誠実とは?誠実な人の特徴や意味をわかりやすく解説
組織で働く人には、仕事に直接関わるスキル・知識だけでなく「誠実さ」が求められます。恋愛などでも相手に誠実さを求める人はたくさんいますが、ビジネスにおいても誠実さは非常に重要な姿勢だと言えます。今回は、「誠実」という言葉の意味や誠実な人の特徴、職場でできる誠実さを高める行動などについて分かりやすく解説していきます。
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「誠実」の意味について
「誠実」に類似する言葉
「誠実」という言葉に類似する用語には、「信頼性」、「正直」、「真摯」、「忠実」、「献身的」などがあります。これらの用語は、すべて人の性格や行動における真実性と責任感を表しています。誠実な人は、言葉や行動が一致し、他人に対しても正直かつ公正に振る舞います。また、約束を守り、責任を全うすることを重視します。
デジタル大辞泉によると、「誠実」という言葉の意味は以下のように記されています。
私利私欲をまじえず、真心をもって人や物事に対すること。また、そのさま。
ビジネスにおいて「誠実な人」と言ったら、たとえば、周囲の視線がないときでも、自社のために正しく振る舞える人のことを言います。このような誠実さは、業務上の意思決定、同僚との意思疎通、顧客に対する提案・対応など、ビジネスシーンの随所において発揮されます。そのため、従業員の誠実さを重視する企業は少なくありません。
日本語で言う「誠実」は、英語の「インテグリティ(integrity)」に当たりますが、近年では、海外企業でもインテグリティが重視される傾向にあります。特に、組織を率いるリーダー層やマネジメント層にインテグリティが求められるようになっています。
誠実な人の特徴
嘘をつかない
誠実な人の特徴として第一に挙げられるのが、「嘘をつかないこと」です。誠実な人は、たとえ自分が不利な状況になりそうな場面でも嘘をつくようなことはせず、正直であろうと努めます。
礼儀正しく相手を敬う
誠実な人は常に礼儀正しく、相手を敬う姿勢を持っています。誰に対してもリスペクトの念を抱き、失礼のないように努めます。
思いやりがある
誠実な人は、誰に対しても思いやりの心を持って接します。困っている人を見れば、率先して手助けをしますし、常に相手の立場に立って物事を考えることができます。
裏表がなく誰に対しても平等
誠実な人は、相手との関係性や立場などにかかわらず、誰に対しても平等な姿勢で接します。特定の人に媚を売るようなことはしませんし、特定の人を見下したりすることもありません。裏表がなく、人の陰口をたたくようなこともありません。
責任感が強い
誠実な人は、総じて強い責任感を持っています。仕事においては、自らのタスクや携わっているプロジェクトを最後までやり遂げようと努力します。手を抜いたり、途中で誰かに丸投げしたりするようなことはありません。
真面目で正直
誠実な人は、真面目で正直なパーソナリティを持っています。ミスがあれば素直に認めて改善に努めますし、トラブルが生じた場合もごまかしや責任転嫁をすることはなく、正直な姿勢で対応しようとします。
約束を守る
誠実な人は、どんなに小さな約束でも守ります。先約を優先するのは当然ですし、期日に遅れることもありません。期日を守れるということは、スケジュール管理能力にも長けていると言えるでしょう。
真剣に話を聞く
誠実な人は、他人の話に対して真剣に耳を傾けます。どのような話も真摯に聞く姿勢を見せるため、部下や顧客からの信頼を獲得しやすくなります。
生活やビジネスにおける誠実な行動・態度
誠実に生きるとは、具体的にどのような行動や態度のことを言うのでしょうか。日常生活やビジネスにおいて見られる、誠実な行動や態度の例をご紹介します。
- 他人の秘密を漏らさない。
- 自分に誤りがあれば素直に認め、謝罪する。
- 自分の損得ではなく、正しいかどうかを基準に行動する。
(例:受け取ったお釣りが多ければ店員に申し出る) - 他人の陰口を言わない。
- 言動が一貫している(二枚舌を使わない)。
- 自分の行動に対して責任を持つ。
- 何事にも集中して取り組む。
- 仕事にも遊びにも全力を尽くす。
- 些細なことでも感謝の念を持ち、相手に謝意を伝える。
不誠実であると見られる特徴
約束を守らない
不誠実な人の典型的な特徴が、約束を守らないことです。誰でもやむを得ない事情で約束を守れないケースはあるものですが、不誠実な人は自己都合で簡単に約束を破ります。
自己中心的で損得勘定で動く
自分の損得勘定で動くのも不誠実な人の特徴です。「この人は自分にとって利用価値があるか?」といった打算的な考えで付き合う人を選ぶケースも少なくありません。
責任感がない
不誠実な人は、総じて責任感がありません。ビジネスにおいても自分の仕事に最後まで責任を持たず、手抜きをしたり、部下に丸投げしたりします。それゆえ、仕事のクオリティも低くなりがちです。
言動に一貫性がない
不誠実な人の発言や行動には一貫性がなく、その場その場で発言内容をコロコロ変える人も少なくありません。また、誰にでも良い顔をしようとするあまり、言動に筋が通っていない傾向も見られます。
嘘が多い
不誠実な人は嘘が多い傾向にあります。自分の保身のために平気で嘘をついたり、自分に有利になるように相手を欺いたりします。嘘をついたことがきっかけになり、大きなトラブルに発展するケースも少なくありません。
感謝の気持ちが薄い
不誠実な人は感謝の気持ちが薄く、誰かに助けてもらったり、サポートしてもらったりしても「ありがとう」を言うことができません。それどころか、「やってもらって当然」という態度を見せる人もいます。
誠実な人かどうかを見分けるには?
