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組織図って?メリットや作り方について解説

組織図は必須のものではありませんが、作成しておくと、社内の指揮命令系統の明確化や人材配置の最適化、従業員同士の相互理解や新入社員の自社理解など、様々な面で役立ちます。今回は、組織図の種類やメリット、作成する手順やポイントについて解説していきます。

目次[非表示]

  1. 1.組織図とは?
  2. 2.組織図を作成するメリット
  3. 3.組織図の種類
  4. 4.組織図の作成手順
  5. 5.組織図を作成する際のポイント
  6. 6.良い組織図と悪い組織図の違い
  7. 7.まとめ
  8. 8.組織図に関するよくある質問
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組織図とは?

 組織図とは、組織の内部構造を可視化したツールのことです。大きくは、社内の従業員向けに作成する組織図と、株主や取引先などのステークホルダー向けに作成する組織図に分けられ、それぞれで掲載する情報や書き方が異なります。

 従業員向けの組織図は、会社の全体像、部署の配置や部門間の相互関係、指揮命令系統などを俯瞰できるように作成されます。各従業員の情報としては、部署名、役職名、名前を記載するのが一般的ですが、会社によっては担当業務や内線番号、メールアドレスや顔写真などの情報を加える場合もあります。ステークホルダー向けの組織図は、会社の組織構成を示すために作成されるものなので、部署名やセクション名だけで構成され、各従業員の情報は掲載されません。

 なお、従業員向けの組織図は印刷して従業員に配布したり、イントラネットで共有したりしますが、ステークホルダー向けの組織図は、会社のホームページやパンフレットに掲載するのが通常です。

 本記事では、従業員向けの組織図を前提に解説していきます。

組織図を作成するメリット

従業員の役割認識や企業理解を促進できる

規模の大きい企業や部署が多い企業などでは、どうしても一人ひとりの従業員が「社内での自分の立ち位置」を認識しにくくなります。そのようなとき、組織図によって内部構造が可視化されていれば、自分の立ち位置のほか、自部署が担う役割や他部署との関連性などを把握しやすくなります。結果として、業務が円滑に進んだり、社内の連携がスムーズになったりするでしょう。

 新入社員向けの研修でも、組織図を使って各部署の機能・役割を説明することで自社理解が深まりやすくなります。また、組織全体の構造や役職、権限などが可視化されていれば、従業員がキャリアプランを考えるうえでも役立つはずです。

▼組織 可視化、組織 見える化に関する記事はこちら
組織を「見える化」「可視化」するメリットとその効果は?

人材配置や部署編成の最適化につながる

 組織図を作成することで、「どの部署に何人所属しているのか?」「各マネジャーは何人の部下を抱えているのか?」など、人材配置や部署編成のバランスがひと目で分かるようになります。そのため、人員不足や人員過多に気付いたり、管理職の負担を把握したり、部署間のアンバランスを発見したりしやすくなります。人材の異動・増員など人材配置の最適化や、部署の新設・統合など部署編成の最適化につながるのは組織図の大きなメリットです。

スムーズな情報伝達が促される

 たとえば、他部署に相談をしたり承認を求めたりするとき、「この話は誰に聞けばいいのか?」「この件は誰に報告すべきなのか?」といったことが分からないケースがあると思います。このようなとき、組織図があると他部署の指揮命令系統や決裁権の所在を把握できるため、誰にコンタクトすべきかがすぐに分かります。承認プロセスや報告ルートが分かりやすくなり、スムーズな情報伝達を促進できるのは組織図の一つのメリットだと言えるでしょう。

従業員の相互理解につながる

 会社の規模が大きくなるほど、「顔と名前が一致しない」「名前は知っているけど、接点がないからどんな仕事をしている人なのか分からない」「新しく入った中途社員の役職が分からない」といった悩みや疑問が出てくるものです。このようなとき、組織図があれば部署名や氏名、担当業務などを把握することができるので、従業員の相互理解につながります。その結果、コミュニケーションが促されたり、部門間連携が深まったりする効果が期待できるでしょう。

組織図の種類

ピラミッド型(階層型)の組織図


 組織図のなかでもっとも一般的なのが、ピラミッド型(階層型)の組織図です。特定の組織を頂点に据えて、その下に枝分かれするように部署やセクション、チームを配置するのが特徴です。頂点には取締役会や株主総会が置かれ、その下に営業部門や開発部門、マーケティング部門や管理部門などが置かれるのが一般的です。

