ナレッジとは?意味やノウハウとの違い、ビジネスでに使い方を詳しく解説
ナレッジとは通常、「付加価値の高い知識」という意味で使われる言葉です。
ビジネスにおいては、企業内でナレッジを蓄積・共有・活用することで組織力の向上を図る「ナレッジマネジメント」の動きも盛んになっています。
今回は、ナレッジの意味や使い方、ナレッジに関連する用語などについて解説していきます。
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ナレッジとは?
ナレッジは、「知識」「情報」といった意味の「knowledge」からきた和製英語です。
一般的には「文章から得られる知識」という意味で使われる言葉ですが、ビジネスの場面で使うときは少しニュアンスが変わってきます。
ビジネスシーンでナレッジという言葉が使われるときは、「付加価値の高い知識」や「利益になる情報」という意味合いが強くなります。近年、企業におけるナレッジの価値が見直されており、ナレッジを積極的に共有・活用する企業が増えています。
ナレッジがビジネスシーンで注目される理由
ナレッジ、すなわち知識や情報がビジネスシーンで注目される理由は多岐にわたります。まず、ナレッジは企業の意思決定を助け、競争優位を確保するための鍵となります。市場動向、顧客の好み、技術革新などの情報を把握することで、企業はより効果的な戦略を策定し、市場での成功を収めることが可能になります。
また、ナレッジマネジメントは、企業の内部プロセスの効率化にも寄与します。社内での知識共有や成功事例、象徴事例の伝播を通じて、作業の効率化、エラーの削減、従業員の能力向上が図られます。
ナレッジマネジメントとは?
ナレッジマネジメントとは、一人ひとりの従業員が備えているナレッジを組織全体として蓄積・共有・活用することを言います。近年、組織力向上のためにナレッジマネジメントを重視する企業が増えています。
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ナレッジマネジメントとは?広まる理由や効果について解説
ナレッジマネジメントをおこなうメリット
生産性が向上する
ナレッジマネジメントをおこなうことで、業務効率化や生産性向上が期待できます。「Aさんが持っていたナレッジをBさんが活用したら仕事が早く終わった」というのは、どこの企業でも起こりうる例です。各従業員が持っているナレッジを組織全体に共有することで、業務の進め方や業務フローを最適化できる可能性があります。
顧客満足度が向上する
顧客に関するナレッジが部門を越えて共有・活用されることによって、たとえば、既存顧客への対応がきめ細やかなものになったり、担当者が変わってもサービス品質を維持できたり、顧客ニーズを把握しやすくなったり、タイムリーな提案ができるようになったりします。結果として、顧客満足度の向上が期待できるでしょう。
人材育成を効率化できる
ナレッジマネジメントによって企業内に教育・研修のナレッジが蓄積されていけば、人材育成の効率化が見込めます。入社した従業員がスムーズに業務を覚えられるだけでなく、教える側の負担も軽減され、教育コストの最適化にもつながります。
ナレッジベースとは?
ナレッジベースとは、一人ひとりの従業員が持っているナレッジを一括して管理するデータベースのことです。ナレッジベースを構築することでスピーディーな情報共有が促進され、ナレッジの属人化を防ぐことができます。
ナレッジベースを構築するメリット
ナレッジを迅速に共有できる
ナレッジベースを構築することで、有益な知識・情報をスピーディーに組織全体に共有することができます。部署や拠点の垣根を越えて素早く情報共有できるため、従業員全体の底上げにつながります。また、部署異動や退職による引継ぎも効率良くおこなうことができるでしょう。
また、ナレッジベースを活用することで、情報の伝達ミスも防ぐことができます。間違った情報によるミスや失敗を防ぎ、正しい情報が迅速に伝わることで、組織全体の生産性が大きく向上するでしょう。
顧客対応のクオリティが向上する
ナレッジマネジメントのメリットと共通することですが、ナレッジベースの構築は顧客対応のクオリティ向上にもつながります。たとえば、顧客とのやり取り(電話・メール・Webサイト・対面)の内容をナレッジベースに蓄積していけば、担当者による対応のバラつきをなくすことができるほか、最適なタイミングで最適な提案をすることもできます。結果として、顧客満足度の向上につながります。
会社にとって貴重な情報資産になる
長年にわたって数多くの従業員のナレッジがナレッジベースに蓄積されていけば、会社にとって貴重な情報資産になります。必要なときに必要な情報を取り出せるだけでなく、ナレッジベースから新しいアイデアを抽出できる可能性もあり、ビジネスの発展、競争力の向上にもつながっていきます。