他人の悪口や批判、愚痴が多くないか?
相手の誠実さを見極めようとするとき、会話のなかで他人の悪口や批判、愚痴が多いかどうかは一つのチェックポイントになります。誠実な人であれば、人間関係で不満を抱えていたとしても第三者に愚痴をこぼすのではなく、直接その相手と話して問題解決の方法を探るでしょう。他人の悪口や批判、愚痴が多い人は、残念ながら不誠実な人の可能性が高いです。
周囲から信頼されているか?
誠実な人であるかどうかは、周囲からの信頼度の高さで分かります。不誠実な人に周囲の信頼が集まることはありませんし、周囲の人から疎まれているケースも多々あります。一方で、誠実な人はその人間性ゆえに、周囲の人から信頼されています。仕事ぶりに関する信頼度も高く、「あの人に仕事を任せておけば間違いない」といった高い評価を得ているものです。
非を認めて謝罪できるか?
ミスがあったときやトラブルが起きたときなど、ピンチのときほど、人の誠実さ、あるいは不誠実さが浮き彫りになるものです。誠実な人は、ミスをしたときや自分の非によってトラブルを招いたとき、素直に非を認めて謝罪することができます。自分の非を認めずに言い訳を並べたり、責任転嫁をしたりする人は不誠実な人だと考えて良いでしょう。
誠実な人になる方法は?職場でできる誠実さを高める行動
できない約束はしない
「はっきりと約束したほうが、印象が良くなるだろう」という考えから無理な約束をする人もいますが、その約束を守れないと、結果的に相手の信頼を失ってしまうことになります。誠実さを高めるために意識しておきたいのが、「できない約束はしないこと」です。できないことは正直に断ったり、検討の時間をもらったりするほうが誠実であり、責任感の現れだとも言えます。
誰に対しても公平な態度で接する
誠実さを高めようと思うのであれば、誰に対しても分け隔てなく公平な態度で接することが重要です。相手によって態度や話し方を変えていたら、周囲から不誠実な人というレッテルを貼られてしまうでしょう。
常に相手を尊重する
誠実さを高めるためには、常に相手を尊重する姿勢を持ち、自分のことより「相手ファースト」で接することが重要です。いかなるときも、相手に対する尊敬・尊重の気持ちを忘れないようにしましょう。
最後まで責任を持つ
誠実さを高めるためには、自分の仕事に責任を持つことが大切です。途中で手を抜いたり投げ出したりせず、妥協なく最後までやり遂げましょう。責任を持つことで仕事のクオリティが高まったり、成果が出やすくなったりします。それを継続していれば、自然と周囲からの信頼も高まっていくはずです。
時間、ルール、マナーを守る
誠実な人は、自分勝手な行動で他人に迷惑をかけたり、マナーを無視して相手に不快な思いをさせたりしません。誠実さを高めたいと考えているのであれば、時間やルールを守り、マナーをわきまえた対応を心がけましょう。
自分の気持ちを素直に伝える
誠実な人は、自分の気持ちを素直に表現します。誠実さを高めたいなら、相手に対して「ありがとう」「申し訳ありません」の気持ちを伝えることが大切です。胸の内で思っているだけでなく、口に出して、もしくはメールなどの文面できちんと伝えるようにしましょう。
まとめ
誠実さは人が持って生まれた性格でもありますが、意識すれば高めることができる性質でもあります。常に「誠実であろう」と努めていれば、態度や振る舞いが変わっていくはずです。会社においても、誠実な従業員が多い職場ほど円滑なコミュニケーションがおこなわれ、雰囲気が良くなるものです。従業員の誠実さは、企業の魅力や顧客満足度の向上にもつながっていくものですから、どんどん誠実な従業員を増やしていきましょう。
誠実さに関するよくある質問
Q:「誠実」と「真面目」との違いは?
「誠実」と「真面目」は似た意味を持つ類語ですが、若干ニュアンスの違いがあります。「誠実」という言葉は、「私利私欲のない真心」や「嘘をつかない思いやり」といったニュアンスが強いのに対し、「真面目」という言葉は、「真剣に取り組むこと」「曲がったことを良しとしない」といったニュアンスが強くなります。また、「真面目」は、「真面目過ぎる = 融通が利かない」というように、マイナスのニュアンスで使われることもあります。
Q:「インテグリティ」が注目されている理由は?
近年、海外企業において「インテグリティ(誠実さ)」が重視される傾向にあります。その背景としては、企業の社会的責任が増していることが挙げられるでしょう。インテグリティを備えた従業員が多い会社ほど、コンプライアンスが遵守されやすく、企業としてリスクを軽減できるという側面があります。