との協力関係が重要なため、特に細かい情報を共有することが大切です。些細な情報でも子どもの変化を把握するためには大きな手がかりとなる可能性があります。

アセスメント導入時の注意点

プライバシーと機密性の保護

アセスメントを導入する際、個人のプライバシーと情報の機密性を厳守することは極めて重要です。収集したデータが個人を特定できる情報を含む場合、その取り扱いには特に注意が必要です。データ保護法規を遵守し、関係者全員がこれらの原則を理解し守ることで、信頼性を確保し、個人の尊厳を守ることができます。

客観性と精度の確保

アセスメントの効果は、その客観性と精度に大きく依存します。主観的な見解やバイアスが結果に影響を及ぼさないようにするために、標準化された手法とツールを使用し、データの解釈には慎重を期す必要があります。また、アセスメントは定期的に見直し、最新の情報や状況に基づいて更新することが重要です。

多角的な視点の採用

アセスメントにおいては、複数の視点から情報を収集し分析することが求められます。これには、異なる背景や専門知識を持つスタッフの意見を取り入れることが含まれます。特に複雑な問題や多様な利害関係が絡む場合、多角的な視点はより総合的でバランスの取れた判断を可能にします。

関係者とのコミュニケーションと協力

アセスメントの導入と実施においては、関係者間の透明なコミュニケーションと協力が不可欠です。これには、アセスメントの目的、プロセス、期待される成果に関する明確な情報共有が含まれます。

関係者がアセスメントの価値と目的を理解し、そのプロセスに積極的に参加することで、より有効な結果が得られます。また、異なる部門や専門分野の間での協力体制を築くことで、アセスメントの精度と効果を高めることができます。

アセスメントに関するQ&A

アセスメントはいつ行うもの?

アセスメントは、意思決定の前、プロセス中、そしてプロセス後に行われることが一般的です。具体的には、新しいプロジェクトやプログラムを開始する前にリスクや機会を評価する場合、実施中に進捗を監視し必要に応じて調整を行う場合、またはプロジェクトやプログラムの完了後にその成果や効果を評価する場合などがあります。このタイミングは、アセスメントの目的や対象によって異なり、継続的なプロセスとして行われることもあります。

アセスメントは誰が行うもの?

アセスメントを行う主体は、その目的や内容によって異なります。例えば、教育分野では教師や教育専門家が学生の学習進度や能力を評価します。

医療分野では、医師や看護師、その他の医療専門家が患者の健康状態をアセスメントします。ビジネスにおいては、プロジェクトマネージャー、ビジネスアナリスト、経営者などが事業のリスクや機会を評価することがあります。

アセスメントにはどのような方法がある?

アセスメントの方法は多岐にわたり、対象や目的によって様々です。一般的な方法には、定量的アセスメントと定性的アセスメントがあります。定量的アセスメントは数値データに基づき、統計的分析や数値的評価を行います。

これは、例えば財務分析や市場調査において用いられます。一方で、定性的アセスメントは、観察、インタビュー、フォーカスグループ、ケーススタディなどを通じて、主観的な意見や感想を収集し分析します。

人材育成のことならストレッチクラウド

ここまでアセスメントが必要な理由や導入方法について説明いたしました。
弊社のストレッチクラウドでは、効果的なアセスメントを行えるマネジメント人材を育てるために、研修を通して事前に役割理解や役割遂行のための観点付与を行います。
その後、360度評価によって周囲からの期待と満足を可視化し、役割遂行に向けた自己課題は何か/課題を解決するためのアクションプランは何かを明らかにするというワークショップを継続的に実施します。
結果として、マネジメント人材になるための自立的な成長サイクルを実現しています。 ストレッチクラウドの詳細は、以下のサイト・記事で詳しく解説しています。

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まとめ

アセスメントは、その目的や対象に応じて多様な形式で実施され、各分野において重要な役割を果たしています。正確なデータ収集と分析に基づくアセスメントは、より良い意思決定、効果的なリスク管理、そして目標達成への道筋を提供します。

アセスメントの成功は、適切な手法の選択、客観性と精度の確保、関係者間の協力、そして個人のプライバシーや機密性の保護に依存しています。これらの点を考慮しながらアセスメントを実施することで、組織や個人は持続可能で効率的な成長と発展を遂げることができます。

執筆者:LM編集部
執筆者:LM編集部
理念・採用・風土・制度など組織人事のトレンドを発信しています。 基本的な用語解説から、多くの企業で陥っている実態、 弊社が培ってきた組織変革技術の知見を踏まえたポイント解説まで 皆様のお役に立つ情報をお届けします。
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