ナレッジマネジメントが適している事業モデル
ナレッジマネジメントが組織運営上有効になる事業があります。以下は事業特性ごとに、どのような組織づくりが有効かを整理した表です。縦軸に事業の数、横軸に利益の源泉を置いており、イノベーター型、オペレーター型、プロフェッショナル型とそれぞれ呼称をつけています。
また、それぞれのモデルごとに必要となる組織運営方法は以下の通りです。結論からお伝えすると「プロフェッショナル型」(人に利益が紐づくモデル、コンサルティング会社や専門職など)はナレッジマネジメントがとても相性が良いと言われています。
ともすると個々人の中にナレッジが眠ることがあるため、定期的にそれを組織知にすることが組織に対して大きなメリットをもたらす要因となるでしょう。
ナレッジベースの構築ツール
データベース型
従業員から提供されたナレッジをデータベースに蓄積するツールです。簡単にナレッジの検索・共有ができます。
グループウェア型
従業員同士のコミュニケーションに重点を置いたナレッジベースです。チャットやスケジュール管理などの機能も搭載されています。
ヘルプデスク型
社内や顧客からの問い合わせ、クレームなどをFAQとしてデータベース化するナレッジベースです。
社内Wiki型
社内版のWikipediaのようなナレッジベースです。オンライン掲示板として活用できるものもあります。
文書管理システム型
電子文書や画像データを管理しやすいナレッジベースです。多くの文書・画像の保管が想定される場合に有用です。
データマイニングツール型
ナレッジを蓄積できるだけでなく、蓄積された膨大なナレッジをAIなどで分析できるナレッジベースです。
ナレッジワーカーとは?
ナレッジワーカーとは「知的労働者」と訳される言葉で、社会学者であるピーター・ドラッカーが、著書『新しい現実』にて提唱した「ナレッジ(知識)」と「ワーカー(労働者)」を組み合わせた造語です。
ナレッジワーカーに該当する職種
コンサルタント
企業や行政機関が抱える課題に対して解決手段を提案するコンサルタントは、ナレッジワーカーの典型例です。自らのナレッジを駆使して、顧客に価値を提供していきます。
ITエンジニア
システムやソフトウェアを開発するITエンジニアも、ナレッジワーカーに該当する職種です。自身のナレッジを活用して、顧客や社会が求めるシステムを形にしていきます。
ナレッジワーカーに必要な能力
情報収集能力
ナレッジワーカーとして活躍するためには、豊富な知識を備えている必要があります。そのためには、当然ですが情報収集能力が不可欠です。膨大な情報のなかから真に価値ある情報を取り入れるために、内容を精査できる能力も大切です。
分析能力
豊富なナレッジを持っているだけだと、「頭でっかち」で終わってしまう可能性もあります。ナレッジワーカーとして活躍するためには、自らのナレッジを分析する能力も不可欠です。分析能力に優れている人は、ナレッジの価値を高めることができるだけでなく、答えの見えない状況下でも的確な判断・行動をすることができます。
ナレッジの類義語
ノウハウ
ナレッジと非常に似た意味を持つ言葉が「ノウハウ」です。いずれも「知識」という意味がありますが、両者の違いとしてよく言われるのが、ナレッジが「情報」というニュアンスが強いのに対し、ノウハウは「知恵」というニュアンスが強いということです。ノウハウは「何らかの経験を通して体得した知識」という意味合いが強い言葉ですが、ナレッジは書籍やインターネットから得られる情報も含まれます。
ハウツー
「ハウツー」もナレッジと類似した言葉です。ハウツーはどちらかと言うと、「基礎的な知識」という意味合いが強い言葉であり、専門的で高度な知識も含めるナレッジとはその点で異なります。
スキル
「スキル」もナレッジと近い意味を持つ言葉ですが、スキルと言う場合は通常、個人が身に付けている「技能」「技術」という意味になります。ナレッジは知識として他の人に共有することができますが、スキルを共有するというのは考えにくく、基本的には個人レベルで活用するものになります。
ビジネスシーンでのナレッジの使用方法・例文
ビジネスシーンでは、たとえば以下のようにナレッジという言葉が使われます。
- システム開発をおこなう際、重要な部分についてのナレッジをシェアした。
- 前職で得たナレッジは、この会社でも活かされるだろう。
- 彼が持っている膨大なナレッジは、次のプロジェクトで必ず役立つはずだ。
まとめ
いかがでしたでしょうか?従業員が有するナレッジは企業の情報資産であり、ビジネスに活用しない手はありません。現在、ナレッジを有効活用できていない企業様は、ぜひナレッジマネジメントに着手して、組織力、競争力の向上を図っていきましょう。