
雇用保険被保険者資格取得届とは?書き方や記入例、提出先も解説!
企業が新たに従業員を雇ったら、「雇用保険被保険者資格取得届」の提出が必要になります。
期限内に不備なく提出できるよう、雇用保険被保険者資格取得届に関する基礎知識は正しく把握しておきましょう。
今回は、雇用保険被保険者資格取得届の書き方や記入例、添付書類や提出方法などについて解説していきます。
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雇用保険被保険者資格取得届とは?
企業は「31日以上雇用する見込みであり、なおかつ所定労働時間が週20時間以上」の従業員を一人でも雇用した場合、雇用形態や年齢を問わず、雇用保険に加入させる義務が生じます。
まず、「雇用保険」そのものの仕組みを説明します。
「雇用保険」とは、保険加入者(事業主)が、保険者(政府) に保険料を納付する義務を負い、被保険者(労働者)は、保険事故(失業、業務災害、通勤災害)が生じた場合に、保険者に対して保険給付を請求する権利を持つという継続的な法律関係になっています。
雇用保険は、企業が新たに従業員を雇う度に手続きが必要で、その手続きの際に提出すべき書類が「雇用保険被保険者資格取得届」です。雇用保険被保険者資格取得届は保険加入者(事業主)が、各地域にあるハローワークに提出しなければなりません。
提出期限は、従業員が被保険者となった日(入社日)の翌月10日までと定められているため、忘れないよう注意しましょう。
雇用保険被保険者の種類
雇用保険の被保険者は、以下の4つの種類があります。
①一般被保険者
雇用保険に加入する資格を持つ、「高年齢被保険者」「短期雇用特例被保険者」「日雇労働被保険者」以外の被保険者です。
②高年齢被保険者
65歳以上の被保険者であり、なおかつ「短期雇用特例被保険者」「日雇労働被保険者」に該当しない者を言います。
③短期雇用特例被保険者
季節的に雇用される者のうち、以下のいずれにも該当しない者のことを言います。
- 4ヶ月以内の期間を定めて雇用される者
- 1週間の所定労働時間が30時間未満である者
なお、「季節的に雇用される者」とは、季節的業務に期間を定めて雇用される者、または季節的に入・離職する者のことを言います。また、短期雇用特例被保険者が同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上となるに至ったときは、その1年以上雇用されるに至った日以後は、一般被保険者(65歳未満)、または高年齢被保険者(65歳以上)となります。
④日雇労働被保険者
日々雇用される者、または30日以内の期間を定めて雇用される者を言います。
雇用保険被保険者資格取得届の入手方法
雇用保険被保険者資格取得届は、各地のハローワークで入手できます。また、ハローワークのWebサイトからダウンロードすることも可能です。
雇用保険被保険者資格取得届の書き方
出典:雇用保険被保険者資格取得届|ハローワーク インターネットサービス
1:個人番号
番号確認と身元確認の本人確認をおこなったうえで、個人番号(マイナンバー)を記入します。
2:被保険者番号
本人の被保険者証の番号を転記します。初めて雇用保険の被保険者になる場合は空欄にしておきます。過去に従業員が雇用保険に加入していた場合は、被保険者番号を確認しましょう。
3:取得区分
被保険者によって書き方が異なります。過去に雇用保険に加入していなかったり、資格喪失から7年以上経過していたりする場合は「1 新規」を、それ以外の場合は「2 再取得」を記入します。
4:被保険者氏名
被保険者証があるときは、これに記載してある氏名・フリガナをそのまま記入します。フリガナ、姓と名の間を一字あけます。濁点・半濁点は一字の扱いです。
5:変更後の氏名
4で記入した氏名と現在の氏名が異なっているときは、ここに変更後の氏名を記入します。
6:性別
被保険者の性別を記入します。
7:生年月日
被保険者の生年月日を記入します。年、月、日とも2桁で記入します。
8:事業所番号
資格取得する者を雇用する事業所に対して、付与されている事業者番号を記入します。
9:被保険者となったことの原因
新たに人を雇った場合は「2」の新規雇用(その他)と記入し、新規学卒の場合は「1」と記入してください。なお、65歳以上の方を新たに雇用した場合は「4」と記入します。
10:賃金
採用時の固定給部分(通勤手当を含む)の月額と、その計算方法を記入します。なお、日給月給制は「1(月給)」を記入します。
11:資格取得年月日
原則として、雇い入れた日(雇用関係に入った最初の日)を記入します。試用期間、研修期間も含みます。
12:雇用形態
該当する番号を記入します。
1:日雇
2:派遣・・・登録型派遣労働者
3:パートタイム・・・短時間労働者[週の所定労働時間が30時間未満の者](2を除く)
4:有期労働契約者・・・フルタイムの契約期間に定めのある労働者(2および3を除く)、およびトライアル雇用
5:季節的雇用
6:船員
7:その他・・・フルタイムの常用労働者
13:職種
用紙裏面の区分に従って、該当する番号を記入します。
14:就職経路
被保険者が就職に至った経路について、該当する番号を記入します。
1:安定所紹介
2:自己就職
3:民間紹介
4:把握していない
15:1週間の所定労働時間
就業規則や雇用契約書による、通常の週に勤務すべき1週間の所定労働時間を記入します。
16:契約期間の定め
期間を定めて雇用した場合は「1」の有とし、契約期間、および契約更新条項の有無を記入します。