 ピラミッド型の組織は縦割りで階層が多くなりがちなので、「部門間の壁ができやすい」「上下の情報伝達に時間がかかる」といったデメリットも指摘されますが、ほとんどの日本企業はピラミッド型(階層型)の組織構造をしています。

 また、ピラミッド型の組織は「事業別」「機能別」に分類することができます。
「事業別」は各事業ごとに独立した組織として組織運営をする方式です。
事業が異なるので全体の方向性を統一する難易度が上がりますが、意思決定スピードが速まるなどのメリットがあります。
「機能別」は各機能ごとに組織運営をする方式です。異なる機能で束ねているため部門間連携の難易度が上がりますが、同一機能を束ねることで業務は効率化できると言えます。

マトリックス型の組織図

 マトリックス型の組織図は、職能や部署、エリアや商材など、いくつかの要素を組み合わせて作成する組織図です。たとえば、縦軸に商材を、横軸に職能を配置すれば、「冷蔵庫の営業担当であるAさん」「洗濯機のマーケティング担当であるBさん」といった表現をすることができます。マトリックス型の組織図では、一人の従業員が複数登場するケースも考えられます(Aさんが冷蔵庫と洗濯機の営業担当を兼務している場合など)。

 複雑性が上がるというデメリットはあるものの、多くの商材を扱う会社や事業を
多角展開している会社では、マトリックス型の組織図を採用したほうが便利でしょう。

フラット型の組織図

 フラット型の組織図は、ピラミッド型(階層型)の組織図とは対照的に、階層が少なく平坦な組織図のことを言います。上層部と現場の距離が近いため、「コミュニケーションが活発になる」「迅速な意思決定ができる」などの利点がある一方で、中間管理職を置かないことから、「管理の目が行き届かず、従業員の状況を把握しづらい」点などがデメリットとして挙げられます。

組織図の作成手順

手順①すべての組織を洗い出す

 まずは、自社内の組織(部署・セクション・チーム)をすべて洗い出しましょう。規模の大きい会社ほど、組織の数が多く、細かく枝分かれしているため洗い出しが大変です。不明点があれば、各部・各課にヒアリングして確認を取りましょう。

手順②部署の役割や関連性を確認する

 各部署の役割や機能を確認するとともに、部署間の関連性も確認します。そうすることで会社の全体像を把握できるため、大まかな組織図の形が見えてくるはずです。

手順③組織図の枠組み(種類や掲載範囲)を決める

 組織図の枠組みを決めます。まずは、ピラミッド型(階層型)、マトリックス型、フラット型のなかで、どの組織図が自社の組織構造を的確に表現できるかを検討します。加えて、どの範囲まで組織図に掲載するのかを決定します。会社によっては、「支店は載せない」「組織の最小単位は課にして、チーム名は載せない」といった判断をする場合もあるでしょう。

手順④従業員情報を入力する

 組織図の枠組みが決まったら、各従業員の情報を入力します。通常は、部署名、役職名、氏名を掲載します。同階層の従業員を並べる場合は、入社日順・五十音順などのルールを決めておくとスムーズです。

手順⑤その他、必要な情報を追加する

 その他に必要な情報があれば追加します。会社によっては、従業員の担当業務や連絡先(内線番号、携帯電話番号、メールアドレス)、顔写真、部署全体の人数などを掲載することもあります。

手順⑥レイアウトや色を整える

 組織図が見やすくなるようにレイアウトや色を整えます。部署ごと・階層ごとに色分けをした組織図はよくありますが、色を増やし過ぎると逆に見にくくなるので注意が必要です。たとえば、階層によって色分けをするときは、同系統の色の濃淡で表現すると分かりやすくなります。また、従業員の異動や入社などを組織図に反映する場合は、変更があった従業員の色を変えることで変更点が一目瞭然になります。

手順⑦チェックする

 部署名や従業員名、役職名などに誤りがないかなど、情報の正誤を確認します。加えて、「分かりやすいか?」「誰が見ても理解できるか?」といった観点でもチェックをおこないます。組織図の作成に関わっていないメンバーも含めた複数人でチェックをするのがおすすめです。そこで、修正点や改善点があれば反映します。

手順⑧共有する

 組織図が完成したら従業員に共有します。印刷して配布したり、イントラネット上に公開したりするのが一般的です。オフィスの壁やホワイトボードに掲示するのも良いでしょう。

組織図を作成する際のポイント

組織図を作成する目的を明確にする

 組織図を作成する際は、「何のために組織図を作成するのか?」という目的を明確にすることが重要です。指揮命令系統を分かりやすくするためなのか、従業員のコミュニケーションを活性化するためなのか、あるいは新入社員に自社理解を促すためなのかといった目的によって、組織図に掲載すべき情報・項目は変わってきます。

 たとえば、テレワークによって従業員同士が顔を合わせる機会が減り、顔と名前が一致しない従業員が増えているのであれば、組織図に顔写真を入れるのも一つの手です。また、部門間連携を促すために組織図を作成するのであれば、従業員の担当業務や連絡先を記載するのが良いでしょう。別途、人事管理システムなどにアクセスして連絡先を調べていては手間がかかってしまいます。

組織の今後の動きを把握する

 組織図を作成する際は、会社の今後の動きを把握しておくことが大切です。たとえば、数か月後に大きな組織変更を控えているのであれば、組織変更がおこなわれるまで組織図の作成を保留するという判断もできるでしょう。その他、「特定の部署が統合されて無くなる」「新しい部署が新設される」「従業員を大幅に増員する」といった予定がある場合も注意が必要です。

 現状の組織体制を反映することだけを考えていると、後に大幅な修正を余儀なくされる可能性があります。組織図はその都度変更されるものなので、柔軟に変更に対応できるよう、一定のゆとりを残しておくことも大切です。

組織図の更新に関するルールを決める

 従業員の部署移動、入退社、昇格などによって組織図は変わります。部署の統廃合や新設などによっても組織図は変わります。このように組織が常に変化するものである以上、組織図の更新は必須ですが、変更があるたびに対応していては手間がかかります。だからと言って、組織の実態が変わっているのに、いつまで経っても組織図に反映されないようではいけません。

 そのため、組織図を作成する際は、更新に関するルールを決めておくことが重要です。「四半期に1回、人事部の△△さんが更新し、○日以内にイントラネットで共有する」など、誰がどのタイミングで更新し、どのように共有するのかについて社内で定めておきましょう。

良い組織図と悪い組織図の違い

良い組織図の例

 組織図を見たときに、以下のようなことがひと目で分かる組織図は良い組織図です。

  • 部署の役割や機能、部署内の構成が分かる
  • 指揮命令系統や責任の所在が分かる
  • どの事案を誰に問い合わせればいいのか分かる
  • 担当者単位でトラブルが生じたとき、判断を仰ぐべき上長が誰か分かる

悪い組織図の例

  • 部署名と従業員名が書かれているだけ
  • 部門や階層が複雑すぎる

 このような組織図では、得られる情報はほとんどありません。組織図として機能していない悪い例だと言えるでしょう。

まとめ

 御社の組織図は、従業員にとって分かりやすく、役立つものになっていますか? 組織図は、正しい情報が掲載されているだけではいけません。部門間連携や自社理解、コミュニケーションを促進できるツールになっているか?という観点で組織図を見直し、より役立つものへとブラッシュアップしてみてはいかがでしょうか。

組織図に関するよくある質問

Q:組織図作成に使えるツールは?

 組織図の作成に役立つツールとして、PowerPointやExcelがあります。いずれも、簡単に組織図を作成できる「SmartArt」という機能を備えています。SmartArtは、組織図に最適なフォーマットがいくつか用意されているため、それほど時間をかけることなく組織図を作成することができます。

 PowerPointやExcel以外にも、組織図を作成できるツールは多々あります。無償で使えるツールもあるので、一度試してみるのも良いでしょう。また、人事管理システムやタレントマネジメントシステムの機能の一つとして「組織図作成機能」を備えているものもあります。このようなシステムであれば、システム上の従業員データを更新することで組織図にも自動的に反映されるため、手間をかけずに最新の状態にすることができます。

Q:ティール組織とは?

 ティール組織とは、経営者や上司が指示や管理をしなくても、メンバーが主体となって目的達成のために動く組織のことを言います。上司からの指示を仰いで受動的に動くのではなく、個々が能動的に意思決定をして動くことができるのがティール組織の特徴です。組織図を作成するとしたら、フラット型の組織図に近いものになるでしょう。

ティール組織については、以下の記事で詳しく解説しています。

>> ティール組織とは?5つの段階とメリット・デメリット、必要な3要素までを紹介
https://stretch-cloud.lmi.ne.jp/column/0042

執筆者:LM編集部
執筆者:LM編集部
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