17:被保険者が外国人の場合
特別な調査等を伴うものではなく、通常の注意力をもって被保険者が外国人(「外交」または「公用」の在留資格の者、および特別永住者を除く)であると判断できた場合に記入します。
雇用保険被保険者資格取得届の添付書類
雇用保険被保険者資格取得届の提出に際しては、原則として添付すべき書類はありません。ただし、以下に該当する場合は添付書類が必要になります。
添付書類が必要になる場合
①事業主として初めての被保険者資格取得届をする場合
②被保険者資格取得届の提出期限を過ぎて提出する場合
③過去3年間に事業主の届出に起因する不正受給があった場合
④労働保険料を滞納している場合
⑤著しい不整合がある届出の場合
⑥雇用保険法、その他労働関係法令に係る著しい違反があった事業主による届出の場合
①~⑥に該当する場合は、賃金台帳、労働者名簿、出勤簿(タイムカードなど)、その他、社会保険の資格取得関係書類など、その労働者を雇用したこと、およびその年月日が明らかなもの、有期契約労働者である場合には、書面により労働条件を確認できる就業規則、雇用契約書などの添付が必要になります。
▼社会保険に関する記事はこちら
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雇用保険被保険者資格取得届の提出方法
雇用保険被保険者資格取得届の提出先は、事業所がある地域を管轄するハローワークです。持参、郵送、もしくはオンライン申請(電子申請)によって提出します。
持参
ハローワークの窓口に直接、雇用保険被保険者資格取得届を持参して提出します。受理されると、以下の書類が交付されます。
- 雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用)
- 雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(被保険者通知用)
- 雇用保険被保険者証
- 雇用保険被保険者資格喪失届
郵送
雇用保険被保険者資格取得届は、郵送によって提出することも可能です。
ただし、雇用保険被保険者資格取得届には被保険者の個人番号(マイナンバー)が記載されているため、一般郵便での郵送はできません。必ず、特定記録郵便や簡易書留で郵送するようにしてください。
また、受理後に交付される書類を返送してもらう必要があるため、返信用封筒を同封するようにしましょう。
オンライン申請(電子申請)
雇用保険被保険者資格取得届は、オンライン申請(電子申請)によって提出することもできます。その際は、電子政府の総合窓口「e-Gov」にて申請します。
電子申請なら24時間・365日いつでも申請できますし、窓口に持参する場合のような待ち時間もありません。また、マイナンバーを記載した用紙を持ち運ぶ必要がないため、個人情報保護の観点でも安全性が高まります。
雇用保険被保険者資格取得届を作成・提出するときの注意点
提出期限を守る
雇用保険被保険者資格取得届を提出する際は、提出期限に注意が必要です。上述のとおり、雇用保険被保険者資格取得届の提出期限は、従業員が被保険者となった日(入社日)の翌月10日までです。
提出期限に間に合わない場合は添付書類が必要になるなど様々な手間が生じるため、従業員の入社日は正確に管理しておきましょう。
記入漏れや用紙のチェック
雇用保険被保険者資格取得届を提出する際は、記入漏れ・記入ミスがないように注意しましょう。また、ハローワークのWebサイトから雇用保険被保険者資格取得届の用紙をダウンロードして使う場合は、以下の点を満たしているか確認しましょう。
- A4の白色用紙である
- 印刷が等倍である
- 基準マークが印刷されている
- 印刷した様式に極端な傾きがない
- 文字、枠線がかすれていない
不備があると受理されない可能性があるため、注意が必要です。
雇用保険被保険者証とは?
雇用保険被保険者証は、雇用保険に加入した際に発行される証明書です。企業の担当者がハローワークに雇用保険被保険者資格取得届を提出して受理されると、雇用保険被保険者証が交付されます。雇用保険被保険者証には、以下の内容が記載されています。
- 被保険者番号
雇用保険に加入したときに労働者一人に対して1つ割り振られる番号です。最初に就職した会社で雇用保険に加入したら、以降、転職などで職場が変わっても、原則として被保険者番号は変更されません。
- 資格取得日
- 氏名
- 生年月日
- 事業所名
通常、雇用保険被保険者証は企業側が保管しておき、従業員が退職する際に渡します。というのも、退職した従業員が転職先企業で再び雇用保険の加入手続きをする際に、雇用保険被保険者証が必要になるからです。企業側は、紛失しないよう確実に保管しておかなければいけません。
また、新たに中途入社の従業員を迎える場合などは、前職の退職時にもらっているはずの雇用保険被保険者証を提出してもらいましょう。ただし、前職を退職してから7年以上経過している場合は雇用保険の被保険者番号は失効しているため、企業側が新たな発行手続きをおこないます。
まとめ
企業が新たに従業員を雇ったら、雇用保険被保険者資格取得届の提出が必要になります。期限内に不備なく提出できるよう、基本的な書き方や注意事項は押さえておきましょう。また、提出後に交付される雇用保険被保険者証は従業員の退職時に渡す必要があるので、紛失しないよう大切に保管しておきましょう。
※参考:雇用保険事務手続きの手引き(令和3年8月)|厚生労働省 東京労働局職業安定部 ハローワーク
※参考:雇用保険被保険者資格取得届の記入例|厚生労働省